【レポート】杜このみ2度目となる雛
祭りコンサート、新曲に民謡・早着替
え・初披露曲にファン歓喜

デビューから7年目を迎える杜このみが、3月3日、東京・日本橋の三越劇場にて、<このみの雛祭り>を開催した。

このコンサートは、昨年の3月3日に続く2度目の開催となる。雛壇をイメージしたステージで、杜が子供の頃から親しんできたという民謡に、オリジナル曲、新曲、名曲のカバーなどで構成。初挑戦となる早着替えやステージ初披露曲も多い、ファンを喜ばせる内容だ。演奏は、津軽三味線日本一として知られる土生みさおに、津軽三味線の田中志保、小山貢理乃、箏の小池摩美、尺八の樋口景山、和太鼓の高木てんによる、邦楽レディース。華やかな女だけの雛祭りコンサートとなった。
会場では「杜このみ」という文字入りのピンクのTシャツを着た人々も目立ち、「このみちゃーん!」という掛け声もほうぼうから聞こえてくる。和太鼓の音と共に幕が上がると、黒い着物姿の杜が登場。スタートは「♪酒は呑め呑め飲むならば~」の歌詞で有名な「黒田節」。第一声から会場中を杜の歌の世界に引き込む、圧巻の歌唱力である。続いて日本で一番古い民謡の「こきりこ節」も和楽器の演奏に乗せて見事に歌い上げ、大きな拍手と歓声が贈られた。
「皆様こんにちは! 昨年に続きまして、3月3日の3時、三越劇場、杜このみ! ということで、お雛祭りの日にコンサートをさせていただくことを、すごく楽しみにこの日を待っておりました!」と嬉しそうな笑顔で挨拶。「民謡以外の1曲を選曲しました。私の大好きな大好きな1曲でございます」と「蘇州夜曲」を、「皆様もこの曲だと一緒に歌ってくださるのではないかな?」と「浜辺の唄」を、民謡からは「鹿児島小原節」を披露。3曲ともステージ初披露とは思えない完成度の高さに驚かされる。ここで白地の着物に着替え、デビューシングル「三味線わたり鳥」を歌い上げた。続いて、3月6日発売の新曲(両A面シングル)の「めぐり雨」と「花は苦労の風に咲く」を紹介。「花は苦労の風に咲く」は、タイトルを知った時に「ちょっと長くて言いづらいかな?と母に電話で伝えると『それが印象に残っていいんだよ』と言われました」と明かした。しっとりと女心を表現した「めぐり雨」に、力強い歌声で元気が出るような人生の応援歌「花は苦労の風に咲く」に、客席も熱さを増した。
休憩を挟んで次の部は、杜がピンクのドレス姿で1階の客席から登場。6枚目のシングル「残んの月」に、7枚目のシングルでオリコン演歌ランキングで1位を獲得した両A面シングル「函館夜景」、「くちなし雨情」を魂を込めて歌い上げた。続いては、水色のロングドレス姿で登場し、雰囲気が一変。ASKAが作詞・作曲を手掛け、ちあきなおみに提供した「伝わりますか」を初披露。同曲は、杜がデビュー当時からお世話になっているテイチクレコードの人物から、「合うのではないか?」と勧められて選曲したそう。ASKAのセルフカバー、岩崎宏美夏川りみといった実力派がカバーし、傑作ながら高い歌唱力が必要とされるこの曲をしっかりと歌いこなして、表現の幅の広さを感じさせた。「先輩方の名曲をもう1曲」というトークから、香西かおりの「無言坂」を披露。まるで杜の歌かのような素晴らしい仕上がりである。

