【インタビュー】ま に こ、YouTube
で再生回数1千万回超えの“激”歌う
ま女子高生のホンネ

神戸市出身の高校2年生“ま に こ”。昨年、学校の文化祭で米津玄師の「Lemon」を歌っている動画がYouTubeにアップされると、その澄んだ歌声に魅了される人が続出。再生回数は約半年で1,200万回を突破し、<歌うま女子高生>としてテレビ番組でも取り上げられるなど、今若い世代を中心に話題を集めている人物だ。100曲近いカバー曲をSNSで発表しているが、原曲への愛が深いからこそ生まれた独自の解釈が痛快。小さな体の真ん中で真っ白いエネルギーを静かに爆発させているような、凛とした歌声をぜひ聴いてみてほしい。

■2年前の自分と1年前の自分と今の自分は全然違う
■自分で自分の成長が見られることが面白いです

――ま に こさんの存在はすでにSNSでも大きな話題になっていますが、日本テレビの「スッキリ」に出演されたことも反響を呼んだみたいですね。

ま に こ:はい。学校の友達も結構「見たよ」って言ってくれました。朝の番組なので、みんなわざわざ録画して見てくれたみたいです。その時に紹介されていた、私が文化祭のステージで歌っている動画がYouTubeに上がっているんですが、放送後に許可なく別のチャンネルにも上がっていてびっくりしました。

――その文化祭の動画が「歌うま女子高生」としてま に こさんの歌声を一躍広めることになったわけですが、アップされてから約半年ですでに1,200万回以上再生されています。その数字も含めて、今どんなお気持ちですか?

ま に こ:いまでも実感がないんです。嬉しいという気持ちはありますが、数字が大きすぎて(笑)。でもこういう取材を受ける機会ができたことを考えると、少しは私の歌が周りの方に評価されているのかなとは思います。

――あの文化祭のステージは、どういうきっかけで歌うことになったんですか?

ま に こ:そもそも、大勢の人の前で歌ったのはあれが初めてだったんです。2018年の6月で学校にも入ったばかりだったので、文化祭で何をするのかも知りませんでした。すると同じ高校の全然知らない先輩から、ピアノとかギターとか弾くから歌ってほしいみたいな話が来て。自分も出てみたかったので、お願いしますって答えたんです。

――人前で歌ったことがなかったのに、どうして出てみたいっていう気持ちになったんでしょう?

ま に こ:歌うことは好きだったけど、それまで人前では歌ってこなかったから、自分の歌がどう評価されるかなっていうことが気になったんです。いいなって言ってくれるのか、あんまりやなって言われるのか(笑)、どっちなんやろって。だって、家族や友達は絶対褒めるじゃないですか。そういうことじゃなくて、知らない人ばかりのところで歌ったらどんな反応が来るのかなって思ったんです。

――肝が据わってますね!そういうところ、自分の性格だと思います?

ま に こ:ちょっとあると思います。やりたいことは何でも、とりあえずやってみたいって思うし。

――歌うことは小さい頃から好きだったんですか。

ま に こ:はい。4歳か5歳くらいの時に、カラオケに行ったことはよく覚えています。何を歌ったかまでは思い出せないけど、両親に聞くと、歌うことはその頃からすごく好きだったみたいですね。上手くないけど。

――いやいや、そんな頃からすごいビブラートがかかっていたりしたら大変ですよ(笑)。

ま に こ:(笑)。でも中学2年生くらいまで、自分で今聴き返しても「えぇ…」って思うくらい全然だったんです。小学小学校の高学年~中学の初めくらいはまだ自分の歌い方みたいなものがわかってないから、例えば絢香さんとか、YouTubeでカバーをされている方の歌を真似して歌ってみてたんですね。でも、中2の終わりから中3にかけてくらいの頃、自分の歌い方が見つかったんです。こう歌えば気持ちいいとか、こうすると声が出やすいなとかがわかってきた気がします。

――絢香さん以外には、どういう方のボーカルに魅力を感じていたんですか?

ま に こ:もうデビューをされましたが、Uruさんを中2の頃にめっちゃ聴いてました。透明感があって、スッと伸びていくような声がすごくいいなと思って。Aimerさんは、友達から声質が似てるねって言われて聴いてみたんですが、声がすごく耳に残りますよね。ああいう声の人はいいなと思うし、何度も聴きたくなります。男性でよく聴いていたのは、back numberさん。米津玄師さんも何曲かは聴いてきました。
――その米津玄師さんの何曲かの中の1つが、文化祭で歌った「Lemon」だったと。

ま に こ:すごく流行っていたというのもあったし、音楽アプリの「nana」でその曲を歌っているものだけバーン!と再生回数が伸びたりもしていたので、これはみんなが知っている曲だから受けるのかなって感覚もあって歌ったんです。

――なるほど。そこから1年経つわけですが、自分のボーカルに関しては何か変化や成長などを感じていますか?

