『ビクターロック祭り2019』、
12,000人を大熱狂させて終幕
他のステージが終わると共に人の増え始めたフロアの後方が興奮気味にざわつき始める。そこで畳み掛けるように「サマータイムラブ」を投下。さらに「ピュアなソルジャー」までぶっ通しだ。自由にノるフロアの人々から溢れ出る幸福感を前に、良質な音楽さえあれば余計な言葉など要らないのだと、改めて痛感させられる。
軽いMCを挟み、リリース前の新曲「D.A.Y.S.」で終了。「みなさん思い思いのロックの姿っていうのがあると思うんですけど、私としては自分自身でぶつかっていく姿にロックの魂みたいなものを感じるんです」と池田が話していたように、自分たちなりのやり方でとことん魅せるこのバンドの姿に、ハートを射止められてしまった人、多かったのでは? Shiggy Jr.の手により、ROAR STAGEはノンストップのダンスフロアへと塗り替えられたのだった。
Text by 蜂須賀ちなみ
<セットリスト>
M1 TUNE IN!!
M2 LISTEN TO THE MUSIC
M3サマータイムラブ
M4ピュアなソルジャー
M5 D.A.Y.S.
「楽しいですね〜!盛り上がってますか!?」というサーバルの問いかけにフロアからも大きな声が上がる。さらにみんなで「うー、がおー!」の練習をして、ラストの楽曲「ようこそジャパリパークへ」へ。最後の決めポーズまでばっちり完遂し、何度も「ありがとうございました!」と頭を下げながらステージを降りていった8人。フロアからも「え〜!」という声が上がっていたが、確かに3曲はあっという間だった!
Text by 小川智宏
<セットリスト>
M1乗ってけ!ジャパリビート
M2フレ!フレ!ベストフレンズ
M3ようこそジャパリパークへ
「みなさんこんにちは。来てくれてありがとうございます。盛り上がってますか? 音楽が大好きな人がたくさん集まってますね。次の曲は、今日、初披露です。がんばってる人への曲になっているので、いい感じで手拍子をしてくれたら嬉しいです」というMCを経て披露された2曲目は、サンドラッグとのコラボレーション曲として制作された「S&R」。ダンサーのkenken、amaneと一緒に踊り、ビートを巧みに乗りこなしながらラップをしていた彼女に合わせて、観客は力強く手拍子。夢や希望を胸に頑張っている人への応援ソングであるこの曲は、フロアからステージを見つめていた人々の胸に温かいエネルギーを届けているのを感じた。
ラストを飾った「パーティーアップ」は、彼女のラップの切れ味の良さを感じさせてくれるスリリングな場面の連続だった。力強いコール&レスポンスがステージ上の彼女とフロアにいる観客の間で交わされたりもしつつ、華々しくエンディングに至った瞬間、爽やかな余韻が会場内に漂っていた。彼女のライブを初めて観る人もたくさんいたと思うが、圧倒的な表現力に魅了されたに違いない。
Text by 田中大
<セットリスト>
M1 film
M2 S&R
M3パーティーアップ
2017年リリースの最新アルバム『LOVE YOUR LOVE』収録の「123」で始まり、2007年の「I saw you in the rainbow」や、昨年12月にリリースしたばかりのデジタル・シングル「Sally」を経て、2002年の「裸の王様」、そしてデビュー曲であり最初の大ヒット曲である「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」でしめくくる、つまりLOVE PSYCHEDELICOの歴史をぎゅっと圧縮したようなセットリストだった。
「I saw you in the rainbow」ではKUMIの歌うメロディにNAOKIがハモリをつけ、「Sally」ではギターを置いてハンドマイク になったKUMIの声が響く。会場のお祭りムードが一転、厳かな空気がメッセに満ちた瞬間だった。
「裸の王様」では後半でNAOKIがすさまじいギター・ソロを聴かせる。NAOKIのボトルネック・ギターのボリュームが上がっていくと同時に歓声のボリュームも上がっていき、その末に始まったラストの「LADY MADONNA」では、フロアにハンドクラップが広がった。
Text by 兵庫慎司
<セットリスト>
M1 1 2 3
M2 I saw you in the rainbow
M3 Sally
M4裸の王様
M5 LADY MADONNA〜憂鬱なるスパイダ〜
SEが流れる中、ステージ上にatagi(Vocal/Guitar)、PORIN(Vocal/Synthesizer)、モリシー(Guitar/Synthesizer)、マツザカタクミ(Bass/Synthesizer/Rap)、ユキエ(Drums)が勢揃い。「今晩は! Awesome City Club です! 楽しんでますか? 最後までお付き合いください、よろしく!」という挨拶の言葉の後、1曲目に届けられたのは「GOLD」。
