【インタビュー】カヨ、名古屋から飛
来した未確認生命体バンドが放つ最新
シングル「紫陽花」

名古屋から飛来した未確認生命体バンド、その名はカヨ。キュートでポップでちょっぴりストレンジな、変幻自在のキャラと圧倒的ボーカル力を持つサアヤを中心に、せつないエモからダンス・ミュージックまで、抜群の結束力でジャンルの壁を飛び越えてゆく5人組。2018年に初の全国流通盤をリリースしたばかり、若き昇龍が目指す「カヨというジャンル」への未来予想図、そして新たな配信シングル「紫陽花」「アイドル番長」に込めた思いとは? 渋滞に巻き込まれたサアヤを待ちながら、ゆるやかにトークは始まる。

■カヨという未確認生命体を作り上げたいって
■勝手に私は思ってるんですよね

――このメンバーで何年でしたっけ。

イケヅ タクマ(G/以下、イケヅ):2年ちょっとぐらい? 前身バンドがあって、僕が入ってこのメンバーになって2年ぐらいです。

――速いですかゆっくりですか。

イケヅ:びっくりするぐらい速かったです。CDをバババッと出しているんで、配信も入れると、1年半で3作品。『CHITOSE E.P』と『PANIC COLLECTION』を出して、今回のシングルで。

ワカ(Dr):速いですけど、やってて楽しいです。

――今の音楽性になったのは?

イケヅ:レーベルに入るタイミングで。自分が入ってやっとメンバーが固定されて、ちょっとして今のレーベルの社長に会って、ポンポンと決まっていった感じです。楽曲制作を手伝っていただいたりとか、ライブとか衣装とかの面でもアドバイスしてもらったりとか。
――ざっくり言うと「もっと尖ったロックに」的な?

ワカ:まあ、そうですね。でもロックだけど、けっこういろいろなことがやれるバンドだと思うんですよ。

イケヅ:ジャンルレスというか、「カヨってどんなバンド?と」言われた時に、その質問が一番困るというか、なかなか一言で表せない。

――そこ掘り下げましょうよ。ヒロミさん、カヨってどんなバンド?

ヒロミ(B):私の中にあるのは…私たちの曲って、未確認生命体を題材にしたり、非現実を題材にしたものが多いんですよ。そこから、カヨという未確認生命体を作り上げれてたらいいなって、勝手に私は思ってるんですよね。

イケヅ:未確認生命体ね。確かにそうかもしれない。〇〇っぽいよねって言われるのは嫌だというか、〇〇ぽいと言うほうが、お客さんもとっつきやすいと思うんですよ。でもそこは目指すとこじゃないというか、いろんなジャンルがありつつも、パッと聴いてカヨっぽいと思ってもらえると思うような作品作りを目指しています。
▲イケヅ タクマ

――モリシタくんも一言。カヨとは?

モリシタ ナオキ(G/以下、モリシタ):変態性みたいなものと、美メロと、相反するものがあるバンド。「紫陽花」だと、すごいストレートな良い曲という感じで、カップリングの「アイドル番長」は、曲名からしてちょっと変じゃないですか。そういう2曲を一緒に出しちゃうとか、そこが個性かなと思います。歌詞が変だけど、曲調はすごいかっこいいとか。

イケヅ:みんな好きなジャンルが違うんですけど、キャッチーなものが好きなんですよ。歌メロがきれいだとか、そこは統一されてるので。

――基本エモいと思うけれど。エモ/オルタナな香りはかなりする。

ワカ:エモいの好きですね。

イケヅ:自分らはライブを一番大事にしているんで、楽曲を作る中でもライブを意識して、このフレーズをどうやってパフォーマンスしようか?とか、そういうことを考えながらやっています。エモーショナルになるというのは、そういうところかもしれない。
▲ヒロミ

――リードは主にモリシタくん?

