「FM802は一緒に階段を上がってくれ
るラジオ局」DJ 飯室大吾とマカロニ
えんぴつ・はっとりが語る『Rockin’
Radio!』《FM802 30PARTY》

大阪のラジオ局FM802が2019年、開局30周年を迎えた。今年は「FM802 30PARTY」をキャッチフレーズとして、さまざまなプログラムやイベントでアニバーサリーイヤーを盛り上げていく。そんなスペシャルな1年、今年もFM802の春の風物詩、音楽で新生活を彩るオリジナルキャンペーンソング「FM802 ✕ TSUTAYA ACCESS!」が制作された。今年はaikoが作詞・作曲した「メロンソーダ」。そして、5月11日(土)にはこちらも毎年恒例となっている関西発オムニバスロックイベント『FM802 30PARTY Rockin’ Radio!』が、大阪城野外音楽堂で開催される。今回SPICEでは、ACCESS! キャンペーンソングに参加し、『Rockin’ Radio!』にも出演が決定しているマカロニえんぴつのボーカル・はっとりと、『Rockin’ Radio!』のMCをつとめ、彼らとも仲の良いFM802 DJの飯室大吾との対談を敢行。aikoとのレコーディング秘話や、『Rockin’ Radio!』への意気込み、そしてFM802について、ざっくばらんに語ってもらった。まるで兄弟のような2人の雰囲気で、和やかな対談となった。
◇出会いに対しての純粋さを、またaikoさんから教えてもらった◇
飯室:今年のACCESS! キャンペーンソングに参加されていますが、最初はどういうお誘いがあったの?
はっとり:マネージャーから「今回、aikoさんがキャンペーンソング担当するんだけど、もしかしたら話しがくるかも」って。でも、こういう場合の「もしかしたら」はそうならない場合の方が多いと思ってて、違う人になるんじゃないかなと思ってたんですけど、ご指名をいただいて。ラインナップを見てさらにびっくりしましたね。「この中にいいんですか?」という感じは正直あって。
飯室:声がかかった時は、どんな気持ちやったんですか?
はっとり:幼少期からaikoさんの歌で育ってて、ほんとに憧れの人なので、最初の感想は嬉しい以外の何でもなかったです。とにかく失礼のないように、「曲をダメにしないように」という思いは強かったですね。
飯室:最初は仮歌みたいなものを聴くの?
はっとり:仮歌を聴きましたね。
飯室:aikoさんの声の仮歌?
はっとり:そうです。
飯室:えー、聴いてみたい!
はっとり:フルaikoさん。aiko節というか、それですでに完成してるんですよね。聴いてみて、僕はどこを歌わせてもらえるんだろうって。
飯室:どこのパートになるのかと。
はっとり:サビ部分のキーが高かったので、男の人で誰がこれ出るんだろうと思ってたんですよ。Official髭男dismの藤原くんもめちゃくちゃ上手くて、未だに悔しいですけどね(笑)。サビ歌いたかったな……。
飯室:はっとりさんは2番のBメロを歌ってらっしゃるのですが、自分でもたくさん練習をしてレコーディングに臨んだんですよね?
はっとり:はい。僕の場合、感情が入りすぎてエモくなっちゃうんですよね。で、「歌詞の雰囲気とか、春という時期もあるから、もうちょっと優しめなニュアンスで」というようなことを言われて。自分では普通に歌ったつもりだったんだけど、客観的に見ると、「マカロニえんぴつのはっとり」が出ちゃってたんだなと。だからaikoさんの曲の雰囲気に寄り添うように修正していって。本番テイクは結構優しめに歌ったつもりですけど、それでもエモいねと言われるんで(笑)。でも声質が優しい方々が多い中で、「チャットモンチーのえっちゃん(橋本絵莉子)と、はっとりがいることで、メロンソーダの炭酸の役割じゃないけど、ちょっとロックな要素が入ってるのがいいですね」っと言われました。
飯室:なるほど! すごい腑に落ちたな、今の表現。
はっとり:FM802の三原勇希さんに言われました。「お2人が良い味を出してる気がする」って。すごい嬉しかったですね。
飯室:……勇希ちゃんいいコメントするやん……。
はっとり:あ、炭酸というのは俺が付け足しました! 炭酸の役割ができたらなって言ったら「良いこと言うね」と言われたんです。
飯室:じゃあその炭酸の表現、僕にください(笑)。めっちゃ良いやんそれ。
はっとり:ははは!(笑)
飯室:aikoさんの歌、聴いてみるのと実際自分で歌ってみるのは全然違うと思うんだけど。
はっとり:全然違いましたね。
飯室:やっぱり新しい発見みたいなこともあるの?
