ましのみ「聴いてくれる人をエスコートしたい」最新作で表現した顔

ましのみ「聴いてくれる人をエスコートしたい」最新作で表現した顔

ましのみ「聴いてくれる人をエスコー
トしたい」最新作で表現した顔

強烈な敵っていうのじゃなくなってきて、人間になってきた
――今回のアルバム『ぺっとぼとレセプション』のテーマには、欲望だったり、ありのままの自分でいたい、みたいなテーマが見え隠れするような新曲が多いように感じたんですけど、全体的なテーマというのはあったんですか?
ましのみ:今回は1番始めに寄り添いたいというのが1つある中で『ぺっとぼとレセプション』というタイトルになっていて、それを大軸として作っているアルバムなんです。
もともとデビューアルバムが『ぺっとぼとリテラシー』で、1年くらい経つんですけど、それまでは全国流通すらしたことがなかったので、世間に対して出すにあたって、世間というのが、何者かわからない、超でかい壁、超でかい怪物みたいな感じで。
そこと戦うというイメージで作りました。棘のあるものをたくさん入れて、“自己紹介です”ということで出したアルバムだったんです。
だけど、それを持って色んな所にライブをしに行ったりとか、リリイベでサイン会とかがあったりすると実際聴いている人の顔が見えて、曲に対する感想をもらって、こういう人がこういうふうに聴いているんだっていうのが、1年でだんだんわかってきたんです。だから世間がだんだん、怖くて強烈な敵っていうのじゃなくなってきて、人間になってきたというイメージですね。
戦うとかハングリー精神というのは、私の中に変わらずずっとあるんですけど、そこにプラスしてだんだん聴いてくれている人に対しての優しさとか愛情というものが私の中で乗っかってきて、そういうところから聴いてくれている人に少しでも幸せな方向になってほしいということで曲を書いているんです。
もっと私がそれに寄り添って、伝わるように愛情が沸くからこそ優しく届けたい。伝わりやすいように私が寄り添いたいという気持ちになってきて。だから、私から手を差し伸べて、ましのみっていうものの中に聴いてくれた人をエスコートするというアルバムを作りたくなったんです。だいたいそれで変わってくるのが、言葉選びとかメロディーとか構成なんですけど、書きたい、伝えたいテーマというのは、そんなに自分の中で逸脱してないし、こう思うのに真逆のことを書くとかは、寄り添うからと言って全然ないです。
――最後におっしゃってたように、構成だったり言葉選びが変わったということですが、うちは歌詞サイトなので言葉選びと言うところにフォーカスを当てたいんですけど、具体的に丸くなったとかそういうイメージですか?
ましのみ:曲によって全然違うんですけど、4曲目の『美化されちゃって大変です』とか、7曲目の『錯覚』とか、9、10の『ターニングポイント』『ゼログラビティのキス』とかは、アルバムの始めのほうに制作した曲で、寄り添いたいという思いで書いた曲なんです。
例えば、『美化されちゃって大変です』では、恋の1番始めの、盲目になって頭が働かないでバカになっちゃってるところに対して、私が自分の欲しい刺激だけを求めるんだったら、もっとエグイ言葉とかマイナスの表現を使ってそこの盲目さを表現するのに対して、1回プラスの言葉だけを使って、本当に盲目でキラキラになっちゃった状態を、そのままの景色で表現したらどうなるんだろうっていうテーマで書きました。
そういう表現をしたことによって自分の中で出てきたものだったりとか、言葉を全部ワーッと詰め込み過ぎないで、緩めに歌ってみたらどうなるだろうとか、メロディーだったり歌詞の詰めかただったりとかっていうのを決めて、それを寄り添うっていうこととして作りました。
こっちの言葉とこっちの言葉どっちがいいかな? 同じくらい刺激的な言葉だけど、同じくらい好きな言葉だけどどっちがいいかな?っていう時に、こっちの言葉の方が伝わりやすいなっていうことで選ぶようになったり。そうやってさっきの曲とかは作りました。
でもその反動で、自分の好き勝手書いちゃった曲も何曲かありますね(笑)。そういうのも作ったから、それがどう届くかっていうこともコミコミで、実験してみたかったという気持ちもあります。それが実際寄り添う曲になるかも分からないので、それは出してみてからだなと思っています。
でも、そんな形で曲作りがスタートしたから、反動ですごい刺激的なものが欲しくなっちゃったので、それに従わないのは健全じゃないなと思って、いろんな曲ができましたね。