モリシタ:そうですね。

イケヅ:ギターのキャラは全然違うんで。カッティングが多いとか、細かいフレーズが多いのが僕です。でも1曲だけ自分がソロを弾いいてるのがカップリングの「アイドル番長」なんです。この曲自体が、作っている段階でライブを意識できる曲だった。ライブでも僕が一番はっちゃけるタイプなんで、作ってる段階から「やらせてくれ」って。それでメイン・フレーズやソロは僕が弾いています。

――その流れでシングルの話行っちゃいますか。新しい配信シングル「紫陽花」「アイドル番長」の2曲。

ワカ:去年の9月にミニ・アルバムを出した後、ツアーを回る中でちょこちょこ作ってためて、試行錯誤した上での2曲です。できたのは「紫陽花」が先ですけど、原型は「アイドル番長」のほうが先に作りだしてました。「アイドル番長」のほうが今までのカヨにある感じの攻めた曲なんで、自分の中で、そういう曲のあとにはよりメロを大切にした曲を作りたいというのがあって、何個か作った結果が「紫陽花」になりました。

イケヅ:「紫陽花」を作ってミュージック・ビデオを出して、「カヨって雰囲気変わったんだね」ってすごい言われた。でもそういう意識は僕らにはあんまりなくて、僕らの中にある一つのジャンルを出したというイメージ。だから今までのカヨが好きな人にもちゃんと届くだろうという意識はあります。たぶん「アイドル番長」を聴いてもらえば、今までのカヨだって思うだろうし。

ワカ:いつも「ライブでこういう曲あったらいいな」と思うものを作るようにしているのが、如実に出たのが「アイドル番長」ですね。
▲ワカ

――それにまさかこんな歌詞が乗るとは。

イケヅ:まあそうですよね(笑)。すごくかっこいい曲になる予定だったんですけど。

ワカ:タイトルが来た時にびっくりすること、何回かあるよね。

イケヅ:経験済みです。「ときめきチェンソー」もそうだったんで。ひねくれてる人なんで。

――このあと来る人ね。今のうち言っとこう(笑)。どんな人なんですか。

イケヅ:あー、うーん、いい子ですよ(笑)。あんまり余計なこと言うと怒られそうなんで。

ワカ:性格的には真面目ですけど、天然でちょっと変わってるというか。

イケヅ:この人が当たり前だと思ってることが、一般的には当たり前じゃない。昔からずれてるよね。僕は大学の後輩なんで、6、7年ぐらいの付き合いですけど、変わってる人です。

ワカ:日常会話で、擬音とか多いです。

イケヅ:ほら、初めてスタジオに行った時に…。

モリシタ:突然「ふぁー」とか言ったりして。

イケヅ:サアヤ語ですね。もう慣れましたけど。僕らのことをまだそんなに知らない人たちは、サアヤが急に変なことを言うと、「何?」って思うみたいですけど、僕らにはBGMなんで(笑)。

――同性から見ると。

ヒロミ:すごい感受性が豊かな子。だから良くも悪くも、ほかの人の感情を受け取りやすい。だからこそ、今回みたいな振り幅の曲ができたりとか、その時その時によって思いが違うんでしょうね。

イケヅ:憑依型ですよ。いろんな楽曲が多いというのも、嘘ではなくて、どれも本物のサアヤなんですけど。

ワカ:それぞれの世界に入って行けるというか。

――宇宙人だ。

イケヅ:そうです。未確認生命体ですね。今、繋がりました(笑)。
■自分のこともお客さんのことも
■背中を押せたらいいなという気持ちを込めて作った曲です

――「紫陽花」は、メロディを大切にした曲を作りたかったと。

ワカ:そうです。メロディを大切にした、相手に届くような曲を作りたいという気持ちがありました。だから一番時間をかけています。アレンジもそうですけど、丁寧にやったので、いつもとちょっと違いますね。「アイドル番長」は初期衝動というか、テンション感を保って作っていったんですけど、「紫陽花」は落ち着いて考えていったところはあります。

――この曲、アコースティック・ギターがすごく効いてる。

イケヅ:僕が弾いています(笑)。そこ、すごい触れてほしくて。初めてアコギ弾いたんで。これ、母のアコギなんですけど。

――なんと。

イケヅ:最初はロック調のエモい曲にする予定だったんですけど、作って行く中で、「アコギ入れたらいいよね」という話が出て。僕はちゃんとしたアコギを持っていなくて、母のアコギを「ちょっと貸して」って持っていきました。これはどこにも言ってない話なんですけど、レコーディングが終わった段階で曲名が決まっていなくて、ボーカルを録った後に「紫陽花」という曲名になったんですよ。紫陽花は梅雨時じゃないですか。母の誕生日が6月なんですよ。すごくないですか?
――すごいねえ。

イケヅ:そんなに引っかかりませんか(笑)。
▲モリシタ ナオキ

――いいじゃないですか。母に捧げる歌。

イケヅ:母に捧げるような歌詞ではないですけど(笑)。いろんな偶然が左右して「紫陽花」になっている。彼(モリシタ)が弾いているイントロのフレーズとかも…それは彼が言ったほうがいいや。

モリシタ:何?