ま に こ:今の方が、やっぱり気持ちがこもっている気がします。以前はとりあえずメロディーに歌詞を乗せて歌うっていう感じだったと思うけど、今は歌詞の意味もちゃんと飲み込んだ上で歌うようになったと思います。同じ曲を歌うにしても。

――そこが、ま に こさんが歌うにあたって大切にされているところでもあるようですね。

ま に こ:メロディーが良くても、歌詞があまり響いてこなかったら歌いたいなって思えないんです。だから歌詞を見て、私なりに理解して、「これいいな」と思った曲を選んで歌うようにしています。

――これまでに歌ったのは何曲ぐらいありますか?

ま に こ:歌ってみたいなと思って2年前くらいに始めたnanaに上がっているのが90曲ぐらいで、YouTubeが10曲くらい。被っているものもあるので、100曲ないくらいですね。

――ただ歌って楽しむだけでなく、自分が歌ったものを残していこうと思ったのはどうしてだったんですか?

ま に こ:聴き返していった時に、全然違うんですよ。自分の中では同じように歌っているんですが、2年前の自分と、1年前の自分と、今の自分を比べたら全然違うんです。テクニック的なこともあるし、声の出し方とか、音域もちょっと変わったかなと思う部分もあったりして、自分で自分の成長が見られることが面白くて。だから、全然上手いとは思えないけど初投稿のものなんかも残しているんです。

――そういえば最近Twitterで、「本気で感情込めると体って震えるのか」というつぶやきもありましたね。

ま に こ:nanaでヨルシカさんの「だから僕は音楽をやめた」を歌ったんですけど、歌っていたら、なんか震えて。緊張なんかじゃなくて、身震いするような感じになったんです。メロディーもいいし、歌詞もめちゃくちゃいい曲。ヨルシカさん、大好きなんですよ。

――身震いするほどの感情を込めることができていたということなんですね。

ま に こ:あと最近だと、米津玄師さんと菅田将暉さんの「まちがいさがし」も、聴いていてグッとくるものがありました。徐々に徐々に迫ってくる曲なんですよね。実際に自分で歌ってみて、言葉の使い方もすごいなって思いました。ストレートに物事を言って伝える曲もあるけど、この曲は、ちょっと遠回しの表現をしているのに伝わってくるものがあった。語彙力がすごいんだなあって思いました(笑)。

――勉強にもなったと(笑)。

ま に こ:はい(笑)。私は作詞とか作曲とか全然できないんですが、できるようになりたいとは思っているんです。だから、最近は結構意識して歌詞を見たりメロディーを聴いたりしています。
――そうなんですね。ま に こさん、楽器は?

ま に こ:ピアノは弾けます。ギターもできるようになりたいんですが…、あれは心が折れます(笑)。中学校の音楽の授業でギターを習ったんですが、何回やっても弦が押さえられない。割と手は大きいほうなんですけどね。

――授業でギター教えてくれるなんて素敵ですね。それをきっかけにバンドに興味を持つ人なんかも出てきそうですが、ま に こさん、バンドやらない?って誘われたらどうします?

ま に こ:バンドって、私の中では賑やかで盛り上がるタイプの曲なんかが多いイメージがあるんです。私は、今は歌とピアノだけでいいかなと思っています。ピアノ伴奏の子が1人いてくれたらいいかな、みたいな。

――そのほうが、自分の気持ちを伝えやすい。

ま に こ:はい。あと、(バンドのように)人数が増えれば増えるほど「こうしたい」っていう気持ちを共有するのが難しくなる気がするんです。もちろん「こうしたいんです」ということはひとりひとりにちゃんと伝えるけど、言ったところでそれをみんなができるかどうかは微妙。でも自分ともうひとりだったら、しかもそれが仲のいい子だったりすると、そういうところもちゃんと伝わるなって思うから。
■けっこう負けず嫌いなところはあります
■アンチコメントなんかが来たら逆に燃えます(笑)

――ではここからは、少しま に こさんの制作過程について聞かせてください。

ま に こ:アプリのnanaはカラオケ(伴奏)の音源があるので、自分が歌った時に雰囲気が合いそうだなと思う人の音源を探して、コラボして歌っています。去年の今頃はiPhoneのイヤホンについているマイクで歌を録音していたんですが、今は、ある企画で1位になった時にいただいた小型のマイクを使って録っています。普通に、自分の部屋で(笑)。

――友達とか家族とか、そばで誰かが聴いていたりすることもあるんですか?

ま に こ:ないです、ないです(笑)。でも普通に家だから、家族が廊下を歩く音なんかも入るんですよ。その時は「もう、うるさいっ!」って怒ります(笑)。

――逆に、歌っていて怒られることは?

ま に こ:近所の人から怒られたことはないけど、たまに母が(笑)。でも、さすがにもう録音しているってわかってくれてるから、最近は全然言われなくなりました。

――今年1月に個人のチャンネルも開設されましたが、YouTubeの場合はどうですか?

