(C)2019 西炯子・小学館/「お父さん、チビがいなくなりました」製作委員会

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【映画コラム】映画界が本気で高齢化
社会に目を向け始めた『初恋~お父さ
ん、チビがいなくなりました』

 結婚50年を迎えた老夫婦(藤竜也、倍賞千恵子)の飼い猫のチビが突然いなくなる。それを機に夫婦間の溝があらわになり、妻は離婚を考え始めるが…という家族映画『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』が公開された。
 西炯子の人気漫画を小林聖太郎監督が映画化。『毎日かあさん』(11)や『マエストロ!』(15)でユニークな家族と隣人たちの姿を丁寧に描いてきた監督ならでは映画に仕上がっているが、今回は倍賞と藤という、若き日のかわいらしさとダンディーさの残り香を漂わせる2人を得たことが本作のポイントになっている。そして映画を見終わると、長いタイトルにもそれなりの意味があることに気付くことになる。
 藤が演じた、家のことはなにもしない、無口でええかっこしいの昭和のおやじはいまや絶滅危惧種だろうが、この後、2人はどうなる…と考えさせられるラストシーンが余韻を残す。2人の間に波紋を起こす昔なじみの女性を演じた星由里子の遺作となった。
 欧米に比べればベテラン俳優の活躍の場が少ない邦画界だが、このところ本作のほかにも、冨士眞奈美が認知症になった祖母を演じた『ばあばは、だいじょうぶ』(5月10日公開)、吉行和子が下宿の大家を演じた『雪子さんの足音』(同18日公開)、柳澤慎一と高橋長英が老兄弟を演じた『兄消える』(同25日公開)、認知症を患った夫を山崎努、その妻を松原智恵子が演じた『長いお別れ』(同31日公開)と、老優たちが主演する映画が目白押し。これは単なる偶然か。否、映画界が本気で高齢化社会に目を向け始めた証しなのかもしれない。(田中雄二)

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