【ライブレポート】ノエル・ギャラガ
ー、爽やかな後味を残す緩急自在のス
テージ

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの4年ぶりの単独ジャパン・ツアーが、5月15日(水)、千葉・幕張メッセイベントホールにて初日を迎えた。
2018年夏の<SUMMER SONIC>出演に続いて実現した今回の単独ツアーでは、幕張を皮切りに、16日(木)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、17日(金)大阪・フェスティバルホールの3公演が行なわれる予定となっている。初日のステージではリリースされたばかりの最新シングル「ブラック・スター・ダンシング」やオアシス時代のナンバーを含むヒット曲満載のセットを披露し、詰めかけた6,500人のオーディエンスを魅了した。以下、そのオフィシャル・レポートをお届けする。

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とても後味のいいライブだった。“爽やか”という言葉すら脳裏に浮かぶほどに。2017年11月に3rd『フ―・ビルト・ザ・ムーン?』を発表、オアシス時代から通算で10作目の全英1位を獲得し、曲もバンドもこなれた状態で今回の来日公演は行われた。加えて来日直前、5月12日にマンチェスター・シティが英プレミアリーグで2年連続の優勝。ロッカールームを訪れたご機嫌なノエル(=幼少期からのサポーター)を、選手たちが「ワンダーウォール」の合唱で歓迎する映像がチーム公式SNSに投稿されている。
バンドとキーボード2名、曲によってはバックボーカル1名とブラス隊3名が加わるこの日の編成。「フォート・ノックス」で幕を開けてからの5曲は3rdの冒頭と同じ並びで、その後の選曲も最近の海外でのライブとほぼ同じ。にもかかわらず予定調和な退屈さを感じさせない理由に、クリス・シャーロック(Dr)とゲム・アーチャー(G)というオアシス時代からの盟友を含むメンバーたちが、緩急および重さ/軽さを使い分けながら、曲たちに気持ちいい風を吹き込んでいたこともあった。例えば「シー・トート・ミー・ハウ・トゥ・フライ」は、クリスの一瞬たりともぶれないドラムを軸にした生バンドならではのアンサンブルが、デヴィッド・ホルムス風味のこの曲に、青空の元で感じる類の光と風をまとわせる。続く、新曲「ブラック・スター・ダンシング」は、音源で聴くとデヴィッド・ボウイへのオマージュを感じさせたが、ライブでのアレンジはむしろニュー・オーダー曲を感じさせ、ノエルのマンチェスターの系譜を窺わせる。しかも途中で挟まれるゲムのギター・ソロの、しびれることといったら!
マンチェスター・シティが優勝してすぐ飛行機に乗ってきたノエル、疲労もあっただろう。しかし結果的にそれも功を奏したのか、トップスターの慣れや慢心ではなく、肩に力を入れすぎないながらも懸命に、目の前の観客に曲を届けようとするノエル・ギャラガーがそこにいた。今の顔ぶれで演奏するオアシス中・後期曲の“安心できる新鮮さ”にも驚かされつつ、アコギとキーボードでシンプルに歌われた「デッド・イン・ザ・ウォーター」が、新しい時代の名曲としての存在感を宿すさまをライブで目の当たりにできたのも良かった。爽やかな後味の、とてもいい夜だった。

文◎妹沢奈美
撮影◎Mitch Ikeda

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なお、各サブスクリプション・サービスでは現在、当日のセットリストがプレイリストとして公開されている。

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ 幕張メッセイベントホール公演 セットリスト・プレイリスト

再生リンク: https://lnk.to/NGHFB_Setlist


<NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS JAPAN TOUR 2019>

2019年
5月15日(水)千葉・幕張メッセイベントホール
※公演終了

5月16日(木)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
Open18:00 / Start19:00

5月17日(金)大阪・フェスティバルホール
Open18:00 / Start19:00

公演詳細:
http://smash-jpn.com/live/?id=3085

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