aiko

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【aiko リコメンド】
メロディーの源泉を
再確認できる作品集

時代を超えた普遍性を際立たせる
絶妙な曲順&構成

 今作『aikoの詩。』は1st「あした」(1998年)から38th「ストロー」(2018年)まで38枚のシングル作品、両A面シングルがあるので全42曲に、選りすぐりのカップリング曲14曲を加えたトータル56曲を収録している。20年間超のaikoの代表曲を網羅しているので、前述したaiko楽曲の時代も世代も貫く力を実感できるアイテムと言える。しかも、本作はこうしたシングルベスト的作品集では珍しく、収録曲がリリース順に並んでいないので、そのこともaikoの時代を超えた普遍性を際立たせる格好にもなっている。例えばDisc.1の前半なら、22th「星のない世界」(2007年)→33th「夢見る隙間」(2015年)→7th「初恋」(2001年)→21th「シアワセ」(2007年)→16th「花風」(2004年)→29th「ずっと」(2011年)といった具合に、発表された時期が行ったり来たりするような恰好で並べられており、その構成だけで見たら新旧楽曲の差異が目立つと思われそうだが、実際の聴き応えに妙なチグハグ感はなく、スムーズかつシームレスに楽曲が連なっている。

 Disc.1の後半にある1st「あした」(1998年)だけはaiko本人の作曲ではないこともあって、この中でほとんど唯一と言っていいギャップを感じる箇所ではあるのだけれども、aikoの音源で他者が作曲を手掛けたのはこのデビュー曲だけであることを考えると、そのギャップはコンポーザー・aikoに対する安心感の裏返しと言えるのかもしれない。そう思うと、Disc.1のこの位置に「あした」があることがとても心憎く感じるし、優れたDJにも似た選曲のセンスが感じられる。Disc.1は、「花火」で始まって、「初恋」を挟み、デビュー曲「あした」を入れて最新曲「ストロー」で締め括るという、直近のベストセレクション的な容姿ではあるものの、聴いてみると、単純な再編集盤でないことも分かってなかなかに面白い。

 続く、Disc.2は14th「えりあし」(2003年)からスタートして、5th「桜の時」(2000年)、18th「キラキラ」(2005年)を経て、6th「ボーイフレンド」(2000年)へ辿り着くという作り。32th「あたしの向こう」(2014年)で始まるDisc.3は、12th「蝶々結び」(2003年)から9th「おやすみなさい」(2001年)と来て、4th「カブトムシ」(1999年)で終わる。共に収録曲は新旧織り交ぜて並んでいるのはDisc.1と同じだが、それぞれに「ボーイフレンド」「カブトムシ」という、aikoの代表曲であるばかりか、2000年前後において大衆に圧倒的に支持された、女性ソロシンガー全盛期を象徴する楽曲を両ディスクの最後に配置している。これは本当に上手い。Disc.1を聴いて“あれもこれも、もっと聴きたい!”と思うであろうリスナーをDisc.2、Disc.3へと誘った上に、もっとも心地良く感じる場所に着地させる構成であり、コンサートのフィナーレにも似た高揚感が得られる。お見事な作りだ。
■『aikoの詩。』特設ページ(Amazon)
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OKMusic編集部

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