【ライヴレポート】
『ROCK AX』
2019年1月22日、23日
at TOKYO DOME CITY HALL

2019年1月23日 at TOKYO DOME CITY HALL(雨のパレード)

2019年1月23日 at TOKYO DOME CITY HALL(雨のパレード)

 敢えてスタートダッシュをかけずに暗闇の中からバンドの姿と楽曲が徐々に浮かび上がるような1曲目「Reason of Black Color」の見せ方がとても印象的だったのは、2日目のトップバッター、雨のパレードだ。

 シンセオリエンテッドなサウンドが日本のバンドシーンにおいて異彩を放っている4人組。“最高のイベントにしましょう。一音一音を楽しんでいってね”と福永浩平(Vo&Key)が呼びかけ、バンドはファンキーなサウンドが軽やかな「Tokyo」をはじめ、新旧の代表曲の数々を披露した。

 “踊ろうぜ”と時折、福永が客席に声をかけるものの、決して煽るようなことはせず、バンドが作り出す空間に浸らせるような演奏は、黒い衣装で揃えたメンバーのルックスも含め、まさにスタイリッシュ。しかし、その一方では演奏の熱がぐっと上がって、観客を圧倒する瞬間も。それも含め、観客がバンドの演奏と福永のウィスパーボイスを楽しんでいる光景は、盛り上がっていると言うよりも、酔いしれるという言葉がふさわしかった。それもまた、ライヴの楽しみ方のひとつだろう。

 中盤、披露したタイトル未定の新曲は、力強いリズムとエモーショナルに歌い上げる福永の歌が新境地をアピールした。複数のバンドが出演するこういうイベントでタイトルもまだ決まっていない新曲を演奏したところにバンドがすでに前へ、前へと歩き出していることが窺えた。そう言えば、バンドの演奏もいつも以上に気迫に満ちていたんじゃないか。それは福永が言った“もっとカッコよくなるので、また来てね”という言葉からも感じられた。“最後に踊ってください”と福永が言って、バンドが演奏したのは6分を超えるダンスナンバー「Count me out」。バンドが作り出す心地良いグルーブが会場全体にさざなみのように伝わっていった。
2019年1月23日 at TOKYO DOME CITY HALL(King Gnu)

2019年1月23日 at TOKYO DOME CITY HALL(King Gnu)

 イギリスのアーティスト、King Kruleの曲をSE代わりにステージに出てきたKing Gnuを観に来たという観客は多かったんじゃないか。今年、ブレイクは必至!?と音楽シーンに止まらない注目を集めている話題の4人組だ。

 4日前にリリースしたばかりのニューアルバム『Sympa』から、常田大希(Gu&Vo)と井口理(Vo&Key)がツインヴォーカルを聴かせるファンキーな「Flash!!!」で、いきなり会場を沸かせ、間髪入れずにヒップホップなロックナンバーの「Tokyo redez-vou」になだれこむ。イントロを聴いただけで客席から起こった大歓声に、彼らの人気が決して話題先行のものではないことを実感。
 それにしても、“トーキョーニューミクスチャースタイルバンド”とは、よく言った。過激なポストパンクからアーバンかつメロウなバラードまで、普通、隣り合うことなどありえない振り幅の広さを持った、そのユニークな音楽性のおもしろさは、40分弱のライヴでも十二分に感じることができた。

 人を食ったようなMCも含め、ちょっと世の中をナメたような不遜な態度もなんだか頼もしい。多くの人が彼らに期待するのも頷ける。が、何と言っても一番の魅力は、高揚感に満ちた「Slumberland」をはじめ、アバンギャルドな一面も持ちながら、彼らが作る曲はどれもキャッチーでポップだというところだ。そんな魅力は、歌謡ディスコな「あなたは蜃気楼」から、さらに顕著に。そして、“まだまだ踊れますか!? 行きますよ!”と井口が声をかけ、迎えたラストナンバーの「Vinyl」。メランコリックなギターとヒップホップのリズムが絡み合いながら、サビで視界が一気に開けるようにアンセミックになる展開に眩い照明の中、全員が手を振り、壮観という言葉がぴったりの景色を作り上げたのだった。
2019年1月23日 at TOKYO DOME CITY HALL(SPECIAL OTHERS)

