【インタビュー】ソロデビュー5周年
の寺嶋由芙、“いい女”の定義と令和
元年の誓いを明かす

寺嶋由芙が、10作目のシングル「いい女をよろしく」を4月17日にリリースした。表題曲「いい女をよろしく」は、ブラック&シティポップを感じさせるサウンドや、今までの“ゆっふぃー”のイメージにはないメロディラインが魅力。“いい女”というキャッチーなフレーズはじめ、歌詞においても彼女の新しい一面を引き出している。加茂啓太郎氏の楽曲プロデュースに加え、福嶋麻衣子こと“もふくちゃん"をプロデューサーに迎えた意欲作だ。

今回BARKSでは、このニューシングルについて、さらには、ソロデビュー5周年イヤーというひとつの節目を迎えている彼女に、これまでの活動を振り返ってもらった。自他共に認める「王道のアイドル」であり続ける彼女が貫く信念が見えてくるはずだ。

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■ ソロの面白味や強みを楽しめるようになってきた

── 2014年2月にソロデビュー・シングル「#ゆーふらいと」をリリースしてから5周年を迎えたわけですが、今、どんなことを感じているのでしょうか。

寺嶋由芙:去年2018年の10月21日に行ったワンマンライブ(<Yufu Terashima 5th Anniversary Live ~以前よく見たあの人も 通い続けるこの人も~>)が、初めてのソロライブからちょうど5年目のタイミングで、そこから5周年イヤーが始まったんですが、スタッフの方やオタクのみんなに言ってもらったり祝ってもらったりして初めて「もう5年経ったの!?」って気づいたくらいなんです(笑)。ですので、活動を続けていたらいつの間にか5年経った、というのが正直なところですね。

── その5年を振り返ってみて、転機はありましたか?

寺嶋:そうですね…やっぱり2016年に事務所とレーベルを移籍したことだと思います。ちょうど1stアルバム『わたしになる』のリリースとも重なる時期なんですけど、それまでお世話になったスタッフさんから新たにお世話になるスタッフさんへといろいろ引き継いでいただきながら、なおかつオタクのみんなに喜んでもらえる作品にしようという意識でした。

── 『わたしになる』は「古き良き時代」を彷彿とさせる王道のアイドルソングから琴線を震わせるバラード、エキセントリックなアッパーチューンまで実に多彩な意欲作となりました。

寺嶋:そうなんです。アートワークやミュージックビデオをスミネム(スミス+夢眠ねむ)さんに手がけていただいたりもして、私にとっての大きな転機になったのかなと思います。

── いつも笑顔のイメージがある由芙さんですが、これまでの活動の中で心が折れそうになるようなことはなかったのでしょうか。

寺嶋:私、振り返ってみるとラッキーなことが多くて。もう無理かもっていうピンチが訪れると、必ず誰かに救ってもらえるんです。それこそ移籍をするときも、移籍先が決まらないままアルバムが宙ぶらりんになっちゃう可能性もあったんですが、呼んでいただいたイベントでたまたま現事務所のディアステージのスタッフさんがいて、「じゃあウチにおいでよ」って言ってもらえたり。そのときどきで助けてくれる人に巡り会いがちなんです。

── 以前、デビューまでの道のりをお聞きしたときにも感じましたが、やはり由芙さんには“引き寄せ運”があるのでしょうね。

寺嶋:人との出会いやタイミングには、本当にすごく恵まれていると思います。アイドルはグループでやるものだと思っていた5年前の私は、アイドルグループのメンバーになるためにいろいろ模索していて、ソロでやっていくつもりもなかったし、なんのコネクションもなかったんですけど、今もお世話になっている加茂啓太郎さんにたまたま出会って。

── 加茂さんはウルフルズ氣志團フジファブリックなどを発掘したことで知られる方ですよね。

寺嶋:当時、たまたまアイドルのプロデュースに興味を持ち始めていた加茂さんから、「一緒にやりませんか」と言っていただきました。夏に出会って、もう秋にはライブに出ることになり、曲も作っていただき……。

── 気づけばソロアイドルとして走り始めていた、みたいな。

寺嶋:そうなんです。
── というスタートから今に至るまで、ご自身で感じている変化はあるのでしょうか。

寺嶋:ソロの面白味とか強みみたいなものを自分自身が楽しめるようになってきたな、ということは感じています。正直言うと、最初は周りのみんなはグループなのに私はひとりでどうしよう、っていう戸惑いがあって。ひとりで1曲を歌いきるのも、ワンステージやりきるのも大変だったんですね。でも、最近はひとりだからこそ好き勝手できるソロの醍醐味がわかってきました。

── すっかりプラスに、ポジティブに捉えられるようになったのですね。逆に、これは変わっていない、ずっと貫いているということは?