イケヅ:雨っぽいって言ってた。

モリシタ:ああ、なんか、歌が入っていない状態で聴いたら、イントロのフレーズが雨音みたいに聴こえて。なんとなく。それでタイトルが「紫陽花」になって、ハマったなと。

ヒロミ:私は曲を聴くにあたって、どんなアーティストさんでも、歌詞が響くことがあんまりなくて、メロディ・ライン重視で聴いているんですけど。「紫陽花」が出来上がって、お風呂場で聴いてた時に、泣くぐらい良くて。その時めちゃめちゃ落ち込んでいて、自分たちの作った曲に励まされたみたいな。音楽をやっていて良かったって、あらためて思いました。

――いい話。

イケヅ:サアヤ、まだ来ないね。

――このまま来ないのも有りかなって一瞬思ってる(笑)。

イケヅ:本当に未確認生命体になる(笑)。あ、来た。噂をすれば。

サアヤ:すいません遅れました。カヨのボーカル・サアヤです。よろしくお願いします。
▲サアヤ

――はじめまして。でもどんな人格か、すでに知ってるような気がします(笑)。

サヤア:えっ。何の話してたの?

イケヅ:いやいや。

――あとで記事を読んでもらえれば。でもいいメンバーですね。みんなあなたのことをよくわかって支えている。どんな意識があります? このバンドのボーカルとして。

サアヤ:えっと、みんなもそうですけど、私も自分のことはすごくわかっているから、一人じゃ何もできないのかなみたいな、最初はそういう気持ちでいたんです。だから仲間を集めようという気持ちがあって、それでバンドを組みました。結局、こうやってメンバーが集まって、みんなに支えられてボーカルがあるなって思っています。最初は下向きなところから入ったかもしれないんですけど、今はみんながいて、私がいて、良かったなと思ってます。

――いい話。今「紫陽花」の話をしてたんですけどね。サアヤさんにとって「紫陽花」はどんな曲ですか。

サアヤ:「紫陽花」は、別の新しいことに挑戦しようという気持ちから作りました。歌詞的には私自身の気持ちを書いていて、「私は今までこういうふうに音楽活動をしてきて、今ここにいるよ」みたいな、自分の背中を押すつもりで書いた詞なんですけど、でも聴き手側からは、自分たちの背中を押してくれるみたいにしようと思って、自分のこともお客さんのことも、背中を押せたらいいなという気持ちを込めて作った曲です。紫陽花は花言葉で「絆」「団結」という意味があるんです。歌詞ができた時に、みんながあって私がいて、新しい曲に挑戦する時に、団結という言葉が合うんじゃないかなと思って付けました。どうとらえてもらってもいいんですけど、前向きな気持ちになってくれたらいいなと思ってます。

イケヅ:今までで一番ストレートな歌詞だよね。

――初めての人はここから入って、前向きな気持ちになって。それから「アイドル番長」を聴いてひっくり返ってください。

イケヅ:たまげますね(笑)。

サアヤ:こっち(「アイドル番長」)はこっちで私の中にあるもので、書こうとしてる道筋は全然違うんです。2曲ともに言えるのは「私、こういう人だから」というものを入れていこうと思ったということ。私のワガママな部分や勝手な部分をふんだんに入れようと思って作った曲です。勝手だし、気の強いところもあって、いいいんだか悪いんだか、というところを特に盛り込んだのがこっちの歌詞です。

――一応、恋の歌っぽいシチュエーションで。好き嫌いどっち?って、ぐいぐい攻め込んでいく。真ん中あたり、「本当は好きなんでしょ?」ってセリフがすごく効いてる。

サアヤ:これ変わってるでしょ?っていう言葉を特に選んではいないんですが、結果的に中毒性とか毒っぽい部分が「これが私です」という感じです。
――そうそう、毒の話をしましょう。カヨって毒という言葉をよく使うでしょう。バンドTシャツの背中にでっかく「毒」って書いてあるし。あれって何なんですか。

