ミュージカル『ロミオ&ジュリエット
』開幕! 古川雄大&葵わかなが描く
純愛と悲劇の果て

ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が、2019年2月23日(土)に東京・東京国際フォーラム ホールCにて開幕する。初日前日には同劇場にてゲネプロ(通し稽古)が披露された。
『ロミオ&ジュリエット』は、ジェラール・プレスギュルヴィック作、2001年にフランスで初演され、以降スイス、ベルギー、ロンドン、モスクワ、ウィーンなど世界各国で上演された世界的大ヒットミュージカル。2010年には小池修一郎の潤色・演出により宝塚歌劇星組で日本初演を迎えている。その翌年には日本オリジナルバージョンが生まれた。今回は、2017年の新演出版の再演となる。
22日のゲネプロでは、ロミオ役を古川雄大、ジュリエット役を葵わかな、ベンヴォーリオ役を三浦涼介、マーキューシオ役を平間壮一、ティボルト役を渡辺大輔が担当し、死を大貫勇輔が演じた。
舞台はイタリアの都市・ヴェローナ。だが、本来の「ロミジュリ」の時代ではなく、今より少し先の時代のような感もある異空間。やがてベンヴォーリオ、マーキューシオを中心にしたイメージカラー「青」のモンタギュー家と、ティボルトが軸となる「赤」のキャピュレット家が登場し争いの群舞が始まる。ベンウォーリオ役の三浦はちょっとおバカな所もあるが憎めない人の良さを感じさせ、マーキュシオ役の平間は狂気をはらんだアブなさをはらみ、ジャックナイフのように切れ味よく舞い踊る。一方のティボルト役の渡辺は三浦・平間より落ち着いた大人の色気がありつつも、触れただけで相手を斬りかねない激しさを感じさせていた。

やがてこの物語の主役が登場する。モンタギュー家のロミオ役・古川演じるロミオは二つの家の争いとは別次元で生きてきたような透明感を放つ。ガラの悪い仲間はいるが、ぬぐい切れない王子様感を醸し出している。またその歌声の美しさも聴きどころだ。

そしてキャピュレット家のお嬢様・ジュリエット役の葵はこれが初舞台・ミュージカル初挑戦とは思えないくらいの堂々とした演技を見せる。恋を知らないウブな少女の可憐さと、やがて必死に愛を守ろうとする強さと大胆さをもった一人の女性へと成長を遂げていく姿はきっと観るものの共感を誘うだろう。
こんな二人が描く「ボーイ・ミーツ・ガール」の瞬間はどの場面を切り取っても美しくいじらしい。初めて誰かを愛した時、しかもそれが幸せにも相思相愛だったときのキラキラ感。それが眩しければ眩しいほど、その後に訪れる悲劇のむごたらしさを強調し、物語をドラマティックにしていく。一幕の幸せ絶頂感をどれだけ高みに引き上げるかが本作の成功ポイントだと思われるが、古川・葵コンビはその目標を見事にクリアしていたと感じさせた。
「ロミジュリ」の見どころは実にたくさんあるが、その一つが洪水のように押し寄せる音楽。
ロック&ダンスミュージックで若者たちの対立の構造の熱と激しさをイマドキのカッコよさともに伝え、また初めての恋の熱をもストレートに届け、涙を誘う。これまで何千人、いや何万人の役者とスタッフが手掛けてきた恋愛悲劇の古典だが、この「ロミジュリ」はそのどれとも被らない魅力的な「現代の古典」となった理由には間違いなく音楽の力が含まれることだろう。
※後日、大野拓朗、木下晴香、木村達成、黒羽麻璃央、廣瀬友祐バージョンのゲネプロレポートもお伝えする予定。
取材・文・撮影=こむらさき

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