2019年1月23日 at TOKYO DOME CITY HALL(SPECIAL OTHERS)

 2日目のトリを飾ったのは、“スペアザ”ことSPECIAL OTHERS。今年、結成25年目を迎えるベテランであることに加え、『ROCK AX Vol.1』に出演した全6組中、唯一のインストバンドであることを考えると、彼らほどトリにふさわしいバンドはいなかったはず。

 スペアザと言えば、宮原 "TOYIN" 良太(Dr)、又吉 "SEGUN" 優也(Ba)、柳下 "DAYO" 武史(Gu)、芹澤 "REMI" 優真(Key)の4人がそれぞれソロをリレーしながら、テーマと言えるパートを繰り返して、じわじわと盛り上げる長尺の演奏が聴きどころだが、ジャムセッションから演奏になだれこんだこの日も、40分の演奏で披露したのは、宮原と芹澤がコーラスを重ねる牧歌的な「I’LL BE BACK」をはじめ、全4曲。その、のんびりとしたノリから一転、ファンキーなギターのカッティングでつなげた「BEN」。そして「IDOL」では、ググっと熱を上げた演奏の疾走感をたっぷりと観客に楽しませると、ぐるぐると回るライトが客席を照らしながらクライマックスを演出。体を揺らしながら演奏に浸っていた観客の間から歓声が上がった。

 “第1回に呼んでいただけるなんてありがたい。だって、(スペアザを)一番に思ってくれてるってことでしょ”と宮原が第一声を発したMCでは、宮原が芹澤のセーターを、芹澤が宮原の声の低さを、それぞれにつっこみながら掛け合いのトークを繰り広げ、客席を笑わせ、和ませた。

 ラストは「Good Luck」。エレピとギターが奏でるメロディーを、思わず口ずさんだという人も少なくなかったんじゃないか。そして、熱演は眩いライトがアリーナを照らす中、“La la la la”とコーラスを重ね、アンセミックな盛り上がりが高まったところで大団円を迎えた。こういう曲を持っているから、いわゆる歌もののバンドの中に混ざっても浮かない強さがスペアザにはある。そんなことを改めて思わせた充実の演奏だった。

取材:山口智男


セットリスト

  1. ■DAY.2
  2. 【雨のパレード】
  3. 1.Reason of Black Color
  4. 2.Tokyo
  5. 3.new place
  6. 4.(No Title)
  7. 5.1969
  8. 6.epoch
  9. 7.Count me out
  10. 【King Gnu】
  11. 1.Flash!!!
  12. 2.Tokyo Rendez-Vous 
  13. 3.McDonald Romance
  14. 4.It’s a small world
  15. 5.Slumberland
  16. 6.あなたは蜃気楼
  17. 7.ロウラブ
  18. 8.NIGHT POOL
  19. 9.Prayer X 
  20. 10.Vinyl
  21. 【SPECIAL OTHERS】
  22. 1.I’LL BE BACK
  23. 2.BEN
  24. 3.IDOL
  25. 4.Good Luck

『ROCK AX Vol.2』

4月18日(木) 東京・TOKYO DOME CITY HALL
出演:HY、Official髭男dism、マカロニえんぴつ

4月19日(金) 東京・TOKYO DOME CITY HALL
出演:藍井エイル、GRANRODEO、BLUE ENCOUNT

<チケット>
アリーナ・スタンディング¥5000(税込)
バルコニー指定¥5,000(税込)

■ファンクラブ限定先行(抽選)
2月15日(金)17:00~2月18日(月)9:00
■オフィシャル最速先行(抽選)
2月18日(月)10:00~2月24日(日)23:59
■一般発売
3月16日(土)10:00~

◎オフィシャル最速先行/一般発売URL 
https://l-tike.com/rockax

OKMusic編集部

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