3月16日@『ビクターロック祭り2019』(THE BACK HORN)  photo by タマイシンゴ(SOUND SHOOTER)

3月16日@『ビクターロック祭り2019』(THE BACK HORN)  photo by タマイシンゴ(SOUND SHOOTER)

『ビクターロック祭り2019』、
12,000人を大熱狂させて終幕

木村カエラ

木村カエラ

今年、デビュー15周年を迎える木村カエラが、BARK STAGEに登場。バンドメンバーたちが準備を進める中、ステージの中央へとゆっくり歩いて向かった彼女を、待ちわびていた観客の明るい歓声が出迎えた。そして1曲目に披露されたのは、「Whatever are you looking for?」(2004年にリリースされたデビューシングルの収録曲)。瑞々しい歌声が、何とも言えず心地よい。彼女の音楽活動の幕開けを飾った曲のひとつを、こうして聴かせてくれたのが嬉しかった。耳を傾けていたファン各々の胸の内に大切な思い出がよみがえったのではないだろうか。

続いて「COLOR」(昨年の11月にリリースされたミニアルバム『?WHO?』に収録されている。連続ドラマ『プリティが多すぎる』主題歌)、「Samantha」(2007年)が披露された後に迎えたインターバル。「どうも、木村カエラです! 今年はデビュー15周年。もう15年も経ってしまって、どうしたものか(笑)。続けてこられたのは、聴いてくれる人がいて、自分ががんばって、支えてくれる人たちがいたから。今日は、かわいい曲たちをいろいろ歌ってみたいなと思っています。さっき歌った「Samantha」のサマンサってわかります? 『奥さまは魔女』にハマってる時に作って。ぜひ観てみてくださいね。6月には15周年のお祝いが日比谷野音であるので、遊びに来てください。じゃあ、15周年ということで、この歌を。知ってる人は一緒に歌ってください」――MCを経て届けられたのは「Butterfly」(2009年)。大合唱しながら掲げた腕を穏やかに揺らしていた観客は、心底幸せそうだった。

「ここからあっと言う間に上がっていこうと思います! あっと言う間に盛り上げますんで、ついてきてくれますか?」と観客に呼びかけて突入した後半戦は、パワフルなナンバーの連続だった。力強いビートにのりながら歌っていたカエラが、とても楽しそうであった「TODAY IS A NEW DAY」(2014年)。煌びやかなダンスビートに刺激された人々が、勢いよくバンザイをしながら開放的に踊っていた「BANZAI」(2009年)。そして、「あなたの笑顔が見たいという曲です。ジャンプして楽しみましょう!」という言葉を添えたラストの曲は「Magic Music」(2006年)。様々な時期の曲の魅力を改めて噛み締めさせられたと同時に、今後の彼女の活動への期待も大いに高まるライブであった。
Text by 田中大

<セットリスト>
M1 Whatever are you looking for?
M2 COLOR
M3 Samantha
M4 Butterfly
M5 TODAY IS A NEW DAY
M6 BANZAI
M7 Magic Music
Nulbarich

Nulbarich

ニュー・アルバム『Blank Envelope』を2月6日にリリース、3月31日からそのツアーが始まるNulbarich。『Blank Envelope』からは「VOICE」と「Kiss You Back」の2曲、それ以前の代表曲が5曲、というセットリストだった。

サウンドチェックの段階から「音いいなあ」とつくづく感心しながら聴いていたが、本編の1曲目「It's Who We Are」が始まるとその感心が鳥肌に変わって全身を覆うような感覚に陥る。1曲終わるたびに周囲から「かっこいいねー」「すごいいいねー」と、初めて観るらしき人たちの感嘆の声がきこえる。よくわかります、何度か観ていてもこうして鳥肌立っているわけなので。

「よかったら一緒に歌ってください」とJQが呼びかけた「On and On」では、オーディエンス、「On and On!」コールで応える。そして続く「Kiss You Back」では、サビですさまじい多幸感がステージから降ってきて、フロアを覆い尽くす。すごい。耳の贅沢。曲終わりの拍手と歓声、それまでよりもいっそう大きくなった。

「じゃあ、踊る感じのやつを」という言葉で始まった5曲目「Zero Gravity」からダンス・チューンが並ぶ構成だったが、フロア前方はわからないけど、真ん中から後ろの人たちは、身体を少し揺らし、ただただうっとりと聴き惚れていた、放たれる音像の美しさに。なお、ラストの「Almost There」で、もう一回すごい多幸感が降ってきた。最後にJQ、「やりきったわ。へへっ」と笑ってから、ステージを下りた。
Text by 兵庫慎司

<セットリスト>
M1 It's Who We Are
M2 VOICE
M3 On and On
M4 Kiss You Back
M5 Zero Gravity
M6 ain't on the map yet
M7 Almost There
SCANDAL

SCANDAL

ここでBARK STAGEにSCANDALが登場。SCANDALは今年1月、ビクターエンタテインメントのColourful Records内にプライベートレーベル「her」を設立。「ビクターロック祭り」への出演は今回が初である。

