橋爪もも連載「達人に会いたい!」〜
ふんどしの達人〜編

橋爪もも、達人に会いに行く連載スター
トです

シンガーソングライターの橋爪ももが、今気になる「〇〇の達人」に会いに行く連載企画がスタート。第一回目は「ふんどしの達人」。実は橋爪さん、数年前より、ライブでもプライベートでもふんどしを愛用しているのだとか。今回は、橋爪さんたっての希望で株式会社ワコールホールディングスの<ウンナナクール>商品企画部チーフデザイナーの高木さん、販売部の石川さんにお話を伺ってきました。ふんどしをめぐる女性たちの熱い議論をお楽しみください。

Photography_Toyohide Kanda
Text_Sotaro Yamada
Edit_Miwo Tsuji

橋爪ももとは?

2011年11月・ギター弾き語りによる、オリジナル楽曲でのライブ活動を開始。都内を中心に精力的なライブ活 動を行う。
日常の鬱積した感情を綴ったダークな楽曲から、物語を紡ぐような 繊細なバラードまで、幅広いジャンルを独特な節回しで歌うスタイルがひときわ異彩を放っている。 2014年、NOTTV「MUSICにゅっと。」のオーディションにエントリーし予選敗退するも、キャラクターが関係者の目にとまりNOTTVの番組コーナーのレギュラーに抜擢。その後も、アーティストイメージと真逆の弾けたMCと質の高いパフォーマンスが注目を集め、2016年10月からFM NACK5にて橋爪ももの冠番組「橋爪ももの生 乾き放送~終わりよければ~」がスタートし現在も放送中。歌手としての活動以外にも、自身のステージ衣装は勿論、「BELLRING少女ハート」「STARMARIE」などのア イドル達の衣装製作を手掛けるなどマルチな才能を見せている。
http://momo.officialblog.jp/

ウンナナクールとは?

「女の子、登場」をスローガンに掲げる女性のためインナーウェアブランド。ワコールの子会社で、ウンナナクールはフランス語の「ちょっとかっこいい女の子」という意味から。ノンワイヤーブラやサニタリーショーツなど、女性がワクワクするインナーウェアをおもにリリースしている。ハンカチやアップリケ、巾着などの雑貨やパジャマ、メンズ商品もあり。

下着の締め付けからの「自由と解放」を目指し、2008年12月「女の子専用ふんどし」として「ななふん」をリリース。
https://www.une-nana-cool.com

「ふんどしは、ロリータさんにこそすす
めるべき!」

――橋爪:今日は、「ななふん」のいちファンとしてお話を聞けたらと思っています。よろしくお願いします。

高木・石川 : よろしくお願いします。

――橋爪:わたしがふんどしをはくようになったのは2年前で、ある時、友人から「ふんどし買いに行こうぜ!」という電話がかかってきたことがきっかけでした。急だったので、わけもわからないまま<ウンナナクール>さんに行き、ふんどしを買って。しばらくは寝かせていたんですが、ある日思い立ってつけてみたら、すごくふわふわだったんです。びっくりしました。
▲左から、平塚さん・高木さん・石川さん

――橋爪:普段わたしはロリータ服を着ているんですが、コルセットをしたり、下はペチコートとパニエをはいたりしていて、腰回りのボリュームがすさまじいんです。でも「ななふん」をつけたら、パンツのゴムから解放されてものすごくラクになりました。その時「これはロリータさんにすすめるべき下着だ!」と思ったんです。

高木 : ロリータさんにすすめるべき……新しい感想ですね(笑)。

石川 : すごく熱い想いが伝わってきます。愛用されているのは「越中ふんどし」ですか?
――橋爪:はい。パンツ型のものはまだはいたことがなくて。わたし、普段はあまり下着をつけないんですが、「ななふん」に出会ってつけるようになりました。やっぱりゴムの締めつけが嫌なので、できれば何もつけたくない、でもそれだとソワソワするし、衛生的にも良くない。そういう時にベストなのが「ななふん」なんです。
(長さ100センチ、幅34センチ程度の布の端に紐をつけたふんどしのことを「越中ふんどし」という)

――橋爪:適度に包まれている感がありながら、動きやすくて。ローでもハイでもひもを結べるので、その日のお洋服に合わせて結び目を変えられるのも嬉しい。すごく万能だと思います。ただ、ふんどしって、つけたことがない人からすると疑問がたくさんわくと思うんです。<ウンナナクール>さんは、どうしてふんどしをつくろうと思ったんでしょうか?

