【インタビュー】布袋寅泰「誰とも違
うものを目指していきたい」【BARKS
編集長 烏丸哲也の令和 楽器探訪Vol
.002】

日本を代表するギタリストのひとりとして、今もなお世のギタープレイヤーに多大な影響を与え続けている布袋寅泰だが、彼のギターに対する価値観もまた独創的で個性際立つものだ。プロの使用アイテムである以上、その作りはベストを尽くしたものであろうと思いきや、布袋寅泰のメインギターは今もなお「弾きにくく使い勝手の良くないギター」だという。果たしてそれはどういう意味なのか。
Zodiac Works TC-HOTEI WHITE LINE

──布袋寅泰のメインギターといえば、やはり白ラインの布袋モデルですよね。

布袋寅泰:そうですね。やっぱり僕の歴史を語る上であれがメインギターでしょうね。ただファンはがっかりするかもしれないけど、例えば『GUITARHYTHM VI』で使ったのは「Thanks a lot」くらいで、それほどレコーディングでは登場してないですね。

──「使いにくいギターを愛用する」というのは、どういう意味ですか?

布袋寅泰:もちろん一番はじめは、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、T-REX…そのポスターやジャケットやロック雑誌を見ながら「こんなギターを弾くとこんな音が出るのか」と思って、お小遣いをためたり、お母さんの財布から拝借したりしながら(笑)、まずはストラトキャスターやレスポールを使いましたよ。でもまあ、そのギターを持ったところでレコードと同じ音が出るわけもない。チューニングの仕方もわかんないし、音の歪ませ方も分からない。ディストーションなんてものも存在を知らなかったし。

──そうですよね。

布袋寅泰:「強く弾けばいいんだ」って思ってたし(笑)、強く弾いても音が大きくなるだけで自己嫌悪ですよ。「やっぱりオレ駄目だ」って。

──布袋寅泰でも「オレ駄目だ」と思った過去があるんですね。いい話です(笑)。

布袋寅泰:逆に言うと、今の人たちはいろんな便利なものがあって、あっという間にアリーナクラスのリバーブ感とか、いろんな歪みの音を手に入れられるから、そういった悔しい思いをしないのは残念なんじゃないかなとも思いますよ。

──ギター選びの基準は何ですか?
布袋寅泰:ロンドンにも有名なストリートがあって、そこには見たこともない美しいビザールなギターや高級なギターがウインドウに並んでいて、眺めながら歩くだけでギタリストはワクワクしちゃい、行くと必ずつい1本買ってしまうんですよね。でもそれって、僕の場合は一目惚れっていうか「誰も弾いたところを見たこともないギター」=「どんな音が出るのか分からないギター」なんです。綺麗な年代物のストラトキャスターやゴールドのレスポールは、そりゃ価値があって出る音もきっと素晴らしいんだろうけど、音も想像できちゃうっていうかフレーズまで想像できちゃう。やっぱりどこか王道のオーセンティックなフレーズ…ロックの歴史を追いかけてしまいますよね。僕はむしろプレイ・スタイルもサウンドも「誰とも違うもの」を目指していきたいなって昔から思っていたし、それはグラムロック、デヴィッド・ボウイも然りだけど、自分ならではの個性だよね。自分たちだけのルックスやサウンドやコンセプトでせめぎ合っていた時代だったんで、人と同じであるのは恥ずかしいことだった。だからストラトキャスター/テレキャスター/レスポールから始まったけど、その後は大枚をはたいてB.C.Richを使ったりフライングVを使ったりナショナルとかビザール系の弾きにくいギターばっかり選んで使っていたんだよ。まあ、僕は長身だっていうことがあって、なんかこう「普通のギターが似合わない」っていうのもあるんですけどね(笑)。

──そうですか?