寺嶋:オタクを楽しませる、ということですね。アイドルなので当たり前のことではあるんですけど。ここのところ、いろいろなアイドルさんの脱退や卒業、グループの解散が続く中で、私は応援してくださる方たちが不安になってしまうようなことはしたくないし、「いつでもゆっふぃーがいる」っていう安心感を持っていただきたいなって思うんです。

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■ アイドルは、表で見せるものがすべて

── 由芙さんはいつも笑顔でキラキラと輝いていて、その言葉からも応援してくださる方への想いがひしひし伝わってきます。何故、そういられるのでしょうか?

寺嶋:私自身が好きだったアイドルがそうだったから、ですかね。

── モーニング娘。安倍なつみさんなどですね。

寺嶋:そうです! 安倍さんは私が一番好きで憧れたアイドルで。ただ、当時の私は小学3年生くらいだったので、『ASAYAN』の審査合宿やセンター争奪の大変さは理解できず、「なっちがかわいい!」としか思っていなくて。その原体験があるから、アイドルはいつもニコニコして歌や踊りで楽しませるもの、表で見せるものがすべてだと思っているんです。裏側的なことには興味がないし。それが今のアイドルシーンの需要と合っているかどうかは、わからないですけど(苦笑)。

── 確かに、プライベートもどんどん明かしていくという流れではあるかもしれません。

寺嶋:リアリティのあるものを求めていたり。もし自分が中高生のころにアイドルになっていたら、そういう流れに飲み込まれてしまっていたかもしれないし、もちろん、そういうあり方も全然ありだと思うんですね。でも、グループではなくソロで活動している私は、自分を切り売りするにしても限界がありますし(笑)。だからそこには頼らず、曲を面白くしてもらったり、ステージを頑張っていったりするべきなんじゃないかなって。

── あくまで表現で勝負していくと。今回のニューシングル「いい女をよろしく」にしても、まさに“面白い”曲です。

寺嶋:ありがとうございます! 5周年で10作目のシングルということで、スタッフさんから「原点回帰をしよう」という提案がありまして。ハロー!プロジェクト楽曲の作詞を多く手がける児玉雨子さんに歌詞をお願いしたりだとか、いつもお世話になっている竹中夏海さんに90年代っぽい振付をしていただいたりだとか、私が好きな憧れのアイドルである当時のモーニング娘。さん、ハロー!プロジェクトの要素をたくさん詰め込みました。

── だからですね、「LOVEマシーン」(1999年リリースのモーニング娘。初のミリオン達成曲)のようなインパクトがあるし、圧倒的なパワーを感じます。

寺嶋:そう感じていただけたなら嬉しいです!


▲シングル「いい女をよろしく」初回限定盤

── 一度聴いたら誰だって覚えられますしね。

寺嶋:変なかけ声が入っていたり(笑)。

── どこか懐かしくもあり、当時を知らない人にとっては新しいものとして響くはずです。ファンキーでサンバっぽい雰囲気は中毒性も高いですよね。

寺嶋:という曲を歌ってダンスするにあたっては、“やりきること”が大事だったんですけど、パフォーマンスしているときにいろいろなことを考えてしまう私にとって、最初のころはそれがなかなかどうして難しくて…。

── 由芙さんはロジカルシンキングな方だなと思いますから、がむしゃらに振り切るというのは対極にある行為だし、自らの中のなにかを壊して解き放たないといけませんよね。

寺嶋:そうなんです。裏設定を考えながら歌うことが多かったこれまでと違い、「いい女をよろしく」は真逆とも言えるファンキーソング(笑)。それが5年目に与えられた試練なのかな、と思って今も挑んでいるところです。

── 胸元で手をパカっとする振付けにしても……。

寺嶋:恥ずかしそうにやってしまうと見ているほうが恥ずかしくなってしまうので、思いきりやらないといけない。

── ミュージックビデオを観ても、とてもカッコカワイイです。
寺嶋:よかったです! 嬉しい。MVは、“いい女”が仕事を終えて家に帰ってきて、オフの時間を過ごして、翌朝にはまた“いい女”として出勤していくまでを描いていて。打ち合わせから参加させていただいたんですけど、ずっとやりたかったバスタオルを巻いて踊るシーンも入れられました。