石川 : <ウンナナクール>には「自由と解放」というテーマがあります。女の子は、リラックスタイムや寝るときなどは解放されたい、というのがもともとの想いです。

高木 : 最初はブラジャーの開発からはじまったんです。世の中には、できればノーブラでいたいという声もたくさんある。じゃあ、できるだけノーブラの状態に近いブラジャーを開発しようと。「そんなブラジャーに合うショーツってどんなものだろう?」と考えた結果、「男性のふんどしがいちばん合うんじゃないか?」という仮説に至りました。

「なんでこんなものを……」からのスタ
ート

――橋爪:ということは、誰かが急に「ふんどしやろうぜ!」と言い出したのではなく、自然な流れで出てきた案だったんですね。

高木 : そうですね。でもはじめは賛否両論ありました。「えっ、ふんどしって……」という。

石川 : 特に店頭スタッフたちからは「なんでこんなものを売らなきゃいけないんだ……」という声も多くて。店長会議ではすごく議論になりました。「良さがまったくわからない」というところからのスタートだったんです。店長たちを集めて合宿もやりましたね。みんなに実際につけてもらって。そもそも最初はつけ方がわからないんですよ。だから商品には、つけ方がわかるイラストを同封しています。
▲同封されている「つけ方」イラスト

――橋爪:たしかにこのイラストがなければ、ふんどしだとはわからないかもしれません。「ガーゼかな? ハンカチかな?」と思ってしまう。でも蓋を開けてみれば、たったの4工程でふんどしは付けられるんですよね。すごく簡単。

高木 : まさに、これはガーゼハンカチにも使われている素材なんです。男性用のふんどしをいくつか取り寄せて調べたんですが、生地がかなりしっかりしていて、ぎゅっと締め付けるものが多かった。「ななふん」はもっとふんわり仕上げていますね。

ふんどしはフェス行く系女子の必需品?

――橋爪:わたしは、男性のおしりもやわらかく包まれるべきなのではないかと思っているんです。
高木 : 普段からふんどしを愛用されている男性の方々に「ななふん」を試していただいたこともあります。でも「弱い」と言われました(笑)。もっとしっかり締めたいと。

――橋爪:なるほど。じゃあ「ななふん」を広めるためには、その人の「はじめて」を奪わないとだめなんですね! ミーティアの読者にはフェスに行く方が多いと思うんですが、フェス行く系女子にはぜひ「ななふん」をすすめたいんです。というのも、泊まりでフェスに行く際、荷物をたくさん持って行くのは大変じゃないですか。でも「ななふん」はタオルにもなります。これがあれば、パンツやタオルを何枚も持って行くよりラクだと思うんです。
▲折りたためば、まるでハンカチのように見える<ななふん>の下着たち

石川 : 荷物のなかから見えても下着だと思われないですしね。

高木 : 私も宿泊する時はくるくるっと丸めて持って行くことが多いですね。

石川 : 最近はホワイトデーのお返しとしてまとめて買われる男性も増えてきました。男性から女性にショーツをプレゼントするのは、場合によってはいやらしく感じられることもあるだろうけど、ふんどしならちょっと面白いですし。

――橋爪:結び目を外に出してリボンっぽく見せることもできるし、内側に隠すこともできる。きつさを調整しやすいし、ウエストが100センチを超えても結べます。ほんとに万能!

