良知真次、金井成大ら出演 観客参加
型ライブエンターテインメント『ALT
ER BOYZ 2019』Team SPARK ver.ゲネ
プロレポート

オフ・ブロードウェイ発のミュージカル『ALTAR BOYZ 2019』が、東京・新宿FACEにて3月20日に幕を開けた。本作は韓国やオーストラリアなど世界各国で上演されており、日本版も2009年の初演から再演を重ね、今回で記念すべき10周年を迎える。『RENT』や『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』をはじめとする名だたる作品を生み出してきたオフ・ブロードウェイで、2005年のベスト・オブ・オフ・ブロードウェイ賞を獲得した作品でもある。
本作ではキャストが2チームに分かれており、一部はトリプルキャストにもなっている。前回の2017年公演から続投となるTeam GOLD(大山真志、法月康平、松浦司、常川藍里、石川新太)と、今回新たに誕生したTeam SPARK(良知真次、川原一馬、和田泰右、金井成大、勧修寺玲旺、北乃颯希、反橋宗一郎、山本隼也、米原幸佑)だ。Team SPARKは初演から出演を続けている良知の他に、過去に出演経験があるメンバーや初参加のメンバーなど出演歴は様々。良知以外のTeam SPARKのキャストは日替わりで上演される。今回は、3月20日に行われたTeam SPARKのゲネプロの模様をお届けする。
そもそも、ALTER BOYZとは一体何なのかというところから説明しよう。ALTER BOYZは、神に仕える美少年5人によって構成されるダンスボーカルグループ。彼らは福音の歌とダンスで愛を説き、コンサートに訪れた観客たちの魂を浄化すべく日々活動している。
物語の舞台は、そんなALTER BOYZの2019年世界ツアーの日本ファイナル公演。ステージ上には「ソウル・センサーDX-12」と名付けられた機械が設置されており、そこには劇場内の迷える魂の数が表示されるという。はたして、彼らはコンサート終了までに観客たちの迷える魂を救うことができるのか……。
設定だけを聞くと、正直少し怪しげな印象を持つ人もいるかもしれない。だが安心してほしい。物語のベースにキリスト教の概念はあるものの、キリスト教に馴染みがない人でも全く問題なく楽しむことができる作品だ。言わば、歌って踊れるイケメン5人による、観客参加型のライブエンターテインメントである。その一方で、人種差別やLGBTといった社会のマイノリティに関する問題にも真正面からぶつかっていく挑戦的な面を持ち合わせた作品でもある。
本公演は2時間休憩なしの構成なのだが、そんなことを一切感じさせないスピード感で物語は進んでいく。まるで本当のコンサートのように次々と楽曲が繰り広げられ、ロックからポップ、バラード、ヒップホップ、ラテンとバリエーションに富んでいる。キャストも袖に入ることはほとんどなく出ずっぱりだ。舞台の幕が開いたら、それはノンストップの「魂の浄化コンサート」の始まりなのである。
物語序盤に、コンサートらしくメンバーの自己紹介がある。ここでもALTER BOYZの5人のメンバーを紹介しておこう。
ALTER BOYZのリーダーであるマシュー(良知)は、歌も踊りも抜群の安定感を誇る。頼りがいのある兄貴分として、バンドメンバーを支えている。
マーク(金井)はLGBTに関する悩みを抱えており、観客に向かって切々とした想いをバラードに乗せてカミングアウトする。実はALTAR BOYZのメンバーの一人に想いを寄せているようだ。
フアン(米原)は孤児で、メキシコからの移民。スペイン語訛りの英語を使っている設定のため、日本版では関西弁で陽気に話す。メキシコ移民という設定を活かしたラテンの楽曲では、力強いソロを聴かせてくれる。ある曲ではボイスパーカッションを披露する場面も。
ルーク(川原)は非行少年だった過去を持っており、今もストレスによる影響のためにちょっとしたことでキレやすいが、根は優しい。パワフルに舞台上を駆け回っていた。
アブラハム(和田)はその名からもわかるとおり、ユダヤ人だ。メンバー随一の知性派で、幼い頃から作詞が得意。基本的にはメンバーに対しても敬語で話すなど、少し他のメンバーと異質な雰囲気を持っている。

生まれも育ちも異なる個性的な5人が、なぜ一緒にバンドを組んでいるのか。ALTER BOYZ誕生の理由が「ALTER BOYZの創世記(というか日記)」として語られる場面がある。そこでは彼らの幼い頃に時が遡るため、ゆっくりとたどたどしい子どもの話し方での演技となる。他の作品ではなかなか見られない、ある意味貴重なシーンかもしれない。

コンサートが進むにつれて順調に客席の魂が浄化されていくのだが、終盤になっても「ソウル・センサーDX-12」の数字がなかなかゼロにはならない。前代未聞の事態に焦るALTER BOYZ。そのとき、マシューのある告白によって物語は急展開を迎えることとなる……。
本公演の盛り上がりが最高潮に達するのは、カーテンコールかもしれない。メドレー形式で作中の選りすぐりの曲がたっぷり詰まっており、客席も一体となって楽しめること間違いない。印象的だったのが、カーテンコールでメンバーが衣装チェンジしていたことだ。作中では各々が十字架をモチーフとした異なる個性的な衣装を身に付けているのだが、黒地にシルバーの装飾が施された統一感がある衣装にガラッと変わるのである。メンバーがバンドとして本当にひとつになったことが伝わってきて、何だか心が温まる演出に感じられた。
最初にALTER BOYZは観客参加型のエンターテインメントだと述べたが、それは客席が魂の浄化コンサートの観客であるという設定だけに留まらない。ネタバレになってしまうので言えないのだが、作中にいくつかの形で観客参加の場面があり、ファンにとっては非常に楽しめる演出となっている。本作にリピーターが続出するというのもうなずける。一度劇場に足を運び、イケメンバンドの歌とダンスで魂を浄化されてみてはいかがだろうか。
取材・文=松村 蘭 写真=オフィシャル提供

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