はっとり:メロディーは馴染みがあるというか、aiko節だと思ってたんですけど。「これ、サラッと歌ってたんだ」という驚きですかね。急に高いところから下がってくる。あれは自分の中にはなかった。だからこそ練習は必要でしたね。
飯室:今回面白いなと思うのは、例えばKANA-BOONの(谷口)鮪くんとかも、今までたくさん彼の歌声も聴いてるのに、今回の歌でまったく違う響きになるというか、新しい一面が開かれる。
はっとり:最初、俺も鮪さんって分かんなかったです。皆さん器用ですよね。明らかに曲に合わせて、歌い方をちょっと変えてますもんね。
飯室:はっとりさんも素晴らしいと思いますけどね。なんか、aikoさんもマカロニの曲、聴いてくれてたりするんだよね?
はっとり:2017年くらいにaikoさんのラジオの中で、「洗濯機と君とラヂオ」を流してくれて、長尺使って「この曲は良い」みたいなコメントしてくださって。それで、ジャンキー(aikoファンの呼称)にマカロニえんぴつが見つかったという(笑)。やっぱり影響力がすごいので、すごく感謝してて。レコーディング当日はaikoさんが来られなくて、おかげで緊張なく歌えたんですけど。
飯室:ははは(笑)。
はっとり:でも、後日メッセージをくださって。「行けずにごめんなさい。最新作も聴いてます。「ブルーベリー・ナイツ」が、歌詞の中からドキドキもエロも感じるし素晴らしい曲です」みたいな。
飯室:すごい。ちゃんと向き合って聴いてくれてるんやね。
はっとり:これだけ長いこと音楽業界のトップにいて、それでもまだ発掘したい欲があってアンテナ張ってるのがaikoさんの素晴らしいところな気がして。多分、音楽はじめた時から変わってないんじゃないかな。
飯室:うんうん、変わってない。
はっとり:それって当たり前のようで、だんだん当たり前じゃなくなる部分だと思うんですよ。
飯室:慣れていってしまう部分もあるやろうしね。
はっとり:感動から逃げるというか。「知ってる」と思っちゃったりする。「あ、このパターンね」とか。それすごく悲しいことで、僕も陥っちゃいそうになる瞬間があって。たとえば自分の制作が煮詰まってる時とか、業務的にインプットしてる瞬間、純粋に音楽との出会いを楽しめてない時がたまにあって。バンド始めた頃はもうちょっと自然にツタヤとかブックオフ行ってジャケ買いとかしてたなと思うと、大事な出会いに対しての純粋さを、aikoさんから今回また教えてもらった気がします。
飯室:うんうん。
はっとり:今回の「メロンソーダ」も、別れすらも愛して前向きな出会いを春に期待していきたいような曲。aikoさんはひたすら背中を押してくれるなと思いました。
飯室:いつか共演とかしたいよね。
はっとり:近々じゃないんですか(笑)。僕はそれをめちゃくちゃ期待してます!
◇「Rockin’ Radio!」出るからにはどういう役割を果たせるか◇
飯室:マカロニえんぴつは、大阪城野音の経験はある?
はっとり:初めてです。
飯室:初めての大阪城野音が我々FM802のイベントだっていうのは嬉しいね。素晴らしい会場ですよ。
はっとり:広いですよね。
飯室:広いですね。でも、だだっ広い会場でデカさにビビるのではなくて、野外ならではの開放感というか。緑も綺麗ですし。毎年言うてるんですけど、お客さんの顔がステージからよく見えるの。
はっとり:きっと、そうですよね。
飯室:めちゃくちゃ幸せそうな顔をしてる人たちに囲まれてるすごい幸せな時間ですね。野外自体の経験は?
はっとり:夏フェスとかで経験は増えていってます。でも少ない方ですね。
飯室:じゃあ、これを機に野外の一体感を体感してほしいな〜。
はっとり:マカロニは割と聴かせるゆっくりめの曲が多かったりするので、照明に頼りたい場合が多いんですけど、意外と野外でも映える曲持ってたなって。特に「ミスター・ブルースカイ」とか。
飯室:『ミスター・ブルースカイ』は絶対にやってくださいよ?
はっとり:やりますよ(笑)。
飯室:不思議なもので、普段ライブハウスでやってる照明という演出を使えないのに、こっちは見てて「足らない」とは思わないんだよね。ひょっとしてスモークとかの演出よりも、外で風感じながら見てるのが1番の演出なのかもしれないと思うしね。
はっとり:まあロックバンドですからね、僕が好きなレジェンドたちも、野音でやってる勇ましい姿を見てきたので。全ては立ち振る舞いで、堂々とビシッと立ってれば、外だろうと中だろうと関係ないのかなと思います。
飯室:エレカシの宮本さんなんか、その感じがするな。
はっとり:すごいする。ちょっと泥臭い感じというか、宮本さんは野音でアコギ持って歌うのが似合うんですよね。マカロニえんぴつも泥臭い寄りだとは思ってるんで、もしかしたら野音が似合うんじゃないかなと。
飯室:マカロニえんぴつ、ハマると思いますよ。他の出演者で気になる人います?