ふんどしは、ライブと相性が良い

――橋爪:ちなみに、「越中ふんどし」と「ふんどし型パンツ」のどちらが人気なんでしょう?

石川 : それは「越中ふんどし」ですね。

――橋爪:やはりそうですか! 「越中ふんどし」は、高い位置で結ぶと腹巻きが必要なくなるんですよね。
高木 : いろいろ試していただいているんですね。ありがたいです。ライブ中にもはかれるんですか?


――橋爪:もちろんはいてます。ライブは照明をガンガンに浴びてすごく汗をかくので、「ななふん」の吸水力にはすごく助けられています。特にスカートのなかはものすごく蒸れてしまって。普通のパンツはサテンやポリエステルなど化学繊維でつくられているものが多いので、ひどい時は、汗が足を伝って落ちるくらいでした。それが「ななふん」をはくことによって改善されたんです。汗かきの人には本当におすすめです。

高木 : 汗を良く吸い取ってくれて乾きも良い素材ですからね。

――橋爪:ちょうど良い保温性もある気がします。自分の持っている体温のぬくさを綿が維持してくれているような。

高木 : すごく良い言葉をありがとうございます。必要以上に暑くさせないというのはあると思います。「ななふん」をデビューさせる時、「どんなシチュエーションと相性が良いんだろう」と考えたんです。寝る時はもちろん、デニムをはく時や浴衣を着る時などなど、いろいろ試してみたんですが、ライブやスカートと相性が良いとは思いつきませんでした。橋爪さんのお話を聞いて、なるほどなと思いました。

――橋爪:たしかに、浴衣は合いそうですね! パンツのラインが見えないし。

橋爪もも、みずから考えたアイデアをプ
レゼンする

――橋爪:この10年でユーザー数には変化があるんでしょうか?

石川 : やはりデビュー当初の方が、珍しさもあって注目されていました。でも、一度気に入られた方はずっと繰り返し使われることが多いようです。あまり新作をたくさん出す商品ではないので、「新しい柄は出ないんですか?」というお問い合わせはたくさんいただきます。

――橋爪:普通、どんなに良い商品でも多少の批判の声はあると思うんですが、「ななふん」にかんしては一切ないんですよね。ほとんどの方が一度使うと「最高!」と感じる。わたしはまだライブグッズを出したことがないんですけど、タオルのふりをしてそっとふんどしを並べておきたいです(笑)。ちなみに、ふんどし生地にシワ加工やプリーツ加工をすることは可能なんでしょうか?

高木 : 可能ですけど、綿の場合は、洗えば洗うほどシワがなくなってしまうんですよね。

――橋爪:なるほど。というのも、「こんなふんどしがあったらいいな」というのを絵にしてきたんです。プロの方々にこういうものをお見せするのは失礼かなと思いつつ……。
――橋爪:水着やエプロンの感覚で着られるふんどしがあったら良いなと思ったんです。それから、「ななふん」には動物モチーフのイラストが多いので、動物のおしりだけ見えているイラストがあったらかわいいなと。奥にもぐりこんでいるようなイメージですね。

高木・石川 : ……(橋爪さん考案のデザインをじっと見つめる)

――橋爪:……(緊張)

高木 : うん、これは面白いですね。この絵、預からせていただいても良いですか? ご提案いただけるとは思っていなかったので、ありがたいです。
――橋爪:ええー! いいんですか!

