【ライブレポート】MONGOL800、“ハ
タチ”の武道館公演で「世代がちゃん
ぷるーしてる」

MONGOL800が2月27日、東京・日本武道館で<MONGOL800 20th ANNIVERSARY FINAL!! “モンパチハタチ at 日本武道館”>を開催した。同公演は自身の“ハタチ”に合わせて行なってきたさまざまなイベントの締めくくりとして行われたもの。映画『小さな恋のうた』に関する驚きのアナウンスもあった同公演のレポートをお届けしたい。
MONGOL800の三度目になる日本武道館公演は、過去二回の武道館と比べても“破格”と言えるほどパワーアップを遂げていた。そして、何より彼らが本来表現したかった世界観とは、こういうものなんだ!と心の中で激しく膝を打った。

2018年、モンパチ(MONGOL800)は結成20周年という大きな節目を迎え、それに伴う原点回帰の全国47都道府県ツアー<MONGOL800 ga 20th ANNIVERSARY!!“GO ON AS YOU ARE Tour 2018”>を経て、地元・沖縄県立博物館・美術館で『モンパチ展』を開催。加えて、バンド主催の野外フェス<What a Wonderful World!! 2018>も大成功に収め、さらに20周年ツアー第二弾としてホール・ツアー<MONGOL800 20th ANNIVERSARY TOUR"Life is Peaceful 2018-2019">も行った。この夜の武道館公演は2018年から始まった計2本のツアーを締め括る大事なファイナル公演となり、この日も見事に完売御礼のソールドアウトとなった。
開演18時半を5分ほど回った頃、恒例のSE「Enjoy your self」が流れると、上江洌清作(Vo / B)、儀間崇(G / Vo)、髙里悟(Dr / Vo)のメンバー3人が姿を現し、その両脇を固めるのはホール・ツアーにも帯同していたNARI(Sax / SCAFULL KING)、Seasir(Tp / DOBERMAN)によるホーン隊THE BRASS BROTHERSだ。

「武道館、遊びましょー!」──清作
という清作の掛け声を合図に、2ndアルバム『MESSAGE』収録曲「Melody」で本編は始まった。華やかなホーンの音色を帆に受け、ポジティヴな楽曲がより一層カラフルな光沢を帯びて迫ってくる。引き続きホーン隊と一緒に演奏した「PARTY」も同様だ。曲が始まるや、アリーナ、スタンド席まで観客は手を掲げてダンスに興じ、早くも祝祭ムード溢れる光景が広がっていく。初期曲が持つハッピー・ヴァイブスとホーンの音色は相性抜群である。次の「Love song」からメンバー3人体制に切り替えて「Real Life」「煩悩のブルース」、崇がリードヴォーカルを務める「地球図鑑」と繋げ、前半6曲は快活なナンバーで攻め立てた。

「今日の日をどれだけ楽しみにしていたことか……俺らと一緒に勝負しましょう! モンパチ ハタチを一緒にお祝いしてもらってもいいでしょうか?」と清作が言うと、「HAPPY BIRTHDAY」をプレイ。1stアルバム『GO ON AS YOU ARE』収録曲で、モンパチらしさを体現した1曲と言っていい。彼らがまだ学生時代に作った曲だが、楽曲は微塵も色褪せることなく、鮮烈な輝きで聴く者を明るく包み込む。また、曲中にモンパチ20歳を盛大に祝う「ハッピーバースデイ!」の声が響き渡る瞬間にも鳥肌が立った。
「始まった瞬間に終わっちゃう。昨日も眠れなくて……。ド平日にこんなに集まってくれてありがとね」と清作は感謝の言葉を告げた後、もはや彼らのライヴには必要不可欠の人物である粒マスタード安次嶺(パーティーダンサー)がステージ中央からせり上げる形で登場! 主役のモンパチよりも派手な登場シーンに会場は爆笑。

それからSeasir(Tp)も交えて、「OKINAWA CALLING」を披露。この曲もライヴで急成長したナンバーであり、ホーン隊とダンサーの相乗効果により、お祭り騒ぎの大フィーバーへと観客を導く。続いてTHE BRASS BROTHERSとダンサーの6人体制で「honeymoon」へ移ると、結婚式をテーマに据えたゴージャスな曲調は武道館でも一段と映えていた。
中盤にはメンバーひとりずつMCするパートがあり、そこで悟は高校の頃に全くドラムができなかった初心者をバンドに誘ってくれた清作、崇に向かって、「ありがとう!」と感謝を述べる一幕もあった。