はっとり:やっぱ、King Gnuさんじゃないですかね。曲良し、ライブ良し、MV良し、ファッション良し。
飯室:服も髪型も良し。あの見た目やからさ、ちょっと悪いとことかあるかと思ったら、ないのよ。まっすぐに感謝の気持ちとかをステージで言ったりとかすんのよ。めちゃくちゃ良いバンドやなと思って。じゃあ面識はまだない?
はっとり:ないですね。
飯室:他にはだれかいるの?
はっとり:サイダーガールは昔よく一緒にやってたし、結構仲良くて。tetoもフェスやサーキットで何回か見たりはしてますけど、面識はないかな。Saucy Dogは仲良いですね。しんちゃん(石原慎也/Vo.)なんか、近所住んでるし。
飯室:あと毎年、少し先輩にあたるところのバンドがキャスティングされるんですけど、今年はTHE BAWDIESです。
はっとり:すごいなあ。全部もってかれそうだなあ。
飯室:THE BAWDIESは、自分たちの時間は完全に自分たちの色にできるのがすごいよね。
はっとり:すごいですよね。やっぱり大トリになるんですか?
飯室:Rockin’ Radio!って、“これからのシーンを担っていく人たち”っていう、フレッシュな一面もあるんですよ。だから必ずしも先輩がトリというわけではないと思うんだよね。
はっとり:今回出演者のバランスがすごい良いような気がします。
飯室:tetoとビッケブランカが同じイベントに出てくるんですよ。『Rockin’ Radio! 』だからできるんだよね。僕は毎年ほんとに楽しみにしてて、素晴らしいイベントだなといつも思ってる。
はっとり:この中で僕らがどういう味付けをできるかなって。
飯室:やっぱそんなことも考えるんや。
はっとり:出るからにはどういう役割を果たせるか。期待に応えるのは当たり前だと思うので、その先に他のバンドができない部分で色を出したい思いがあって、そこを今考えてます。考えたってやること一緒なんですけど(笑)。どういう気持ちで立てるかなっていう。
飯室:今、FM802のいろんな時間帯の番組で、マカロニえんぴつの楽曲がどんどんリスナーに浸透していってるところでの『Rockin’ Radio! 』なんで、すごくたくさん歌ってくれるんじゃないかなと思っていて。
はっとり:歌います、歌います。
飯室:お客さんがね。
はっとり:あ、お客さんがね。曲数のあおりがきたのかと思った(笑)。
飯室:ははは(笑)。
はっとり:持ち時間ってどのくらいなんですかね。30分なら9曲は歌えますね。
飯室:おおっと! 嬉しいよ!
はっとり:「ワンドリンク別」とか入ると9曲いけたりするんですけど、あの曲短いんで。
飯室:9曲やりましょう!
はっとり:「OKKAKE」はやるかな?! あの曲大阪で火がついた感じがするんで。
飯室:やってほしいなー。俺も「レモンパイ」から1番最初に「OKKAKE」をかけたもんね。ライブ感もすごくある曲だから聴きたいんだよな〜。
◇FM802は頼りになるラジオ局だと思ってる◇
飯室:はっとりさんが思うFM802のイメージみたいなものってありますか?
はっとり:日本国中でみても、いろいろ音楽番組に力入れてるラジオ局はあるけど、僕が思うラジオの正義がFM802にはある気がして。パーソナリティが全員ちょっとバチバチしてる。「自分の番組が推してる」とか、そういうところがいいですよね。ロックバンドのバチバチに近いというか。
飯室:発信していく上での、負けられへんプライドみたいなもんね。
はっとり:それがパーソナリティの方々1人1人にハッキリとある気がして。一緒になって応援してくれる熱量を感じるんで、バンドはやっぱり嬉しいですよ。共に歩んでいる感覚になる。特に自分たちはデビュー当時からお世話になってるんで、『Rockin’ Radio!』 も『RADIO CRAZY』もそうだけど、節目節目でちゃんと見てくれてるのが嬉しい。頼りになるラジオ局だなと思ってます。僕はここ数年の出会いですけど、30年って相当すごいと思うんですよ。
飯室:すごいよね。
はっとり:何においても長く続けるということは、愛されてないと無理だなと思うので。持久力がただ内側にあっても意味がない。リスナーがいるから続いてるんだと思う。この30周年というタイミングにキャンペーンソングで関われたことは、相当でかいと僕は思ってます。
飯室:ね、ね!
はっとり:おめでとうございます、ということしか言えないですけど。素晴らしいことだと思います。
飯室:長く続いていくには、ミュージシャンの皆さんが命削って音楽を作ってくれてるから存在できるというのも勿論あるので、一緒にもっとたくさん楽しいことしていきましょ!
はっとり:よろしくお願いします!
文=ERI KUBOTA 撮影=日吉“JP”純平

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