【インタビュー】レフュージ「またケ
ミストリーが生まれるな」

ジャーマンメタルの老舗、レイジの初期メンバーであるピーター・"ピーヴィー"・ワーグナー(Vo、B.)、マンニ・シュミット(G)、クリス・エフティミアディス(Dr)によるレフュージは、当時のレイジの楽曲から名付けられた別名義バンドである。

2016年には来日公演も行われたが、一時的なものだと思われていたところ、2018年にレフュージ名義でもニューアルバム『SOLITARY MEN』をリリースしてファンを驚かせたのも束の間、再来日を果たした。

1988年から1994年までのラインナップによる迫力に満ちたステージは、『TRAPPED!』と『THE MISSING LINK』からの楽曲を中心にしながらも、ニューアルバム『SOLITARY MEN』の作品を織り交ぜても全く違和感のないものだった。トリオならではのタイトでキレまくる重低音に包まれた往年の代表曲がこの3人で蘇る事だけでも感涙だが、どのパートの音の抜けも非常に良い。ピーヴィーはいつも通りアグレッシブなベース・ヴォーカルを、クリスはオープニングアクトを努めた別バンドもプレイしており、2ステージをこなすパワーヒッターだ。そしてマンニのリフ、ソロはともに改めて特徴的で、あのまま現役を続けていたら時代のギター・ヒーローのひとりになれたのかもしれないと思わせた。このままレフュージの活動を今後も続けて欲しいものだ。終始、ピーヴィーの「マッドネェース!」の煽り連呼も場内を非常に楽しませていた。

クリス(Dr)は2バンドのサウンドチェックの為に不在であったが、ピーヴィー(Vo、B.)とマンニ(G)のふたりが東京公演の直前にインタビューに応えてくれた。
──レフュージとしての再来日、本当に嬉しいです。

マンニ:日本はいつ来ても嬉しいし、ヨーロッパ人にとっては日本は特別な国なんだよ、だから本当に嬉しいよ。

ピーヴィー:俺はね、ちょっと疲れたよ。朝6時まで飲んでいたから(笑)。でも楽しいんだ。

──2016年の来日公演で、この3人でのステージが実現したわけですが、復活していかがでしたか?

マンニ:2016年の来日は、凄く心を打たれた感動的な瞬間だったよ。1992年や1994年に来てくれていた人たちが来てくれて、再会もできたし涙が出たよ。ある意味、冒険ではあったけどバンドとしても新鮮な気持ちになれた。それからもずっと続けることができて、ロシアやヨーロッパ、アメリカなどの各地でライブができてとても光栄に思っているよ。

ピーヴィー:あれからノンストップでニューアルバムを作ったりライブをしてきたね。

──まさかニューアルバムまで出るとは思いませんでした、いつから構想があったのですか?
マンニ:レフュージとして活動してまもなく、ピーヴィーが遊びに来たんだ。彼が「今凄く気分が良いんだ。気持ちが盛り上がっていて、アイディアもたくさん出て来ているから曲を作ろう」と。それでデモを作る事にしたのさ。でもその時はまだアルバムを作るつもりはなくて、いつかはレコーディングができたらいいなくらいの軽い気持ちだった。

ピーヴィー:そうこうするうちに、いろんなレコード会社からオファーがあった。それでもアルバムを作る気はなかった。レフュージはあくまでも懐メロのお遊びバンドな感じで、ただ楽しんでいるだけだったんだ。

──確かに、当時「レイジがあるからレフュージはプロフェショナルなバンドではない」と言っていましたね。

ピーヴィー:でもフロンティアーズから電話が何度も来てしつこくてさ(笑)。どうもこのラインナップ時代のファンだったみたいなんだ。それで最終的に折れてやる事になった。ただし条件として、いつまでにとかプレッシャーはかけない事、できた時がリリースだという事にしてもらったんだ。それで自由にやっていたら3年もかかってしまった。制作は1980年代に最初に使っていたリハーサルスタジオに戻って、昔ながらのやり方に拘ったんだよ。今どきのファイル交換ではなくて、全員が集まってライブ感覚でリハーサルをして、曲を書いて行った。30数年ぶりに昔と同じ環境でやったんだ。