── あのバスタオルで踊るシーン、タオルがとれてしまわないかドキドキしていたら、あ、とれた!という驚きが(笑)。

寺嶋:松浦亜弥さんの「♡桃色片想い♡」のMVが大好きで、オマージュしようと。最後にバスタオルがとれるところまで絶対にやりたかったんです。

── ほかにも、鍋から直接ラーメンをすすったり、“寝ていても口に寿司よ入ってこーい”というフレーズがまさか実現してしまったり(笑)。

寺嶋:いい女もオフは干物女だったりするんだぞ、っていうことでいろんなずぼらシーンを盛り込んでみました(笑)。足でティッシュをつかむのは大変で、これができたら逆にすごいぞ、って思ったりしつつ。

── でも、見事につかんでいましたね。

寺嶋:あれはもう、めちゃめちゃ練習しました(笑)。あと、今回はぬいぐるみの猫ちゃんだけじゃなく、ものすごく芸達者な実際の猫ちゃんがいてくれて。

── 由芙さんの顔の上に乗ったりして、ほっこりします。

寺嶋:そうなんですよ、現場もすごく和んで。そしてあのにゃんこ、カメラテストのときは全然私の横にいてくれないしカメラも見てくれないのに、本番になった途端、ちゃんとやるんですよ。

── 女優猫!(笑)

寺嶋:本当に。あの猫ちゃんから、プロのあり方を学びました(笑)。

── という楽しいMVですが、歌詞には働く現代女性のリアルがあって。背中を押してもらえたりもします。

寺嶋:まさに、女の子への応援歌にしたい、という想いがあって。私自身、ハロプロの女の子視点の曲が好きで、「いい女をよろしく」を聴いた女の子たちが少しでも元気になったらいいな、と思います。

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■ 令和はソロアイドルがもっと注目される時代にしたい

── ちなみに、由芙さんが思う“いい女”の定義とは?

寺嶋:「いい女をよろしく」の2サビです。“あなたの前じゃ あんまり泣かない もっと嬉しい話をしよう”っていうフレーズを読んだときに、これだ!って思いました。家での姿はどうだっていいけれど、オタクの前ではみんなの癒しになるような、いい女になりたいので。

── 信頼で結ばれているほど、相手に弱い自分を見せてしまったりもするのでしょうけど……。

寺嶋:実際、友だちよりもオタクのみんなとのほうがたくさん会っているし、私のことを理解してもらっていると思うんですね。でも、だからって弱い自分をさらけ出しちゃったりしたら、もはやアイドルではなくなってしまう気がするし……逆に私もひとりひとりの悩みを吸い取ることはできないわけで、だったら全員が笑顔に、元気になれるようなパフォーマンスをする、というのが理想なんです。そのほうが、結果的にたくさんの人を救えると思うので。

── やはり、由芙さんの信念はブレないですね。

寺嶋:“頑固”とも言われるんですけど(苦笑)、そこはこれからも変わらないだろうし、変えたくないです。

── さすがです。一方で、カップリングの「Last Cinderella」は、オシャレなシティポップのような、スウィートなナンバー。

寺嶋:kiki vivi lilyちゃんが“ゆり花”という名義でシンガーソングライターをしていたときから、ゆり花ちゃんに楽曲提供してもらったり、ゆり花ちゃんの楽曲をカヴァーしたりとか、交流があって。kiki vivi lilyちゃんとして新たなスタートを切っている彼女と、またタッグを組ませてもらいました。ゆり花ちゃんいわく、加茂さんからは「2人で抜け出しちゃうようなちょっとエッチな感じで」っていうオーダーがあったみたいです(笑)。


▲シングル「いい女をよろしく」通常盤

── 歌詞にしろささやくような由芙さんの歌い方にしろ、同性でもドキっとしてしまいます。

寺嶋:普段は“みんなのアイドル”と自称している私が、突然“抜け出しちゃおう こんな夜は二人きりで落ち合うのよ”って言い出すっていう(笑)。ただ、ささやくような歌い方はすごく難しかったです。これまでは、パーンと歌い上げて最後しゃくるみたいな、まさに「いい女をよろしく」のようなアイドル歌唱をしてきた私としては、kiki vivi lilyちゃんのセクシーな仮歌を聴いて、「これどうやって歌ったらいいの!?」って(苦笑)。アイドルソングってリズムにパキパキはめていくのが楽しいんですけど、後ろノリで歌うのにも苦労したし。kiki vivi lilyちゃんからアドバイスをもらって練習をしつつ、歌録りの日にはkiki vivi lilyちゃんがわざわざ福岡から来てくれて、直接指導を受けながらなんとかレコーディングしました。「いい女をよろしく」と同じく、やりきった曲でもあります。色っぽいけどいやらしくなっちゃいけない、ということは意識しつつ。

