ナナヲアカリのあの曲は、SNSに振り回される現代人の心を描いた?

ナナヲアカリのあの曲は、SNSに振り回される現代人の心を描いた?

ナナヲアカリのあの曲は、SNSに振り
回される現代人の心を描いた?

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「いいね」を求め続けてしまう「シアワセシンドローム」
シアワセシンドローム / ナナヲアカリ

SNSと現代人


ここ数年、TwitterやインスタグラムのようなSNSの利用者が急増し、誰しも当たり前のように「自分」を世界に発信できるようになった。
「自分」の考えや思い、そして行動を第三者に伝えられるツールは、手軽に承認欲求を満たし、簡単に知らない誰かと繋がれるインタフェースとして機能している。
その便利な機能は生活の一部に溶け込み、息をするように、「あーしたい」も「こーしたい」も呟いてしまう。
その結果、たくさんの「いいね」を貰い、承認欲求が満たされるが、その貰った「いいね」が重く感じてしまう時もある。
しかしそれでも、延々と誰かから来る「いいね」を求め続けてしまう姿を、ここでは「シンドローム」=「症候群」と表現している。

「いいね」を求めてしまうSNS


誰かに認めて欲しい。
誰かの好意が欲しい。
誰かの「いいね」が欲しい。
そんな「アイラブユー」を求めて投稿したはずが、予想以上の愛を貰い、その事実を負担に感じてしまう。
だがそれでもまた、誰かの「いいね」が欲しくて発信してしまう。
その「いいね」を貰うことが「シアワセ」になるとわかっているからだ。
その「シアワセ」に疲弊してもなお、求める姿に自己嫌悪を感じても、止められずに求めてしまう。
SNSに依存している現代人は、
「いいね」=「シアワセ」を次々に求めてしまう「シンドローム」になっているのである。
SNSに振り回される現代人の心
第三者のリアクションを求めて、自分のあれこれを発信するSNSだが、実際にたくさんのリアクションを貰った時、
それに対して、自分自身がどうリアクションすればいいのか分からなくなってしまった経験が、SNSの利用者なら少なからずあるはずだ。
コメントを貰った時は、“それにどんな言葉で返信しようか?"といったことや“この時間に返したら迷惑になるかな?"とか考えてしまう。
また「いいね」だけを貰ったとしても、その「いいね」へのお返しにその人の投稿に「いいね」を付けたほうがいいのか?とあれこれ考えてしまう。
そういう様々なことを考えなければいけない事実が、心を重くしてしまうのである。
ただ、相手のリアクションが何も無いと、それはそれで、自分だけ世界から孤立された気分になり、不安と焦燥感に包まれてしまう。
それなら初めからSNSをやらなければいい、なんて言ってしまうのは簡単だが、結局自分だけ除け者にされているような気がしてくるので、その世界からは離れられない。
そんなSNSを利用する現代人の心を、ここでは包み隠さず歌っている。
SNSの現在の姿
はじめてSNSを利用したときは、あっという間に世間と自由に繋がれるツールに感動したものである。
しかし、そのSNSがどんどん自分の生活の中心となると、荒れないように、騒がれないように、嫌われないように、空気を読みながら更新し続ける不自由な状況に陥ってしまっている。
誰もが、その見えない禁則事項に縛られながら、フォローフォロワーで承認欲求を満たし続けていっているのが、現在のSNSとそれを利用する現代人の姿なのである。
否定するのではなく受け入れようとする
気がつけば生活がSNSに振り回されている。
その現状を理解しながらも、また第三者に「いいね」を求めてしまう。
そして自分自身で恐ろしくなるほど、その「いいね」=「シアワセ」を求め続ける姿に気づいた時、この歌は、その姿を否定するのではなく受け入れようとする。
(中略)
「いいね」=「シアワセ」を求める心も、それに対する嫌悪感も、自分自身の心の一部であり、どれだけ否定し続けても、自分から切り離して扱うことは不可能だ。
それなら、その二つの思いを丸ごと愛して、「シアワセ」の「シンドローム」だとしても、それが自分自身のアイデンティティなのだと認知したほうが、本当の「シアワセ」を手に入れることができるのである。

その自分を受け入れたとき、本当の自分の姿を発信していけるようになると考える。
“それこそが、現代の理想的なSNSの使い方なのではないか?"と、この曲は訴えているのだ。
TEXT 京極亮友

アーティスト

UtaTen

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