atagi とPORINが絶妙なコンビネーションで交わし合った歌声、グルーヴィーに躍動したバンド演奏は、清々しいエネルギーの濃密な結晶であった。タンバリンを打ち鳴らしながら歌っていたPORINと一緒になって観客が響かせた手拍子が力強い。続いて「SUNNY GIRL」と「Don’t Think, Feel」も披露されて、興奮しながら踊る人々の輪がますます広がったフロアは、とても爽やかなのが独特だった。ブラックミュージックへのピュアな愛情を滲ませつつ、幅広いエッセンスも絶妙に採り入れている彼らの深い魅力を、この時点で既にたっぷり体感することができた。
「楽しんでますか? 僕らも楽しみにして参りました。手前味噌ですが、ビクターは僕らも好きなかっこいいアーティストがたくさん揃ってます。シンパシーを持って、みなさんと一緒に楽しみたいです。最後までお付き合いよろしくお願いします!」というatagi のMCを経て、ライブは後半へ突入。昨年の12月にリリースされた 1stフルアルバム『Catch The One』の1曲目を飾っていた「Catch The One」は、足でステップを踏んで身体を揺らしたくなるサウンドを伸び伸びと会場いっぱいに響かせていた。そして、ラストに披露されたのは「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」。笑顔を輝かせた観客で一杯のフロアは平和そのもの。演奏が終了した瞬間にステージへ向かって届けられた拍手と歓声は、とても大きかった。メンバーたちにとって、ツアーの後半に活かせる気持ちいいエネルギーをたくさん得られたライブだったに違いない。
Text by 田中大
<セットリスト>
M1 GOLD
M2 SUNNY GIRL
M3 Don’t Think,Feel
M4 Catch The One
M5今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる
「声」「罠」「夢の花」「Running Away」「コバルトブルー」「刃」というセットリスト。「声」「罠」のあとにちょっと意外な「夢の花」を持ってきて、最新ミニアルバムから「Running Away」をやって、「コバルトブルー」「刃」と必殺曲二連打でしめくくる、というこの流れを見た時点で「これはよさそうな気がする!」と思ったが、生で浴びたらその期待のはるか上を行っていた。「コバルトブルー」のイントロがブレイクして菅波栄純が弾くあのリフが響く、今まで何度も体験してきたが、今日は格別にくるものがあった。「立ち上―がーれー」という山田将司の歌で「刃」が始まる瞬間も然り。
前半のMCで松田晋二は、ビクターと共に歩んできたことの感謝の気持ちを言葉にした。中盤のMCで将司は「まだまだまだまだ最高の音楽人生を、一緒に歩んでいきましょう!」と、オーディエンスに向かって叫んだ。20年という歳月の重厚感と、今日初めて音を出したような瑞々しさと、常にギリギリなところで闘っている人たちならではの危うさや儚さが、今日のステージにもあった。
Text by 兵庫慎司
<セットリスト>
M1声
M2罠
M3夢の花
M4 Running Awey
M5コバルトブルー
M6刃
■DJダイノジ
大分からやってきた高校生による準備体操が、観客の身も心もほぐした後、ついにDJプレイがスタート。「お疲れ様でございます。今から打ち上げをします!打ち上げが盛り上がるかはあなた次第。主役はあなたたちでございます!」という大谷の開会宣言を経て放たれたオープニングナンバーは、くるり「ワンダーフォーゲル」。続いてサカナクション「アイデンティティ」、サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」も鳴り響いて、最早誰も彼もが激しい興奮状態!ダンサーたちと一緒に飛び跳ねまくっている大地は、既に肌が汗でテカテカ。BARK STAGEのKREVAのライブが終わり、急激に後方まで観客で埋め尽くされていったフロアは、すさまじい熱気で満たされてしまった。
TOTALFAT「PARTY PARTY」、KEYTALK「MONSTER DANCE」、ASIAN KUNG-FU GENERATION「リライト」、Hi-STADARD「stay gold」、電気グルーヴ「富士山」……などなどが連発されたことにより、絶大なエネルギーで震え続けていたフロア。途中で登場したゲストのむぎ(猫)のダンスも観客を大喜びさせていた。
星野源「Hello Song」をプレイした後、「楽しかったですか?今年も大成功でございます。最高のアーティストたちに拍手!今年も呼んでくれてありがとう!来年も会いましょう!」と大谷が挨拶。ラストにSMAP「Joy!!」をプレイして、ステージを後にしたDJダイノジを見送った観客の拍手は、楽しい時間を過ごさせてくれたことに対する感謝に満ちていた。フロアに集まった人々の音楽に対する「好き」をとことん肯定し続ける彼らのパワーは、やはり絶大だ。今後も各地の音楽フェスを明るく盛り上げまくるだろう。
そして、約12時間に及ぶ『ビクターロック祭り』は大声援の渦の中、音楽愛にあふれたイベントのフィナーレを迎えた。
Text by 田中大
アーティスト
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