――いろんな曲を詰め込みたいというところから始まった、幅の広さなんですね。じゃあ『美化されちゃって大変です』は、ちょっと気持ち悪いくらいキラキラしているという。
ましのみ:そうですね、ラメラメとか言っていいのかぐらいの感じです。こんなに大まかな歌詞でいいのか、どうしようと思ったんですけど。
実際これくらいバカになるのが本当の状況なのでは、実際バカになるよな、じゃあ正解だなと思って。私の中でもいいなと思えたし、聴きやすいいい曲にもなったかなと思うので、じゃあどう皆さんに届くか楽しみだなっていう、そういう作り方をしています。

――歌詞に「濃すぎる恋のフィルター」ですとありますが、フィルターが外れる瞬間ってどういうときなんでしょうね?
ましのみ:だんだんじゃないですか?何かを見て、とかもありますよね。すごい食べ方汚いみたいな。(笑)

――そういえば、何で私この人のことこんな好きなんだろう、あれ、みたいな(笑)
ましのみ:それが外れる瞬間、それが薄れていく瞬間は『フリーズドライplease』で、たまたま繋がってしまったんですけど(笑)

自分の気持ちなのに冷めていってしまう瞬間
――『フリーズドライplease』さすがだなと思いました。しょっぱなからましのみワールド全開だなと思って。よくこんな言葉が出ましたね!!
ましのみ:フリーズドライっていう言葉がいいなと思ったところから作ってはいたんですけど、でも元々ずっと考えていました。好きだっていう熱量ってすごいものじゃないですか。恋愛だけじゃなくて、何かのファンとか、グッズとか何でもいいんですけど、それが自分の意図しない所で自分の気持ちなのに冷めていってしまう瞬間って、それってすごく空しいじゃないですか。
その時にどうやって前を向けばいいんだろうって結構考えていたことだったので、『フリーズドライplease』という言葉が浮かんだときに、絶対これだと思って書いたっていう感じですかね。フリーズドライしてください、お願いします。

――今のお話しだと、フリーズドライっていう言葉からテーマが生まれてきた感じなんですか?
ましのみ:『フリーズドライplease』っていう言葉で作りたいっていうのから思い出したんですよね。普段考えている気持ちが簡単に意図しないところで、努力してもだんだん冷めていっちゃったりとか、それは2人の関係もそうなんですけど、それってすごい悲しいし、安定がほしかったのに、安定が空しいみたいなのってあるじゃないですか。
そういうのが、そこから触発されて考えていたのがパッとつながったので、書くしかないなと思って。

――この主人公は、自分が冷めていくのが嫌なんですか?
ましのみ:全部ですよね。相手が冷めていくのも、2人の関係が冷めていくのも自分が冷めていくのも嫌だけど、個人的には、相手が冷めていくのはもうどうしようもないって分かるし、2人が冷めていくのも悲しいだろうけど、自分の気持ちが自分の努力でどうにもならないってどうしようもなく空しいなって思うので。私個人的にはそこが1番なのかなとも思うんですけど、、、でも全部ですよね。(笑)