HARUNA(Vocal & Guitar)の鋭いカッティングを機に「プラットホームシンドローム」でスタート。4ピースサウンドはキリッと締まっていて、続く「テイクミーアウト」では、連打するRINA(Drums & Vocal)を筆頭にバンドのボルテージが急上昇する場面もあった。演奏には4人の漲る気合いが表れていたが、その理由はMCでHARUNAが語った通り。本日はSCANDALにとって2019年初のライブであり、「せっかくビクターに仲間入りしたんだから、初ライブは『ビクターロック祭り』と決めていました」とのことだ。
後半に突入しても、勢いは収まるどころか加速する一方。「LOVE SURVIVE」のありあまる爆発力には驚かされたし、HARUNAがイヤモニを外し、観客の歌声を確認したあとにとびきりの笑顔を見せていたのも印象的だった。

ラストに演奏されたのは3月27日に「her」から第一弾シングルとしてリリースされる「マスターピース」だった。HARUNAによって「私たちの新たな始まりの歌です」と紹介されたこの曲を演奏する時、ツインテールを揺らしながらピョンピョン跳ねるMAMI(Guitar & Vocal)も、その場でくるくる回ったりしているTOMOMI(Bass & Vocal)も、笑顔で歌詞を口ずさむ姿がスクリーンに抜かれていたRINAも、バンドで音を鳴らすことを心から楽しんでいるのがよく分かる。重厚だがフレッシュな音を鳴らすSCANDALは、今、キラキラと輝いている。とても魅力的なバンドに育ったのだなあと、何だかグッときてしまった。
Text by蜂須賀ちなみ

<セットリスト>
M1プラットホームシンドローム
M2テイクミーアウト
M3恋するユニバース
M4会わないつもりの、元気でね
M5 LOVE SURVIVE
M6瞬間センチメンタル
M7マスターピース
斉藤和義

斉藤和義

ピンスポットが当たるステージにアコースティック・ギターを提げて登場した斉藤和義。今日は弾き語りでのパフォーマンスだ。「イェーイ」とつぶやくと、「ちょっと声出ししてもいいでしょうか?」と、大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』にあやかってフレディ・マーキュリーよろしく「エーオ!」のコール&レスポンスをやってみせる。フロアもそれに応えて大声を張り上げて大盛り上がりだ。というかせっちゃん、「エーロ!」って発音している。たぶん、いや絶対わざと。そしてギターをかき鳴らして歌い始めたのは「やさしくなりたい」。個人的にこういう「大舞台でたったひとりギターを弾いて歌う」というライヴが大好きなのだが、それはもう丸裸といっていいくらいにそのアーティストの本質が顕わになるからだ。この人の場合はアコギと歌だけで思いっきりロックンロールが鳴ってしまう。レオパード柄のシャツが似合っているぜ。

と思っていたら2曲目に歌われたのは《思い出してごらんよ あの日のロックンロール》という歌詞が出てくる「Are you ready?」。渋い選曲。でも最高だ。目をつむってミュートさせたコードをかき鳴らす斉藤和義に熱視線が注がれる。「なんか、ひとりは寂しいです。盛り上げてね」という言葉に拍手が起き、「ずっと好きだった」へ。ギターソロを弾いて「幕張!」と叫ぶ。続いてドラマ主題歌としてリリースされた新曲「アレ」を披露。音源ではリズムマシンを駆使したちょっとレトロなビートが印象的なこの曲だが、こうしてギター1本になると、緊張感のあるコードに乗せて放たれる切れ味の鋭い言葉の数々によって曲のテーマがぐっと強調される感じがある。

ここでがらっと雰囲気を変えて、楽しげな手拍子の中で歌われたのは「歩いて帰ろう」。さらに美しいアルペジオから「歌うたいのバラッド」へとつなげていく。BARK STAGEに集まった多くの人が固唾を呑んでその歌に耳を傾けているのが伝わってくる。歌い終えた斉藤に降り注ぐ万雷の拍手。そこにとぼけた声で「ありがとねぇ」と返すのが彼らしい。そして4月からの弾き語りツアーを告知したあと、ラストはこれまた名曲「空に星が綺麗」をシンプルに。「ありがとう、またね?」。小さくピースサインをして帰っていきました。
Text by 小川智宏

<セットリスト>
M1やさしくなりたい
M2 Are you ready?
M3ずっと好きだった
M4アレ
M5歩いて帰ろう
M6歌うたいのバラッド
M7空に星が綺麗〜悲しい吉祥寺〜
サンボマスター

サンボマスター

BARK STAGEでは残すはトリのKREVAのみ、というタイミングでサンボマスターのライブがスタ-ト。山口隆(唄とギター)、近藤洋一(ベースとコーラス)、木内泰史(ドラムスとコーラス)が入場すると、山口が早速「おめえら準備いいのか、この野郎!」とオーディエンスへ投げかける。それに応えるようにフロアからたくさんの腕が上がっていった。そうして始まったのは「世界をかえさせておくれよ」。眩いばかりの光を背負って、メジャーコードが鳴り響いた。