イケヅ:中毒性とか毒っ気とか、とらえ方は何でもいいんですけど、一般的に言ったら癖があるとか、それを僕らは毒と呼んでいるんですけど。最初に出した『CHITOSE E.P』の時から毒は意識していて、じゃあ毒をテーマにツアー回ろうぜと言って、最初のツアーを回ったんですね。でもそこからミニ・アルバムを出したり、今回2曲リリースしていっても、消えないもんね? 今回の2曲も、「紫陽花」のメロディの中には中毒性があるし、「アイドル番長」は歌詞に毒があるし、だからカヨって毒なんですよね。

ワカ:『CHITOSE E.P』に入っている「千歳ダンス」も、あの曲調なのにギターのモリシタがすごい歪んだ音でソロを入れちゃうとか。そういう毒っ気は今も継続してあるのかなと思います。

サアヤ:音源もそうですけど、ライブ・パフォーマンスも、カヨらしいものを作っていきたいと思っているから、ライブも毒っ気がある雰囲気になっていったらいいなと思っています。

――百聞は一見に如かず。みなさんライブへ。ところでなんでカヨなんでしたっけ。最初に聞くべき質問を最後にしますけど。

サアヤ:私とワカがバンドを組もうと思って、まずバンド名を決めようということになった時に、私が「さっと覚えたい、長いと嫌だ、2文字か3文字に収めてくれ」と言って。それでカヨです。特に意味はないんですけど、「バンド名はカヨです」って、何かちょっといいんじゃない?って思ったりして。何にしろ覚えてもらえるんじゃないかなと思って、人の名前にしました。

イケヅ:絶対誰もが読めるし、覚えるし。

――最後に、近未来の夢、目標、野望を発表して終わりましょうか。

サアヤ:夢は、カヨというジャンルを築き上げたいです。いろんなバンドが今後出てきた時に、「カヨっぽいねそれ」って言われるみたいな。名古屋を拠点に活動してるんですけど、まずは名古屋と言えばカヨだよねというところから始まり、そこからカヨというジャンルを建設したいです。どうせやるんだったら、バンド・メンバーもこだわって集めた人たちだし、曲もオリジナルだし、自分たちにしかないものを作りたいというのは、最初から今までも、今後もたぶん変わらない、一番大きな野望ではないかと思っております。

取材・文●宮本英夫
リリース情報

1st 配信シングル「紫陽花」
配信日:3月20日
レーベル:GARDEN CITY RECORDS
1.紫陽花
2.アイドル番長

ライブ・イベント情報

<Aril Orange 1st EP リリースツアー 空っぽのバスケット>
2019/3/20 (Mon) 神戸太陽と虎(兵庫)
ACT カヨ / Aril Orange / あいくれ /Eureka / and more…

<「LIVE HOUSE ANTHEM 2019」>
2019/4/7 (Sun) 仙台FLYING SON(宮城)
ACT カヨ / FEEDWIT / Velka / ケイタ爆発

<Escapism vol.38>
2019/4/8 (Mon) 渋谷Milkyway(東京)
ACT カヨ / Brash / CASPA / Super Lapin /and more…

<リムキャットPRESENTS リムフェス’19 ー大阪カオティックスー>
2019/4/13 (Sat) リムフェス'19(大阪)

<カヨ「紫陽花」RELEASE TOUR “愛愛傘”~道草編~>
2019/4/21 (Sun) 今池GROW(愛知)
ACT カヨ / Without Crying / Kream / ネノコクランク / Split BoB / センチミリメンタル / 藤沢アユミ

2019/5/6 (Mon) 下北沢CLUB251(東京)
ACT カヨ / and more…

2019/5/19 (Sun) 札幌SPIRITUAL LOUNGE(北海道)
ACT カヨ / and more…

2019/5/20 (Mon) 札幌SOUND CRUE(北海道)
ACT カヨ / and more…

2019/6/14 (Fri) 下北沢ReG(東京)
ACT カヨ / and more…

2019/6/20 (Thu) 北堀江club vijon(大阪)
ACT カヨ / and more…

2019/6/22 (Sat) 今池CLUB 3STAR(愛知)
ACT カヨ / and more…

<「紫陽花」 RELEASE TOUR “愛愛傘” FINAL>
2019/7/6 (Sat) 今池GROW(愛知)
ACT カヨ / and more…

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