ま に こ:YouTubeの曲も家で録っていますが、こちらはいろんな方の協力で作っていただいた音源を使って、パソコンとマイクで録っています。YouTubeの場合はフルサイズで歌えるので、分け録りをして、ハモリをかぶせてっていう感じですね。nanaは1分半だし、フルで歌うっていうのはカラオケくらいしかなかったけど、カラオケも結構ノリで歌うじゃないですか。でもこうやってちゃんと歌うとなると、言葉の意味を一度自分の中に飲み込んで、自分の形で出すっていうことが大事だなと思うので、そういうところを意識して歌うようにしています。だから、原曲とは全く違う雰囲気になっている曲が多かったりもするんですよね。
――文化祭のステージで歌ったのも自分の歌に対する反応が知りたかったからというお話でしたが、SNSでの反応などはどんな風に受け取っていますか?

ま に こ:まず初めに思ったのは、いい人ばっかりやなってこと(笑)。nanaには拍手のボタンしかないから、いいと思った人からしか反応はないし、アンチコメントみたいなのもないんですよ。YouTubeは低評価もあるし、コメントもし放題。そんな中でも「頑張って」とか「応援してる」って言ってくれる方が多いから、普通に嬉しいんです。あぁ、あったかいなあって思っています。

――励みになりますか。

ま に こ:はい。もっと歌いたいなって思うし。

――評価を恐れるどころか、むしろそこに挑んでいっているま に こさんはすごく心が強い人なんだろうなという印象ですが、自分の性格についてはどんな風に捉えていますか?

ま に こ:これは長所でもあり短所でもあるかなと思うんですが、けっこう負けず嫌いなところはあります。だから、アンチコメントなんかが来たら逆に燃えます(笑)。

――なるほど!

ま に こ:「うるさいな」というよりも、そんなことを言わせないくらい上手くなりたいなと思いますね。言う人はどうしたって言うんだからなくならないとは思うけど、逆に、もっと上手くというか…、もっと歌えるようになりたいなっていう自分のやる気に変わるから。

――上手くなりたいわけではない?

ま に こ:技術面で、例えばこぶし回せるようになりたいとかそういうのはないんですが、たまに棒読みみたいだとか、感情入ってる?みたいなことを言われるんですね。文化祭の動画とか見た人からも。その場で聴いていた人はそう思わなかったかもしれないけど、画面を通したらそう聴こえてしまうのかなって考えると、その場にいなくても心に響くというか、刺さるというか、そんな歌を歌いたいなって思うんです。技術というよりも、表現力。私にしかできない表現みたいなものを探していきたいなって思っています。

――そういう思いがベースにあるま に こさんにとって、今後の音楽の活動はどんな風にやっていきたいと考えているんですか?

ま に こ:いわゆる歌手になりたいとかはあまりなくて。今みたいな形で、音楽というよりも歌に関わっていきたいなとは思っています。自分が発信する側で、今はまだできていないけど、ライブなんかもこれから先できたらいいなと思っていますし。

――テレビからお茶の間へ、みたいな歌手としての活動ではなく。

ま に こ:はい。YouTuberさんで、歌のライブをやっていらっしゃる方もいるじゃないですか。そういう感じで。

――ちょっと大げさな言い方になりますが、歌で生きていきたいなというような気持ちも?

ま に こ:歌で生きていくのはすごく難しいことだと思うんです。波がありますし。だから、何かをやりながら音楽をやるとか、音楽をやりながら何かをやるとか、そういう感じでやれたらいいかなと思っているんですけど。
――その何かというのは、例えば?

ま に こ:高校に入る時は、体育教師になりたかったんですよ。今はそこまで目指してはいないけど、スポーツは好きなので、何かそういうことに関われたらいいなと思っていて。まだ、やりたいことを探している途中って感じです。

――現在高校2年生。選択肢は無限ですからね!だけど音楽はきっと、その選択肢の中から外れることはないんでしょうね。

ま に こ:例えば野球チームがあるとしたら、必ず試合に出られるような人って3人くらいいると思うんですね。でもあとの6人は、強豪校だったりすると部員の数も多いから誰が選ばれるか微妙だったりもする。私にとって音楽は、その野球チームの3人の中の1人みたいな感じなんです。

――絶対的なものなんですね。

ま に こ:はい。ノドを潰したりしない限りは、ずっとやり続けたいなって思っています。

――今後、共演してみたい人などは誰かいますか?

ま に こ:共演っていうこととはまた違うんですが、音楽に限らず、自分が好きなYouTuberさんとかは、イベントやオフ会に行けば会えますよね。でも、そういう人たちに会うんだったら、自分も有名になってから会いたいなっていう気持ちがあるんです。

――頼もしい!

ま に こ:向こうからしてみれば、みんな「ファンの人」になるじゃないですか。大きな括りで見ると。そうじゃなくて、「あ、ま に こだ」って認識してもらえるくらいになってから会いたいなって思っています。そのためにも、今はひとつひとついろんなことを積み重ねていく期間なんだなって思っているんですけど。

――学校の勉強と、部活の空手と、音楽。これからも全力で頑張っていくんだろうなと思いますが、体ひとつで足りますか(笑)?

ま に こ:いやぁ、足りないです。3つくらいに分身したい(笑)。

取材・文●山田邦子

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