「50だろうが80だろうが40だろうが中2だろうが、おめえは今から青春真っ只中!」と鳴らされた「青春狂騒曲」でも、「全員優勝」コールを巻き起こした「ミラクルをキミとおこしたいんです」でも、ライブを観に来た全員のことを四の五の言わずに肯定する。昨年同じステージで彼らを観た時にも思ったが、サンボマスターのライブはいい意味で変わらず、灯台のように私たちを照らしていてくれる。ここが小さなライブハウスだろうとも、ここが大きなフェスの会場だろうとも、今日も山口は「他の誰でもない、おめえとやりにきたんだよ!」と訴えかけるのだ。

ラストに演奏されたのは「輝きだして走ってく」。くだらない日常ではなく今このライブの中にある美しさこそが真実なのだと語り、そんな空間を作る観客へのリスペクトを絶やさないこのバンドだからこそ、唄うことのできる曲である。「また一緒に笑ってくれる人―?」と山口が投げかけると、フロア一面手のひらの海に。いつか挫けそうになる日が来たとしても、ここで結んだ約束の存在が私たちの心を支えてくれるだろう。
Text by 蜂須賀ちなみ

<セットリスト>
M1世界をかえさせておくれよ
M2青春狂騒曲
M3ミラクルをキミとおこしたいんです
M4できっこないをやらなくちゃ
M5世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
M6輝きだして走ってく
■KREVA
KREVA

KREVA

いよいよ今年のビクターロック祭りも最後のアクト。BARK STAGEのトリを務めるのは今年でソロデビューから15周年、現在「908-クレバの日」に向けて9か月連続リリースを展開中のKREVA! DJ/MPCの熊井吾郎+Key.の柿崎洋一郎、Gt.の近田潔人、Ba.の酒井太、Dr.の白根佳尚の5人編成が待つステージに華やかな白い燕尾服を着て登場すると、「パーティーはIZUKO?」でライヴをキックオフだ。《パーティーはIZUKO?》という問いかけにフロアから《ここだ!》とレスポンスが起きる。「これでラストなんで、最後楽しんでいきましょう! このマイクロフォンを通してああしろこうしろって言うんで付いてきてほしいんだけど、その前にこいつなら付いていこうと思うラップを2曲ばかり」と「基準 ~2019 Ver.~」へ。着けていたサングラスを外して、フロアに不敵な笑みを向けながらキレのあるラップを繰り出す。ハードなギターサウンドが曲の不穏で攻撃的なニュアンスを付け加えて、一気にここBARK STAGEのテンションが高まっていく。続けて「ストロングスタイル ~2019 Ver.~」。こちらもハード&ドライな仕上がりでスキルをこれでもかと見せつける。

「ここからは3曲はみなさんにも参加してもらいたいと思います」とKREVA。といいつつ「3月からロックフェスを楽しんでいる我々は、曲の中で成長できると思っています!」とあえて細かい注文はしないと宣言。「不可能を可能にしましょう!」と「ミッション・インポッシブルのテーマ」に合わせて銃を構えるポーズを決めると、レゲエのリズムが多幸感を演出する「OH YEAH」へ。コール&レスポンスもばっちり決まり、笑顔を見せる。続く「Have a nice day!」では掲げた一本指をゆっくり左右に振るアクションを、「イッサイガッサイ」ではハンドウェーヴと手拍子を。ここにいるひとりひとりが主役となって、幸せなステージが展開していく光景は感動的だ。

「祭りを楽しめるときは思いっきり楽しんだほうがいいと思うんですよ、後の祭りにならないように。そういうことでしょ?」と言うKREVA、そんなお祭りにとっておきの曲を持ってきてくれた。今から15年前の9月8日にリリースされたメジャーデビューシングル「音色」の2019年ヴァージョンだ。ドラマチックな歌とラップがますますメロウに艶めき、KREVAは美しいファルセットをも響かせてみせる。そして最後の曲「Na Na Na」へ。お客さんを巻き込んでの《Na Na Na》のコーラスがこの広い会場に広がってフィナーレを彩ってみせた。

鳴り止まない拍手に応えて再びステージに戻ってきたKREVA。いきなり「どの音楽サブスクリプションサービスを使っているか?」というアンケートをお客さんに取り始めて何かと思ったら、昨日3月15日にストリーミング配信がスタートした3曲のなかから1曲やるよという前振りだった。その1曲とは「アグレッシ部~2019 Ver.~」。どこか優しい感じも受けるバンドサウンドに乗るKREVAのラップが、このあと家路に着くひとりひとりの背中を押すように響いた。
Text by 小川智宏

<セットリスト>
M1パーティーはIZUKO?
M2基準〜2019Ver.〜
M3ストロングスタイル〜2019Ver.〜
M4 OH YEAH
M5 Have a nice day!
M6イッサイガッサイ
M7音色 〜2019Ver.〜
M8 Na Na Na
ENアグレッシ部

OKMusic編集部

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