『はい!丸尾不動産です。〜本日、家
をシェアします〜』兵動大樹が一緒に
住みたくないタイプはマナーモードに
しない人間「着信音を鳴らす人にオモ
ロイやつおらん」

『人志松本のすべらない話』で番組史上初のMVS(Most Valuableすべらない話)に2回輝くなど、大阪が全国に誇る話芸の達人として、芸人仲間からも多大なリスペクトを集める兵動大樹。彼が、落語家・桂吉弥とダブル主演を果たす舞台『はい!丸尾不動産です。〜本日、家をシェアします〜』の本番が刻一刻と近づいてきている。これまでSPICEでは、兵動&吉弥へのインタビュー、そして記者会見などを通して同作の概要に触れてきたが、現状はどこまで作品の準備が進んでいるのか。この日は番組収録のため関西テレビに訪れていた兵動、そして共演俳優である宮下雄也と三好大貴(劇団Patch)をつかまえて、進捗も含めて話を訊いた。
――2月末に兵動さん、吉弥さんのインタビューをさせていただいた際はまだ全容がはっきりとは見えていませんでしたが、あのときから状況に変化はありましたか。
兵動:そうですね。僕が不動産屋に勤めていて、おすすめするシェアハウスにはいろんな個性を持った人たち住んでいて……。あ、すみません。あのときから状況はそれほど変わってないですね!
――ハハハ(笑)
兵動:ただ、いろいろ話を詰めている段階で、より「面白いことになりそう」とは言えます。あと、共演者のみなさんとこうやって顔をあわせると、実感がわいてきます。読んでいた台本に厚みがでてきますね。
宮下:大阪で稽古をして本番を迎えるというのは、大阪出身の自分としては嬉しいです。母親は兵動さんのことがめちゃくちゃ好きなので、「会えたりできへんの?」としきりに聞かれます。舞台ももちろん見にきますし、楽屋に挨拶にも来ると思いますが、多分、全然知らないオバチャンもいっぱい連れてくると思います(笑)。
兵動:ちゃんと言うようにします、「宮下くん、この人ら全然知らんオバハンやんなあ!?」って(笑)。
三好:僕は、間寛平さんの劇団「間座」などでも兵動さんとはご共演させていただいていて、これで4回目。だけど、がっちりと絡むことはなかったんです。今回は不動産屋と住人の関係性なのでやりとりが増えてくるでしょうし、楽しみです。芸人さんって、みなさん自然体で舞台に挑まれるんですよね。特に兵動さんは、楽屋でご飯を食べているそのままの流れで舞台に上がっている感じなんです。ギアの入れ方が全然違います。
兵動:そうそう、いつもやっつけやねん。
三好:ちょ、ちょっと待ってください。そんな意味で言っていないです!
――ハハハ(笑)。今日の兵動さん、どんどん吹っ掛けてきますね!
兵動:でも、確かに僕はそんな感じ。あと、きっちゃん(桂吉弥)もぐいぐいと前に出るタイプでもないし。主演のふたりがそんなんやから、めちゃくちゃしょっぱいカンパニーになるんちゃうかなぁ。
宮下:兵動さん、ちゃんとやりましょ!
