イチオシは、個性強めなメキシコの悪
魔祓い師 『ラ・ヨローナ〜泣く女〜
』#野水映画“俺たちスーパーウォッ
チメン!”第六十五回

TVアニメ『デート・ア・ライブ DATE A LIVE』シリーズや、『艦隊これくしょん -艦これ-』への出演で知られる声優・野水伊織。女優・歌手としても活躍中の才人だが、彼女の映画フリークとしての顔をご存じだろうか?『ロンドンゾンビ紀行』から『ムカデ人間』シリーズ、スマッシュヒットした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』まで……野水は寝る間を惜しんで映画を鑑賞し、その本数は劇場・DVDあわせて年間200本にのぼるという。この企画は、映画に対する尋常ならざる情熱を持つ野水が、独自の観点で今オススメの作品を語るコーナーである。
2019年、すでに何作ものホラー映画が公開されているが、まだまだ注目作が控えている。なんて良い年なんだ! その中でも、私が楽しみにしていた一本が、ジェームズ・ワン製作『死霊館』シリーズの新作『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』だ。「こんなに出し惜しみなくやってしまっていいのか!?」と思うほどのハイペースで公開されている、いわゆるスピンオフの一つだが、そのクオリティには間違いなし! さらに、ハロウィンにコスプレしたくなる、恐ろしい新ヒロイン(霊だけど)も生み出しているぞ。
(c)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
舞台は1970年代のロサンゼルス。ソーシャルワーカーのアンナのもとに、パトリシアという女性が助けを求めてくる。パトリシアは、「子どもに危機が迫っている」と訴えるが、アンナはこの言葉を無視してしまう。やがて、アンナと彼女の子どもたちは、女のすすり泣く声を聞くことに。その日を境に、アンナたちは恐ろしい現象に見舞われることとなる。神父によれば、一家を襲い続ける怪現象は、“ヨローナ(泣く女)”の呪いによるもの。果たして、アンナたちは子どもを連れ去るというヨローナから、逃れることができるのだろうか。
執念深い悪霊・ヨローナ
(c)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
本作は、実際にメキシコに伝わる怪談『ラ・ヨローナ』をモチーフとしている。幽霊であるヨローナは、亡くした子どもを探して川べりを泣きながら歩き、その声を聞いた者を不幸にするという。本作のキービジュアルに描かれたヨローナも、そのもの悲しさをたたえるようなドレス姿だが、本編の彼女の呪いはそんなにやわなものじゃない。アンナの子どもたちにあっという間に接近し、スルスルと家にまで入り込んでしまう。『死霊館』のように家に憑くのではなく、人に憑いて逃げ場を潰してゆく、アグレッシブなスタイルで襲い掛かってくるのだ。浴室で背後にいたかと思えば、次の瞬間には水の中から現れる。気持ちよくお風呂に浸かるアンナの娘に恐怖を植え付けるヨローナの姿には、「マジでたまったもんじゃない!」と思わされる。油断も隙もない幽霊なのだ。
ヨローナは、我々が気を抜いているようなタイミングに、何度も何度も、執念深く現れる。子どもを連れて行こうとする執着心は、母性の表れなのだろうか。しかし、対するリアル母・アンナも負けてはいない。ヨローナが子どもたちに手を出す度、あの手この手で守ろうとする。何度も繰り返されるその攻防戦は、観客を何度も驚かす、ジェットコースター系びっくりどっきりホラーといったところ。
私のイチオシ!個性強めな悪魔祓い師・ラファエル
(c)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
ヨローナの呪いに困ったアンナ一家は、教会を辞めた元神父で“呪術医”のラファエルを頼ることになる。この男が、終始仏頂面で、顔も濃ければキャラも濃い、なかなかの個性的な人物なのだ。独自にヨローナについて研究し、悪霊祓いの知識も豊富なプロフェッショナルなのだが、どこか胡散臭い。「手品かなんかじゃないの?」と除霊の効果を疑うアンナに、霊がいる証拠を見せた後で、真顔で「ジャジャ〜ン」とか言っちゃう。
好きなんですよ!!こういう怪しい(失礼)神父とかが出てくる作品。胡散臭くて怪しいのに、こういうキャラに限って凄腕なのがカッチョいい。ラファエル元神父も例に漏れず、平然とした顔でバリバリとヨローナと戦ってみせるので、こうご期待。また、ラファエルが、日本ではなかなか見ない方法で除霊を行うのも面白い。メキシコではポピュラーな手法のようだが、生卵を使って悪霊の所在を確認するのは初めて見た!メキシコならではの悪霊の退け方にも注目してほしい。

(c)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
本作は、『死霊館』シリーズの時系列では、9月に公開となる『アナベル 死霊博物館』と『死霊館 エンフィールド事件』(16)の間に位置するそう。ただ、外伝的な話なので、シリーズを知らなくともまったく問題ない。本作だけでヨローナの怖さにどっぷり浸かることができるぞ。とはいえ、アナベルシリーズを観ている方がニヤッと出来るシーンもあるので、お見逃しなく。
『死霊館』シリーズに舞い降りた新ヒロイン・ヨローナをチェケラ!
『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』は公開中。

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