溝口琢矢『リューン』再演に初登場!
「ファンルンとして作品の中に溶け
込みたい」

2018年に上演され好評の内に幕を閉じた、ミュージカル『リューン~風の魔法と滅びの剣~』が熱い再演希望の声に応え、2019年6月に帰ってくる! なにわ男子/関西ジャニーズJr.の藤原丈一郎と大橋和也が初演に続きW主演を務め、また新たなキャストを迎えパワーアップ!その新キャストの一人がファンルン役の溝口琢矢だ。稽古真っ只中のとある晴天の日、溝口に話を伺った。
ーーまずは、この作品に出演が決まった時のお気持ちからお聞かせください。
やっぱり嬉しかったです。初演の時には観に行けなかったので、その後記録映像を観て改めて作品世界に触れることができました。僕が演じるファンルン役を中心に観ていましたが、本当にわくわくしながら鑑賞できました。僕、あまりこういう役をやったことがないんですよ。
ーーこれまでに様々な作品に出演されていたので、その発言は意外です! ならばより一層この役を受けた時の心境が気になります。
ひとえに自分がお芝居をやるのが好きだから、どんな役でもやりたい! って周りの人にお願いしています。この人物は話の核になる役どころで、一見すごく好青年に見えますが……いや、実はこの設定も今まさに構築中なんです。演出のウォーリー木下さんも「いろいろ試していいよ」と言ってくださるんです。初演がこうだったから再演も、という考え方をしなくていいって。
ーーとはいえ、すでにできあがっているカンパニーに入っていき、新たに作品を作り上げていくことで、見えないプレッシャーもあるのでは?
そうですね。ただ初演で皆さんが作り上げた作品はしっかり土台となっているので、プレッシャーというよりは尊敬の念を感じます。オリジナルミュージカルを作り上げた方々なので、今回の稽古においても心強さが全然違いますね。安心して僕ら初出演メンバーが入って行ける環境を皆さんが作ってくださっているようにも感じますね。
ーー稽古場の雰囲気はいかがですか?
ベテランの方々も多く、泉見洋平さんや原田優一さんなど、元々知っている方もいらっしゃるので、「家族が増えました」という感覚の方が近いかも(笑)。そのなかでもW主演の藤原丈一郎さんと大橋和也さんは、そのアットホームな空気感を作り出す筆頭だと思います。たぶん彼らの力がもっとも大きいと思いますね。
ーー良い空気の現場でよかったですね。では改めてご自身が演じるファンルンという人物についてどのように向き合っていこうとしていますか?
ファンルンはすごく面白い人物であり役どころ。この作品では「3」という言葉がよく出てくるんです。「調和の3」という風に。初めは(藤原)丈が演じるリューン・フローと(大橋)和也が演じるリューン・ダイ、それから(浜崎)香帆ちゃん演じるエルカの3人だったけれど、ダイが「滅びの剣」に支配され、殺戮に消えてしまう。そして残されたフローとエルカに僕が加わる事で新たな「3」になる。その「調和の3」の一角を担いつつ旅を続けるんですが……初演をご覧になっている方はご存じかと思いますが、そこからの物語はこうご期待と言ったところです(笑)。
ファンルンの後半の展開を聴いた時は凄くやり甲斐を感じました! 今回は「逆算」で役を作ろうかな、って思いながらやっています。「ここではこういう存在になろう」というものを一つ置いて、じゃあそこまでどう持っていこうかな、っていう逆算です。最後に向けての自分の心境の変化は一つ考えているので、じゃあそこまでどう遊んでいこうかと。今まさにその「じゃあ」の部分を必死に考えているんです。
初演と比べて台詞が変わったり増えたりもしているようなので、この再演ではより一層ファンルンというキャラクターが生きてくるんだろうなと期待しています。
ーーウォーリーさんの演出で印象的だったことはなんですか?
ウォーリーさんは、「相手役としっかり向き合ってコミュニケーションをとってほしい、そこからしっかりやっていきましょう」って話をされています。初め、ミュージカルだから、演劇的手法、例えば相手役と話しているのに顔や体は客席に向いているみたいなことなどを考えていたんですが、「そういう事はいらないよ」って最初におっしゃっていました。
今、稽古場で僕の席はウォーリーさんの斜め後ろなんです。この席にいると「もしかしたら聞いてはいけない事を耳にしてしまうのでは」と思ってしまい、座りづらさを感じてまして(笑)。でも和也が「ウォーリーさん、今いいですか?」と声をかけると「無理」と返すウォーリーさんに和也がひるまずに「あの、ここの場面なんですけど~」とさらに話しかけて、最後はウォーリーさんが「確かにその部分は難しいねえ」と話合っている、そんな場面も楽しく見ています。
ウォーリーさんは全体的には「こういう世界を作っていきたい」と大きな視点で話し、個別の質問には別途答えていくやり方だと思います。また自分が出した提案に対して「そうしたいならこうじゃない?」と意見を下さり導いていくタイプだと思います。何か意見を持っていくとしっかり向き合ってくださる方なのかな。大きな安心感を抱いていますね。
ーー溝口さんはこの作品でどんな爪痕を残したいと考えていますか?
正直な話、稽古が始まる前は(初演時にファンルン役を演じた)永田崇人くんよりもっと上を、と思っていて、それは今でも思っていますが、先日最後まで物語をなぞった時に「あ、初演とは根本的に違うな」と認識したんです。同時に「初演とは違っていていいんだよ」とも言われました。前回の『リューン』は一つ成立していて、今回の『リューン』はまた別の作品だと思っています。主演の二人も前作からいろいろ変えようと考えているようだし、それを受けて僕らも変わるでしょう。ただ今回面白い役どころをいただけたので、しっかりと作品に溶け込む事がキーになると思います。
稽古場で歌唱指導の先生に「(ファンルン)っぽいね」と言われることも多くて、そうなのかな、と(笑)。最後に向けてどのように役を作っていけるかが僕の課題でありチャレンジ。そのチャレンジは今まさにやっている真っ最中で試行錯誤していますが、その結果はきっとしっかりとしたものになるはず。
物語の内容もそうですが、曲も素晴らしいです。しっかりとした人間たちの物語ですし、そこに音楽が入る事で輪郭がよりはっきりと描かれ、物語がさらに伝わってくる。これがミュージカルなんだと思います。初演をご存じの方は「お前はどんなファンルンを演じる気だ」と思っていただきたいし、初めての方は一見しっかりとした青年の役なのでそんな青年が最終的にどのようになっていくのかを楽しみに見ていただきたいです。
ーー話変わって、今年本作で6本目の舞台となりますが、ちゃんと休めていますか? 前作から少し痩せたかな? と思ったんですが。
むしろ前より体重は増えているんですよ! 筋トレを始めたので筋肉量が全体的に増えているのかも。僕、高校生の時のあだなが「もやし」だったんです。女子たちから「もやしくん」と呼ばれていて男子からならともかく、女子から言われているのがもはや壊滅的だなと(笑)。それだけ色白で細かったんだろうなあ。今は「見た目からも」健康体でいようかなと思っています。
ーー杞憂でよかったです。ちなみにオフの日は何をしていますか?
時間があれば散歩しています。下町……谷根千(谷中、千駄木、根津周辺)や日暮里あたりをたまに歩いています。猫や動物が好きだから。あと世田谷の等々力渓谷も。夏場は涼しいし、土日限定で葛餅が食べられるんです!数量限定なのでお早めに(笑)。
取材・文・撮影=こむらさき

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