――めちゃくちゃしんなりしたカンパニーってことですか(苦笑)。ちなみにこの舞台のテーマは「部屋を借りること」ですが、部屋探しは重要な出来事の一つ。ワケあり物件とか、隣人トラブルなどが話題に上ることがありますし。作品の中では、兵動さんは部屋を貸す側、宮下さんと三好さんは借りる側になりますが、みなさん、これまで借りたお部屋で何か印象深い出来事とかってありましたか。
宮下:以前、2年住んだ家なんですけど、そこにいたときの運気が最悪で。たまたま知り合いにシャーマンがいて……。
兵動:ちょっと待って。知り合いにシャーマンがいるって、ほんまにたまたまやなあ。
宮下:そうなんです、たまたまシャーマンがいて。で、部屋を見てもらったら、ちょうどそこが霊道だったんです。霊が休憩していたりして。確かに体調もすぐ崩れていたし、決まった仕事がなくなったり、ついてないことが多かったんです。そんなある日、朝までお酒を飲んで帰ってきてお昼くらいまで寝ていたんです。そうしたら、ドンッという大きな音がして、目覚めたら覆面の作業員姿の男が立っていたんです。
三好:うわ、怖っ。
宮下:いきなり胸倉を掴まれて。ただその男が土足で、買ったばかりの白いカーペットが泥まみれになっていたことに腹が立って、「土足で入ってくんなや!」とキレたら逃げて、追いかけて捕まえたんです。後々に聞いたら頻出していた空き巣だったみたいで。お酒が残っていたから勢いで立ち向かったけど、シラフだったら無理ですね。それから引っ越したら、トラブルがパタッとなくなりました。
三好:僕はそこまでじゃないですけど、仕事で歌う曲なんかを部屋の中で軽く歌っていたら、あるときから隣の人がハモッてくることはありましたね。最初はサビだけだったんですけど、いつの間にか全部くるようになって。
兵動:みんな、いろいろあるんやなぁ。僕は早くから一軒家を買って家族で暮らしていたから、そういう経験がないんですよ。以前に一度、東京のある地域の部屋を借りようかなって思って、賃貸サイトで探したんです。で、条件面に「オートロック」だけチェックを入れたら4千件くらいヒットして、「こんなん探されへんわ」となって。そこで家賃条件を6万円に追加設定したら、たったの4件に下がった。東京の家賃、イカついなってびっくりしました。
宮下:東京は家賃が高いですからね。
兵動:だから今回のシェアハウスという話を聞いたとき、一人で暮らすほどのパワーはなくて、でも叶えたい夢や何らかの事情を抱えていて、そういう人たちで集まっていろんなものをシェアするという選択をとるんだなと気づいたんです。僕も東京の部屋を検索したとき、一瞬、シェアハウスを考えたくらいですから。
――でもシェアハウスって、やっぱり他人と暮らすわけですから、気苦労もありますよね。一緒に暮らしたくないタイプの人もいるでしょうし。
兵動:ガサツな人は無理ですね。
――ガサツと言ってもいろいろありますけど。
兵動:相方みたいな人(矢野勝也)。
全員:ハハハハ(笑)
兵動:矢野くんはガサツというか、ご陽気すぎるんですけどね(笑)。あと、僕は着信音をいつもオンにしている人が苦手なんです。電車の中でもマナーモードにしていなかったり。そういうガサツな人は無理ですね。これは持論なんですけど、「着信鳴らす人にオモロイやつおらん」と思っています。
――もし吉弥さんが鳴らすタイプだったらどうします。
兵動:黙って下唇を噛むようにします。「しゃあないな……」と。
――相方の矢野さんは鳴らすタイプなんですか。
兵動:めちゃめちゃ鳴らしますね……。
――鳴らすんですね(笑)。
宮下:僕もガサツは苦手ですね。脱ぎっぱなしとか、部屋を汚すとか、いびきがうるさいとか。他人と密に生活すると嫌になってしまう。自分も神経質なところがあるし、一人で落ち着ける時間がないとだめですね。
三好:ああ、わかります。家ではあまり喋りたくないですよね。芸事をしているので外では喋る機会が多い。だから、喋らなくても成立できるような生活がいいですね。もしかすると僕は、結婚とか向いていないかもしれません。
――でも芸人さんや役者さんはシェアハウスをしている人も多いですよね。
兵動:この5年、10年くらい、後輩も「シェアハウスしているんです」という子たちをよく見ます。芸人が何人か集まって3DKとか住んでいたりして。昔はそこまでなくって、一緒に住むとかは珍しかったですね。コンビで住むとか、ほとんどなかった。ただ、10年くらい経ったらそれも良い思い出になるでしょうし、僕も一回くらいは若手時代にやっていても良かったかもしれません。
――今回もいろいろとお話をうかがいましたが、稽古、そして本番が迫ってきていますし、いよいよという感じですね。
三好:6人しか出てこないワンシチュエーションの会話劇ですし、派手な演出ではなく、言葉で見せていく部分が多い舞台は、役者として新しい挑戦になります。兵動さんとの共演も含めて、きっとたくさんの刺激がもらえるはず。
宮下:芸人さん、役者さんなどいろんなジャンルのスペシャリストが生身で魅せていく舞台。ぜひ劇場で堪能してほしいです。
兵動:何もかもが未知数ですよね。三好さん、宮下さん、そしてきっちゃんなど、全く違う世界から来た人たちで作り上げていく舞台ですし、ハネ方も未知数ですよね。見たことがないくらい、ハネさせる芝居にするので、これから稽古をがんばっていきます。
取材・文=田辺ユウキ 撮影=田浦ボン

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