布袋寅泰:小っちゃく見える。普通の人ではちょっと大きすぎるホワイト・ファルコンみたいなグレッチとかのギターが僕には丁度良いよね。やっぱり「人と同じではいけない」「人と同じ音を出してはいけない」っていうところからスタートしていますから。

──布袋寅泰もB.C.Richを通ってきたんですね。

布袋寅泰:BOØWYの前ですから。あれはモッキンバードでしたね。車でも洋服でも何でもそうだけど、隣に同じものがいるっていうのが嫌なんですよ。

──今でもそういう目線でギターを選んでいるんですか?

布袋寅泰:圧倒的にそうでしょうね。「見たことのないギター」と「価値があっていかにも弾きやすそうなギター」があったら、間違いなく前者を選びますからね(笑)。

──プロ・ギタリストとして、信頼/安心できる相棒としてのギター選びはないんですか?

布袋寅泰:ああ…それは欲しいですよね。

──本来必要ですよね。「敢えて弾きにくい」というリスクを未だ背負っているだなんておかしい(笑)。

布袋寅泰:どのフレットもチューニングがあっていてピックアップもバランス良くすべての音が平均的に出るという、ぶれないギターがレコーディングには必要だなって思って探したりするんだけど…うーん、でもそこに行けないのは、それって「普通を選ぶことだよな」って思うんですよね。やっぱ6弦22フレットの宇宙ですから、ドレミファソラシドは誰でも弾けるけど、同じドレミファソラシドは誰にも弾けないし、僕は僕のドレミファソラシドを弾きたい。だから敢えて拒絶していきたいし、そうでなければいけないっていうかね。やっぱり道具にも影響されるし、自分自身が道具を使わなければ自分の道具として活きてこないからさ、ちょっと歪なものの方が奇想天外なフレーズが出てくるし、ちょっと弾きにくい方が「鳴らそう」と身体が反応してくれるっていうか。伸びないギターを伸ばした方が、伸びるギターを伸びっぱなしにするより響くんですよ。絶対。

──相手の心に?

布袋寅泰:もしくは自分の中に。永遠に伸びるエフェクターで永遠に伸ばしても面白くもなんともないわけでさ、伸びないギターのサスティンをどこまで伸ばすかだよね。何だかんだ言いながらも、結構職人っていうか指先にこだわっているんだと思う。

──同じ精神性のギタリストって、他に誰がいます?

布袋寅泰:んー、いやぁ…。

──他にはいないですよね。

布袋寅泰:ギタリストと付き合わないですから。嫌いなギタリストが多すぎて。誰とは言いませんけど「そのギター使ってちゃ駄目でしょ」とか(笑)。

──ぶはは(笑)。

布袋寅泰:とは言っても布袋モデルは必ず登場するし、やっぱ昔の曲はあのギターじゃないと弾けないですよね。弾くとあの音がします。テレキャスターだけどテレキャスターじゃない、ソロ弾こうと思っても弾けない、でもそこで弾くから響く。あのギターは本当に弾きづらくて、お世辞にも立派なギターじゃないんです。作った人には申し訳ないけど、なんかオモチャみたいなギターなんですよ。でもオモチャ…フェイクだからこそのフェイクならではの本物感というものがあるんだろうな。

──確かに変なスペックですものね。

布袋寅泰:ジャクソン・ヘッドでね。昔はそのギター1本しか持ってなかったから、丸・バツ・三角・ハート柄やいろんな模様に塗っては塗り替えて、塗装だけで随分厚くなっていったんだよね。ある日あの独特なペイントを一筆書きで描いて「スーツにも合うし革ジャンにも合うし、これはいいな」なんて思って使っていたんだよ。今やあの柄が傘になり、靴下になり、布袋寅泰と語らずともあの柄だけで僕を連想して、BOØWYサウンドや僕のサウンドが頭によぎってくるわけじゃない?そういう意味合いでは「僕のギター」というよりは「僕のアイコニックな分身」だし「僕を語るヒストリー」と思いますね。

──最近手にした最も新しいギターはどういうものですか?