ここで、「今日来ていただいたお客様だけに、誰よりも早くお知らせしたいことがございます」との声。2019年10月7日に、浅草公会堂でのリサイタルが決定、という嬉しい告知に、会場が沸いた。その後、邦楽レディースによる躍動感あふれるインストゥルメンタルの「Find It」に続き、黒い着物に着替えた杜が、「津軽じょんから節」、中学生の頃、民謡の先生に勧められたという民謡“三下がり”(三味線の三の糸が下がった、独特の哀愁のある音階)の中から「松前三下り」で、再び民謡の世界へと誘う。「民謡のほうもこれからも勉強を積み重ねて、皆さまに喜んでもらえるように、そして、こんな民謡があったんだ、私のふるさとにはこんな民謡があるんだな、という発見につながったら嬉しいです」と決意を語った。北海道指定無形民俗文化財で、おめでたい民謡として知られる「江差餅つき囃子」では間奏で紅白のお餅を客席に撒くという演出に、お祭りムードも高まった。本編のラストとなる、「このみ音頭」では、ファン達の「あ、そーれ!」、「あ、ちょいと!」、「こ・の・み!」という合の手も加わり、会場は一層の一体感に包まれた。
杜の姿が見えなくなるとすぐさまアンコールの声がかかり、白地の着物に着替えた杜が登場。髪を少し下ろした艶やかな姿で歌うのは、石川さゆりの「天城越え」。同曲は、杜のファーストアルバムにも収録されているが、ステージでは初披露である。実は以前、師匠の細川たかしから「お前にはまだ早い。色気がなさすぎる」と言われて封印していたが、「今年で三十路になるので、これを機に歌わせていただきました」とのこと。女の情念たっぷりの歌いぶりは杜の新たな魅力を見せつけた。最後は新曲の「花は苦労の風に咲く」を再び歌い、大盛況のうちに幕を閉じた。杜の進化と大成功を感じさせる充実したコンサートとなった。

マスコミ取材で、杜はコンサートについて「今日は東京マラソンの日でということで、またお足元も悪い中で、本当に感謝でいっぱいでございます。邦楽レディースにご協力をいただきまして、演歌のみならず、民謡のほうもたっぷりと聴いてもらって、演歌しか普段聞かない皆様にも民謡の魅力を聴いてもらえたら嬉しいな、というふうに始まったコンサートです」、「今まで、三味線、尺八というのはあったんですけども、お箏が入るのは今回初めてなので、より音の幅が広がるというか、お箏の音色もすごくいいなと感じてもらえるかと思います」、「3月3日は杜このみのコンサートの日だと思ってもらいたい」と意気込んだ。
また、細川たかしと出演中の、自身の初CM出演について「初めてのCMがまさかドコモさんとは、すごく光栄だな、と感じながら、師匠のおかげ様だなと感謝の気持ちでいっぱいなんですが、制服姿なので、なかなか気づかれないことが多くて、あれは杜このみです!というのを宣言したい」と応えた。

<このみの雛祭り>

2019年3月3日(日) @東京・三越劇場
[ セットリスト ]
01. 黒田節
02. こきりこ節
03. 蘇州夜曲
04. 浜辺の唄
05. 鹿児島小原節
06. 三味線わたり鳥
07. めぐり雨
08. 花は苦労の風に咲く
09. 残んの月
10. 函館夜景
11. くちなし雨情
12. 伝わりますか
13. 無言坂
14. Fin It
15. 津軽じょんから節
16. 松前三下り
17. 江差餅つき囃子
18. このみ音頭
アンコール
1. 天城越え
2. 花は苦労の風に咲く

ニューシングル『花は苦労の風に咲く/
めぐり雨』

2019年3月6日(水)発売
オレンジ盤(CD+DVD):TECA-15906 / 1,389円+税
ホワイト盤(CD):TECA-13905 / 1,204円+税
[ CD収録楽曲 ]
1. 花は苦労の風に咲く
2. めぐり雨
3. 花は苦労の風に咲く(オリジナル・カラオケ)
4. 花は苦労の風に咲く(メロ入りカラオケ)
5. めぐり雨(オリジナル・カラオケ)
6. めぐり雨(メロ入りカラオケ)

[ DVD収録内容 ]
「花は苦労の風に咲く」ミュージックビデオ
「花は苦労の風に咲く」メイキング映像

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