ドラマの世界にぴったりハマる「鍵のかかった部屋」主題歌を徹底解剖

ドラマの世界にぴったりハマる「鍵のかかった部屋」主題歌を徹底解剖

ドラマの世界にぴったりハマる「鍵の
かかった部屋」主題歌を徹底解剖

闇を抱えた心

歌い出しの部分では、自分の殻にこもり、孤独に苦しむ姿が描かれています。人と距離を空け、いつも地下の備品室にこもっている榎本径の姿と重なります。
とある事件で嫌疑をかけられて以来、会社の人間とも距離を取るようになった榎本が、ふとしたきっかけで青砥純子、芹沢豪と出会い、絆のようなものが生まれていきます。
それでも、一定の距離を保ち、それ以上は踏み込ませない榎本の心の奥底にあるものを、この歌詞が代弁しているように見えます。"本当は、一歩踏み出したい、もう一度人と触れ合いたい"そんな本音が見え隠れして、でも踏み出せずに留まっている苦悩がにじみ出しています。
SOSを出したいのに、言えない。出せばきっと、青砥や芹沢なら手を掴んでくれるはずです。それでも、最初の一歩を踏み出す勇気が持てず、いつもの部屋に引きこもる。そんな悲しみに似た感情が流れています。
心をかき乱す存在

歯車が少しずつかみ合わなくなり、自分の感情さえコントロールできない状態に陥っているのでしょう。自分という殻の中に閉じこもり、他人との関わりを断ってきたのに、青砥と芹沢という2人の存在によって、人との関わりを持つこととなった榎本の状況と重なります。
普段は無表情で冷静、物静かな榎本ですが、青砥の少々天然な言動によって、彼の感情にさざなみが経つ場面が時折あります。少しずつ調子が狂う、そんな感覚の中で戸惑っている榎本の心情を見事に表現しているといえるでしょう。
「榎本径」の不可思議さ

一方で、サビの部分では青砥から見た榎本の心情が描かれています。ドラマの中で、榎本の素性は明らかになっていません。どうやら過去の事件をきっかけに人と距離を置くようになったこと、警備会社の職員であり、鍵や防犯にやたら詳しいということくらいです。
時折怪しげな雰囲気を醸し出しつつも、核心に迫る場面もなく、榎本径という男がどこの誰なのかは不明のまま。そんな正体不明かつ愛想もない彼に、なぜか惹かれてしまうのは、青砥も芹沢も同じです。
榎本自身は変人で、親しい友人らしき存在も描かれていません。しかしながら、事件の度に榎本と関わっていくうちに、2人は徐々に榎本径という人物に惹かれてしまうのです。
「素顔見せないままEscape」とは、まさに謎を解明したらさっさと姿を消してしまう榎本そのものです。密室以外には興味を持たず、事件解明後は興味を失ってしまう密室オタク。つかみ所のない彼の存在をずばり言い当てた歌詞が絶妙です。
近づくほどすり抜けていく

2番では、つかみ所のない榎本をどうにか掴もうと奮闘しています。ドラマは一話完結ながら、3人の関係は進行していきます。初めは尊敬し、まともに文句を言うこともできなかった青砥が、徐々に芹沢に対して大きな口を叩けるようになっていく中、榎本はいつまで経っても2人にすり寄ろうとしません。
それどころか、少し知った気になって近づこうものなら、するりと逃げられてしまいます。素性も知れず、一人きりでいる時には、どこかの鍵を開けている榎本。どこか非合法さを感じさせる危険さもあり、淡いグレーから限りなくクロに近いグレーへと変わっていきます。
それでも、尻尾を出すこともなく、警察にも、青砥たちにも捕まえることのできない男です。きっと榎本の周りには、いくつも疑似餌があり、誰も真実に辿り付けないよう、自分の本性を暴けないようにしてあるのでしょう。
難攻不落の城のように、謎という鉄壁のベールに守られた榎本径。近づけそうで近づけない不可思議さに、戸惑う青砥の姿が目に浮かびます。
秘められた傷跡

原作には描かれていませんが、ドラマで榎本は過去に嫌疑をかけられ、苦しい立場に置かれた経験があります。その時、誰も味方になってくれなかったのでしょう。職場の人間と距離を置き、地下の備品室にこもるという、現在のスタイルにつながる出来事です。
その時感じた孤独が、榎本を変えたのか。人に言えない、もっと深い闇があるのか。榎本はすべての闇を、謎というベールで覆い隠してしまいます。ただはっきりと分かっていることは、彼は密室を解いたらいなくなるということ。どれほど付き合いが長くなろうとも、それは変わりません。
素顔を見せない魅力

結局、榎本は最後の事件を解いた後、行方知れずになってしまいます。
いくつかのダイヤをくすねた疑惑と、つながらなくなった携帯電話、そして空港からの電話。榎本は最後まで、もしかしたら犯罪者かもしれないという疑惑を払拭させることなく、かといって証拠を握らせることもなく、周りの人間を翻弄します。
空港で、どこか外国へ行く風の電話をかける榎本は、電話を切った後、ドラマではおなじみとなった不敵な笑みを浮かべて立ち去ります。
彼が過去に追った傷跡は癒えたのか、この先どこへ行くのか。結局、彼が人との距離感を変えることはありませんでした。正体不明なのも相変わらず。彼は彼のペースで生きていくのです。
最後の鍵を開けたら、本当にフェードアウトしてしまった榎本は、ドラマの視聴者をも翻弄しました。それだけ、魅力的で不思議な魅力に溢れた人物なのです。
そんな榎本径の心情に寄り添ったような歌詞を見ていると、少しだけ、彼の本心を知れたような気がします。
TEXT 岡野ケイ

アーティスト

UtaTen

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