石川 : ここ、起毛生地って書いてありますね。

――橋爪:そうなんです! コットン以外の素材は蒸れるんだろうなと思いつつ、冬場はもう少しだけ厚みがあるモコモコとしたふんどしがあってもかわいいかなと思ったんです。ちょっとコスプレっぽいけど、かわいいルームウェアは人に見せたくなりますし。

石川 : なるほど。現状、愛用者は30代以上の方が多いんですけど、こういうのも素敵ですね。身体にやさしいとか、オーガニックという文脈以外でアプローチするという。

――橋爪:せっかくなので「ななふん」の改善点を一生懸命考えたんですけど、何も思いつきませんでした。唯一思いついたのは、「ふんどしをはいている女の子を恋人はどう思うんだろう」ということです。

石川 : 実は、そういう意見はありました。
▲ショーツに近い見た目の「パンツ型」タイプなら、挑戦しやすい。

――橋爪:気に入った下着って、それで全部揃えたくなるんです。でもいざ恋人ができた時に、持っている下着が全部ふんどしだったら、それはそれで変な空気になってしまうかなと……。

石川 : 男性の目はすごく気になっているところです。<ウンナナクール>自体、あまり男性目線を気にしていないと言われることがあるんですが、そんなことは全然なくて。あくまでも「自分の好きなものを着る」ということが重要なんです。だからふんどしは男性にもおすすめしたいですね。お互いがはいていたら全然恥ずかしくないし、お揃いで提案できるなら、それこそ「解放」なんじゃないかなという気がしています。

――橋爪:「ふんどし」というワードを聞いたら「通気性良さそう」とか「ラクそう」と思いますけど、その先にある心配が解消されたらさらにはきやすくなると思っています。家でもはけるし人前でもはける、一歩踏み出す勇気がなくても外ではけるような下着になってほしいと思っています。

2月14日はふんどしの日

高木 : それにしても、ロリータ服の下にふんどしをはいているというのは意外性があって面白いですね。

石川 : 最初聞いた時はびっくりしました。橋爪さんは「ふんどしの日」ってご存知ですか?

――橋爪:2月14日ですね(即答)。
石川 : よくご存知で(笑)。バレンタインと同じ日なんですね。「ななふん」がデビューして数年経った頃に「日本ふんどし協会」が発足されて、協会への加盟を何度もすすめられたんですけど、私たちはふんどしだけではなくてブラジャーも解放したいという想いから協会に入るのを遠慮させていただいています。でも協会のおかげで、最近は2月14日にいろんなところで催事が行われて、ふんどしが販売されるようになってきました。もっと定着したら良いなと思っています。

――橋爪:SNS上では、バレンタインデーにかかわりたくない人がふざけて「ふんどしの日」というツイートをするようになっています。「ふんどしの日」はかなり浸透してきていると思いますね。ふんどしが普及するために、わたしも何か力になれたら良いと思います。今日はありがとうございました!!

取材を終えて……橋爪後記

ものすごく緊張しました……ライブの数倍も(笑)。
愛用しているふんどしの開発担当の方にお話を聞けて、自分の提案までさせていただいて、本当に感激です。
「ななふん」は突然生まれたのではなく、<ウンナナクール>の「解放」というモットーから自然にうまれたものだということ、はじめは社内でも反対意見があったことなど、商品開発の裏側をたくさん聞けたことが特に嬉しかったです。

また、インタビューの際、私をふくめ女性が5名いましたがそのうち4名が、普段家では下着を付けない、あるいは裸族でいたい。
ということを知って、世の多くの女性は、締めつけからの解放を求めているんだなと思いました。

ふんどしに興味がある人は自発的にふんどしを手に取ると思うので、「ふんどしって……(笑)」という感じでミーティアをクリックした人にこそ、ぜひふんどしを手にしてもらいたいですね!

橋爪もも 1st フルアルバム「本音とは醜くも尊い」 押し殺された言葉・思い 人々の深淵に潜む様々な 「本音」を綴る、待望のオリジナル・フルアルバム 2019.4.17 Release 「本音とは醜くも尊い」 ¥2,778+税 TKCA-74781 <収録楽曲(全12曲)> 01.内包された女の子 02.バレリーナ 03.リセット 04.夢現 05.願い 06.公然の秘密 07.自己愛性障害 08.甘い娘 09.ヒーロー 10.本音とは醜くも尊い 11.天国への土産話 12.今更

橋爪もも連載「達人に会いたい!」〜ふんどしの達人〜編はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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