── 特別な人にだけ見せる特別な顔、だからドキっとするんですよね。

寺嶋:そうなんですよね。誰にでもそうなんじゃなくて、今夜だけ、この人とだったら抜け出してもいい、っていう特別な人。そういう“今夜だけですよ”という雰囲気を大事にして撮ったMVも、シングルの発売日前後に公開しますので。ぜひご覧いただければと思います。

── MVの仕上がりが楽しみです!
寺嶋:あと、私自身でイスオーディションを行いまして(笑)、ライブではそのイスを使ってダンスをするんです。

── お、それも新たな試みですね。

寺嶋:そうなんです。「イスがあると色気度が増す!」と言っていただいたりもしているし、また自分の可能性を広げることができた作品にもなったな、と思います。

── 「Last Cinderella」の歌詞に“誰も知らない本当のわたし”というフレーズがありますが、普段は見せない一面をなにか明かしてもらえますか?

寺嶋:なんだろう……部屋はあまりきれいではないです(笑)。私だけでなく家族全員ゆるキャラが好きで、ぬいぐるみやらグッズが増える一方なんですけど、散らかっていてもあまり気にならないし。リリース前でバタバタしているときには、なかなかひどい有様になりがちです(苦笑)。ただ、母親が片付けが大好きで得意なんですよ。なので、大人なのにママにいつも片付けてもらっていて。本当に感謝しています!

── アイドルとして完璧な由芙さんにもそんな意外な一面があったとは(笑)。さて、シングル「いい女をよろしく」リリース後は、どんな活動を予定しているのでしょうか。

寺嶋:7月8日が私も誕生日で、ありがたいことにその近辺には毎年ライブをしてオタクのみんなと過ごしているんですけど、今年も7月7日に誕生日ライブの開催が決定しました! “推しのお祝いはオタクのお祝い”が私のモットーなので、祝ってくれるオタクのみんなが喜んでくれるようなライブにしたいな、と思っています。

── 素敵な1日になりそうですね。では最後に、5月1日からは“令和”時代が始まりますが、由芙さんの令和元年の誓いは?

寺嶋:平成はグループアイドルの時代だったと思うんですけど、令和はソロアイドルがもっと注目される時代にしたいです。私は一足早くソロになっていろいろ経験したからこそ、平成の時代を頑張ってきてこれから道を模索する子たちの手助けができるだろうし、自分のことももっと大きくしていきたい。そして、“古き良き時代から来ました”と謳いながら平成しか知らなかった私が、令和になれば「古き良き平成を知ってます!」と胸を張れる、っていう期待感もあります(笑)。

取材・文◎杉江優花

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▼リリース情報

■ニューシングル「いい女をよろしく」
2019年4月17日(水)発売

【初回限定盤】(シングルCD+DVD)
TECI-668 / ¥1,667+税
[CD]
1.いい女をよろしく
2.Last Cinderella
3.いい女をよろしく -Off Vocal-
4.Last Cinderella -Off Vocal-
[DVD]
1.「いい女をよろしく」Music Video
2.「いい女をよろしく」Making Video

【通常盤】(シングルCD)
TECI-669 / ¥1,111+税
[CD]
1.いい女をよろしく
2.Last Cinderella

▼イベント情報

■生誕ライブ開催決定!
日程:2019年7月7日(日)
会場:日テレらんらんホール

■ニューシングル「いい女をよろしく」リリースイベント
※詳細は後日発表いたします。オフィシャルHPをご確認ください。
http://yufuterashima.com

※終了分は割愛

4月18日(木) 東京・タワーレコード渋谷店 5F イベントスペース 20:30~
4月19日(金) 東京・SHIBUYA TSUTAYA 2階 特設会場 20:00~
4月20日(土) 東京・タワーレコード新宿店 7F イベントスペース 20:30~

<ゆっふぃー文化祭>
4月21日(日) 東京・アキバプラザ 大ホール14:00スタート

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