──最新作『SOLITARY MEN』は、かつてのレイジサウンドが更に円熟しながらも、シンプルでルーツに戻った感じがしました。

ピーヴィー:1980年代に未完成だった楽曲を作り直したりもしたんだ。「Watarfalls」もそうだし、「Another Kind Of Madness」は『THE MISSING LINK』アルバムの日本盤ボーナストラックにアコースティック・ヴァージョンとして収録していたんだけど、なぜかエレクトリック・ヴァージョンはやった事がなかった。「Hell Freeze Over」は、マンニがレイジ加入前の1986年くらいからあったアイディアの曲で、今回やってみたんだよ。最初に出した音で、すぐにこれはイケるなと思ったよ。「またケミストリーが生まれるな」って。

──当時とは違う部分はありましたか?
マンニ:環境的な違いはあるね。昔は毎日リハーサルもできたけれど、今では僕とクリスは別の仕事もあるからそうもいかない。もちろん歳も取ったし(笑)。でもその分、賢くもなったかなと思うよ。ネガティブな部分は排除して、ひたすら楽しんで集中もできるようになった。

──制作過程での違いはいかがですか?

マンニ:昔は当然ながらアナログだったし、ベルリンの大きなスタジオまで行ってテープに録音していたし、今のようにコンピューターで修正もできないから、一発を緊張して録っていたよ。

ピーヴィー:今回もアナログでこそないけど、レコーディングは極力昔のようにやってみたよ。みんなで顔を合わせるプレイが大事だからね。

マンニ:クリスのドラムもひとりで演るより、みんなと演ると凄くパワーがあってエネルギッシュになるんだ。

──ブックレットの写真が、ビフォー・アフターで面白いですね。

ピーヴィー:<70000 Tons Of Metal>クルーズに出た時に、誰かが昔と同じ位置で写真を撮ろうよと言い出してさ。でもその時にオリジナルの写真がなかったから、記憶だけを頼りに撮ってみたんだけど、若干違ってたよね(笑)。風も吹いてて髪の感じも違ってるけど、一応、狙って撮ってみたんだよ。
──レイジとレフュージとのカップリングツアーなんていかがでしょう?

ピーヴィー:実はすでにそういう話があってね、モスクワで<RAGE meets REFUGE>という形でやるんだ。レイジのライブに関しては、現在のラインナップだけではなくて歴代メンバーも出演するような特別なライブ案も話に出ているんだよ。

マンニ:レイジもレフュージも皆んなで一緒にプレイするとかも考えているよ、ツインギターでやるとかさ。

──日本でもお願いします。

ピーヴィー:呼ばれればやるよ。

マンニ:是非、プッシュして実現させてね。

──最後に、日本のファンへメッセージを。

マンニ:日本に戻って来られて本当に嬉しいよ。次は、レイジとレフュージとでやりたいよね、その時はまたみんな来てね。

ピーヴィー:1994年には手羽先を200本食べたけど、今回は250本食べて記録を更新したよ(笑)。

取材・文:Sweeet Rock / Aki
写真:Yuki Kuroyanagi
<REFUGE ~Japan Tour 2019~>
2019.2.21@TSUTAYA O-EAST
1.Don't Fear the Winter
2.Summer's Winter
3.The Man in the Ivory Tower
4.Shame on You
5.The Missing Link
6.Nevermore
7.Enough Is Enough
8.Invisible Horizons
9.The Pit and the Pendulum
10.Mind Over Matter
11.Baby, I'm Your Nightmare
12.Power and Greed
13.Light Into the Darkness
14.Hell Freeze Over
15.Solitary Man
Encore
16.Firestorm
17.From the Ashes
18.Refuge

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