【never young beach インタビュー】
サラッと聴けて、
耳や心にもしっかりと残る新曲集

単純に飽きてたんですよね。自分が好きな音楽ややりたい音楽はいろいろとあるのに、なぜそれらをできないかを考えちゃって。そんな中でのトライでもありました。言ってしまえば、まっちゃん(松島)の脱退を機にやり切ってみようと。これまでの自分たちの3本のギターのイメージを良い意味で裏切りたい。でも、逆にそのためにもそれらに耐えられる自分たちの楽曲や歌やメロディーを作り出さなくちゃならないって。これを経ることは絶対に今後の自分たちの財産になる。それを信じて今回はかなりやり切りました。

男性にはない音域や柔らかさってあるじゃないですか。楽曲を活かすためだったり、それがもっとも楽曲の幸せなかたちであるなら、僕の歌や声じゃなくてもいいんじゃないかって。その楽曲に僕よりもフィットしそうな方がいたら、その方にお願いしたほうが絶対に曲として良くなるでしょうから。それは自分たち以外の楽器の導入に関しても同じ理由で。

やはりその楽器のオーソリティの方がやったほうが客観性も交えて、楽曲の良さが引き出されるでしょうから。

聴こえ方として面白いものがいいなって。きちんと伝えたいことや本質はあるんですけど、それをあえてみなまで伝えず、想像してもらう。あとは、フレーズ的なキャッチーさですね。《スカタン野郎》なんてフレーズも出てくるんですが、これは僕の敬愛する細野晴臣さんが「絹街道」という曲で使っていた言葉で。僕ら流に取り込んで、まったく違ったかたちとして表してみました。

その辺りは感じ方でいいのかなって。あえてどの曲も押し付けがましくしたくない部分はありました。さっきの余白の話と一緒ですよね。聴き手が想像を膨らませたり、自分に置き換えたり、気持ちを重ねたりして完成させたほうが面白いだろうと。今回は特にいい意味で流していて聴き流せるもの、聴いていて自然と風景と馴染んだり溶け込んだり、BGM的にスッと聴けるもの。その辺りをすごく意識して楽曲は作っていきました。だけど、よくよく聴くといろいろな発見や工夫、時々耳を惹くものやフックになるものがあって。そこから楽曲をより深く聴いてもらえる。そんな作品を目指したんです。

そのほうが絶対に親しみやすいでしょうから。

この曲で色がまったく変わりますからね（笑）。これは僕が作ったんですが、シンセ等も入っていたりして僕らっぽくない印象のようだけど、そこも面白いかなって。あえて何も考えていない感が最後に出せて、よりアルバムが軽くなるし、粋になりましたよね。

そこが狙いで！　リピートしてもらい、どこが始まりでどこが終いかが分からなくなってほしい（笑）。それぐらいの聴き流しっぱなしが理想です。どんな聴き手にもスッと馴染む、そんなアルバムになってほしいんです。