「俺、地味に3枚目のアルバムが好きで……」と清作が切り出すと、3rdアルバム『百々』収録の「あるがまま」「月灯りの下で」を演奏。この時期は悟が無事に四国の大学を卒業、“遠距離バンド”から解消され、清作曰く「バンドとしてゼロに戻れた」(*当時のインタビューでそう語っていた)作品ということもあり、メンバーも特別な思い入れがあるのだろう。肩肘張らないメロウなサウンドに多くの人が聴き入っていた。
そして、「神様」を挟んだ後、清作は武道館を隅々まで見渡し、「小さい子から大きい子まで世代がちゃんぷるーしてる。世代を超えて歌で繋がってる。20年やってれば凄いことが起きるもので、たくさんのアーティストがカヴァーしてくれた曲が映画(『小さな恋のうた』)になった。モンパチの3人もその映画に出た(笑)。公開は5月24日決定です!」と清作がこの場で情報解禁すると、観客も大喜び。その流れで「小さな恋のうた」を披露し、ド頭から凄まじいシンガロングが沸き起こった。

後半は「I'll be」を経て、栄口青年会(エイサー隊)を招き入れると、「琉球愛歌」を披露。過去2回の武道館公演でも必ずやってきた楽曲である。沖縄から愛を、平和を希求する彼らの真摯なメッセージは、ここにいるすべての観客の心に行き届いているようだった。本編は「face to face」「あなたに」で盛大に締め括った。
アンコールでは「スペシャルな場所じゃないと、できない曲」と清作が説明し、GO!GO!7188のカヴァー「こいのうた」をプレイ。アコギを用いて前半はしっとり聴かせ、後半はエイサー隊を含むバンド編成で壮大なスケールを描く。その展開は圧巻としか言いようがなかった。

それからTHE BRASS BROTHERS、粒マスタード安次嶺、エイサー隊を含む総勢16人で、安室奈美恵のカヴァー「TRAY ME〜私を信じて」が飛び出すサプライズに観客も驚いている様子。このカヴァーは2018年9月、安室奈美恵の沖縄ラストライブにモンパチがゲスト出演した際に披露されたレア曲であり、再びここ武道館で聴けるとは! デジタル音を配したイントロを経て、沖縄が生んだ偉大なる歌姫に対するモンパチなりのリスペクトを込めた演奏に観客も大興奮。清作のセクシーな歌い回しも、カヴァーだからこそ炙り出された貴重な表情と言っていい。
それから「DON'T WORRY BE HEPPY」「夢叶う」を演奏し終えると、ラストは「Home」を解き放つ。これは4thアルバム『Daniel』収録曲で、当時初めて彼らが歌詞の中に“OKINAWA”というワードを入れた意味深い楽曲だ。その雄大な曲調は武道館を覆い尽くさんばかりの熱いエネルギーを迸らせ、約2時間半に及ぶライヴを堂々と締め括ってくれた。

モンパチ20年の歩みを凝縮したような歴代の楽曲を聴きながら思ったのは、彼らは音楽を通して“幸せ”や“笑顔”を届けたいのではないだろうか。これ以上ない“ハッピーな空間”という意味において、今回の武道館公演はモンパチの真髄を最大級に味わえる内容であった。
取材・文◎荒金良介
撮影◎Ko-King (@koukitakeyasu)

■<MONGOL800 20th ANNIVERSARY FINAL!! “モンパチハタチ at 日本武道館”>2019年2月27日@東京・日本武道館セットリスト

SE. Enjoy your self
01. Melody
02. PARTY
03. Love song
04. Real Life
05. 煩悩のブルース
06. 地球図鑑
07. HAPPY BIRTHDAY
08. 愛する花
09. 宝物
10. OKINAWA CALLING
11. honeymoon
12. あるがまま
13. 月灯りの下で
14. 神様
15. 小さな恋のうた
16. I'll be
17. 琉球愛歌
18. face to face
19. あなたに
encore
en1. こいのうた ※GO!GO!7188カバー
en2. TRY ME -私を信じて- ※安室奈美恵カバー
en3. DON'T WORRY BE HAPPY
en4. 夢叶う
en5. Home
■映画『小さな恋のうた』

2019年5⽉24⽇(⾦) 全国ロードショー
映画『小さな恋のうた』オフィシャルサイトURL
http://www.chiikoi.com

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