【琴音 インタビュー】
どんな感情でも
何かを想うことが糧になる
2018年に数々のオーディションでグランプリを獲得した、現役高校生のシンガーソングライター、琴音がEP『明日へ』でメジャーデビューを果たす。同作には彼女がアーティストとして大切にする想いが詰め込まれおり、その若さと大人びた歌声に驚いていたが、冷静に真剣に音楽に向き合う姿勢こそが、現状につながっていることがひしひしと伝わってきた。
この音楽が少しでも癒しに
なってくれたらという想い
EP『明日へ』でメジャーデビューとなりますが、実感は沸いてますか?
初めてメジャーデビューのお知らせをしたのが、去年のワンマンライヴだったんですけど、そこで喜んでもらえて良かったなっていうのと、“メジャーデビューか…、ほう…”みたいな(笑)。“するんだな”っていう意識はあるんですけど、これまでと変わらずにやっていこうという気持ちです。
その気持ちは大事ですよね。今作は聴いていて活力をもらえる一枚だったので、“明日へ”というタイトルがぴったりだなと思いました。何かテーマがあったんですか?
今回はタイトルを一番最後に決めたんです。聴いてくださった人が少しでも癒されたり、元気になったり、もうちょっと頑張ってみようって思ってもらえる音楽を作っていけたらって気持ちが根本で曲を作っているので、そこが全体を通して言えることかなって。これを聴いて“また明日も頑張ろう”って思ってもらえたらいいなと思います。
1曲目の「ここにいること」はご自身にとってのかげがえのないものを歌っていて、ひとつの出発点を迎える今だからこそ歌えることなのかなと思ったのですが、いつ頃できた曲なのですか?
昨年の7月に全国流通盤のミニアルバム『願い』をリリースした段階で、ライヴにもたくさんのスタッフさんやサポートメンバーの方々が付いてくれることになったんですけど、それまでは母がすべて手伝ってくれていたのでその時に改めて母への感謝の気持ちと“これからも頑張っていきます”という意思表示をを伝えようと思ったのがこの曲を作ったきっかけです。家族もそうだけど、友達とか恋人とかそういう身近な人への感謝とか、聴いてくれる方自身への励ましの曲として受け取ってもらえたら嬉しいです。
琴音さんが周りの人と手を取り合って活動してきたことが伝わりますし、歌詞も最初に“夢”という単語から始まるところが1曲目として素敵だなと思いました。
ありがとうございます。そういう観点から考えたことがなかったんですけど、いろいろな捉え方をしていただけるのも曲の醍醐味なので、今“なるほど!”って思いました(笑)。
「戯言~ひとりごと~」は“たわごと”や“ざれごと”など、いろいろな読み方がありますよね。
思春期って自我というか自分の意志が強固になっていく時期だから、いろいろなことを考えるし、いろいろなことに気が付くし、それでまた悩んだり苦しんだりする人もいるんだろうなって思って。自分の場合はそれを口に出さずにひとりで考えるタイプなんですけど、その時に頭の中にあったものをそのまま歌詞に書いてみたんです。でも、今思ってることもある程度大人の人たちから見たら大したことではないのかなって思って、こんなの戯言(ざれごと)だと思われるのかもしれないけど、今の自分はそう思っているっていうのを歌詞とタイトルに表しました。
私も大人ぶれるような立場ではないんですけど…大人から見ても人生に大切なことがたくさん詰まっていると思います。今っていろいろなかたちで人の意見を知れるから、それで自問自答したり、単純なことを難しく考えてしまうことってあると思うんですね。そんな時に《頭の中で渦巻いている 深そうで浅いよしなしごと》って歌われたらドキッ!って(笑)。でも、サビには“思い描くことが生きる糧となる”と励まされて。
この曲は思っていることを一気にバーッと書いたんですけど、サビのあたりは書いている時に何となく思い付いたというか。人の思考って歌じゃなくても絵とか本とか言葉とか人柄とか、いろいろなかたちで表に出るじゃないですか。それが残っていくことで次の世代の人の糧とか考えのベースになったりして回っているんだなと思って。それって素晴らしいことだなって思って、サビの歌詞ができたんです。