布袋寅泰:『GUITARHYTHM VI』ではドロップDのリフが多いんだけど、2018年に注文していたMotor Avenueっていうアメリカのビルダーの作ったギターが届いて、そのギターとの出会いが大きいですね。セミホロー・ボディでES-335くらいでかいんだけど、すごいガッツリしたマシンガンみたいなギターですごくエッジが効いてメタっとならないんですよ。あまり増やさないつもりではいるんだけど、毎年出逢いがあって(笑)、いろんなギターが増えていくよね。

──いいですね。
布袋寅泰:ギターとの出逢いで新しいフレーズが生まれたり新しい発想が生まれたり。そういうために僕はギターを選ぶんだと思うんですよね。もちろん道具を大事に、自分のスタイルをキープすることも大事だけど、僕はやっぱ変化していきたいので、そういうギターとの出逢いも楽しみにしているし、最近は海外のビルダーからの「1本作りたい」という話も随分多いですよ。

──ネットによって、出会いも増えたことでしょう。

布袋寅泰:ウェブでギターも買うこともありますしね。ザ・ローリング・ストーンズとの共演で使ったHahn Guitarsのゴールドギターも、「ハーンのテレキャスがいい」ってロンドンのスタジオミュージシャンから聞いていて、弾いてみたらフェンダーとは違う良さがあるんですよね。なかなか手に入らなかくてずっと探していたんだけど、日本に1本あるってきいてさ。

──ほお。

布袋寅泰:で、僕の名前を出さずにスタッフ経由で通販で買った。そんなときにストーンズから「来てくれ」っていう連絡があって、そのギターを持っていったんだよ。新潟の楽器屋さんだったけど「あれ、布袋だったの?」って思っているかも。

──ですね。

布袋寅泰:ギターも旅をして、いろんなストーリーを運んでくれるから楽しいですよね。

写真:Michiko Yamamoto
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
▲左からBOXセット、初回限定盤、通常盤

New Album『GUITARHYTHM VI』

2019年5月29日(水)発売
■UNIVERSAL MUSIC STORE限定販売:完全数量限定盤 GUITARHYTHM VI BOXセット
【CD+GUITARHYTHM VIグッズセット】
グッズ内容:『GUITARHYTHM VI』のロゴをデザインしたTシャツ、ジャガードマフラータオル、ネックストラップ、ピンバッジ、バンダナ、ステッカーシート
PDCV-1034 10,000円(税抜)
https://store.universal-music.co.jp/product/pdcv1034/

■LIVE Blu-ray付 初回生産限定盤
【CD+BD】
BD内容:2018年12月30日に大阪・オリックス劇場にて行われた「HOTEI Live In Japan 2018 ~TONIGHT I’M YOURS TOUR~」最終公演完全収録映像付
TYCT-69141 8,900円(税抜)

■LIVE DVD付 初回生産限定盤
【CD+2DVD】
DVD内容:2018年12月30日に大阪・オリックス劇場にて行われた「HOTEI Live In Japan 2018 ~TONIGHT I’M YOURS TOUR~」最終公演完全収録映像付
TYCT-69142 8,400円(税抜)

■通常盤
【CD】
TYCT-60138 3,000円(税抜)

関連リンク

BARKS

BARKSは2001年から15年以上にわたり旬の音楽情報を届けてきた日本最大級の音楽情報サイトです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • the Homeground
  • Key Person
  • 気になるワードでディグる! 〇〇なMV

ギャラリー

  • Tsubasa Shimada(PRIZMAX) / 「Wet Crate」
  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • Yun*chi / 「Yun*chiのモヤモヤモヤ」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 魔法少女になり隊 / 「魔法少女になり隊明治のあったりなかったり」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • 嘘とカメレオン / 「猫を抱いて蝶と泳ぐ」
  • エドガー・サリヴァン / 「東京文化びと探訪」