『南から来た十字軍』はルーラルで
骨太のフュージョンを提示した
クルセイダーズの傑作
ソウルやファンクをバックボーンに持つ
ジャズ・クルセイダーズの音楽
クリード・テイラーが生み出す音楽は、白人ならではの洗練されたものであり、クルセイダーズはそれとは対照的に黒人音楽をベースにしたところに、ファン層の違いがあると思う。70年代半ばの日本の音楽嗜好で言えば、ポップスファンの多い関東ではCTI系が好まれ、ブルースやR&Bファンの多い関西ではクルセイダーズやスタッフの音楽が好まれていた。
70年にリリースされたジャズ・クルセイダーズ名義では最後となるアルバム『Old Socks, New Shoes』は、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「サンキュー!」やブルック・ベントンの「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」、ビートルズの「ゴールデン・スランバー」、クルセイダーズのライヴでは定番の「ハード・タイムス」「ウェイ・バック・ホーム」を取り上げるなど、すでに彼らの雑食性が表れた佳作となっている。この頃からジョー・サンプルは、彼のトレードマークとなったエレクトリックピアノを弾いている。
ジャズ・クルセイダーズから
クルセイダーズへ
ブルー・サムに移籍したクルセイダーズは、これといった決定打を出せなかったが、それはベーシストのパーマネントメンバーがいなかったからかもしれない。クルセイダーズには、なぜずっとパーマネントのベーシストがいないのか? それはサックスのウィルトン・フェルダーが誰よりもベースが上手かったからだと僕は思う。彼がセッションで参加する時はサックスよりもベースのほうが多く、特にロックのアルバムが多いが、どれも素晴らしいベースを披露している。ロン・デイヴィーズの『UFO』、スティーブ・ファーガソンの『スティーブ・ファーガソン』、アル・ジャロウ『グロウ』などでのベースプレイは、ヴォーカルを際立たせるいぶし銀のような名演奏だ。