――私も、自分の意図しないところで冷めていくのってあんまり経験ないかもしれないです。誰かが良い人だからって言おうが、嫌いってなったら嫌い、みたいな感じですよね。
ましのみ:自分でちゃんと嫌いになれる。というか、好きなんだけど、好きのレベルが落ちていく感じですかね。例えば恋愛じゃない話で例えるとしたら、めちゃくちゃこのアーティストのファンで、すごいCDも買うし、ライブも行くし、すごい大好きだったけど、自分の生活とか価値観とかが変わっていく中でそうでもなくなって、サブスクでよくなったりとか。

――そういう時って、なんで冷めることに対して悲しいっていう感情が伴ってくるんですか?
ましのみ:多分それは大好きすぎて、この気持ちだけは冷めないって信じていたから。
恋愛もそうだと思うんですけど、普通に考えて半年、1年、2年、3年って経って冷めていくものだよっていうのはどこにでも書いてあるし、みんな言うし、それはそうなんだけど、私たちだけは僕たちだけは、この関係は絶対そんなことないから、他の人たちとは違うから絶対これは冷めるはずはないと信じていたからこそ、結局普通だったというか。
幻だったと思う瞬間が、とてつもなく空しいというところがあるなと思っていたので。
――恋とかすごく遠い話なので忘れかけてました(笑)。そういうのを信じていた時代もあったなということは思い出しました。ずっと一緒とか、ずっとラブラブみたいな(笑)
ましのみ:美化されちゃっている状態ですね(笑)

――今回のアルバムは、ちょっとこっぱずかしくなりますね(笑)思い出すと恥ずかしいみたいな。大人にはそういう楽しみ方をしてもらいたいですね(笑)
ましのみ:思い出してもらえるとありがたいですね(笑)

――でもここで歌われているくらいのレベルの「冷めてる」なら、いい関係じゃんって思いますけど!
ましのみ:そうですよね、いい関係なのに空しくなっていって、良くないんだけど空しくなっちゃうっていう時に、前を向けたらいいなと思って。

誰かのものになってみたい
――その感情超かわいいですね!次の『’s』もインパクトがありますね。
ましのみ:そうなんです、歌うのが楽しくて。これは、反動の方で寄り添う曲を作ったから、デモの段階からピアノと弾き語りというのじゃなくて、楽曲全体を自分ではじめから作ることによってできる曲を書いてみたいなと思って書いた曲です。
恋愛の曲にはしたかったんですけど、かっこいい曲を書いてみたくて。ピアノで作らずに、打ち込みから作ったからこそ、歌詞とかもシンプルなままでいいなと思えたというか。ピアノと歌だけで作ると、飾りつけをしたくなっちゃうんですよね。
“ここつまんないな。何か入れようとか。ここ歌詞変えよう”とかなるんですけど、そうするよりは、聴いて欲しい所だけ聴いてもらえればいいなと、ストレートに聴きやすければいいなというところで作れた曲でもあるし。あとは、ライブでも始めのところが歌いたかったっていうのが大きいですね。本当に楽しいです。

――歌詞始まりですし、すごい高いし大変そう…。
ましのみ:意外と、『プチョヘンザしちゃだめ』の方が歌いづらいので、気持ちいいですよ!歌ってて!
――確かに気持ちよさそうですね。そのトラックの打ち込みで始まって、次に考えたのはテーマからですか?それとも「’」のアポストロフィという響きから始まったんですか?
ましのみ:割と強気なところを書きがちなので、弱気なところで書いてみたいなって思ったときに、誰かのものになってみたいっていう段階が1番弱いなと思ったんです。その弱い段階を書きたくなったんですよ。
そのときに、キャッチーな言葉をひたすら連呼する、“こんなに繰り返すだけの曲があっていいの!”っていうのを作ってみたかったので、それで浮かんだ言葉が『’s』だったんです。これは好きな言葉だと思いました。

――サラッと言いますけど、これ浮かぶのが凄いですよ!誰かのものになりたいことを『’s』って(笑)
タイトルだけ見たらどんな曲なんだろうと、歌詞はツッコみづらいかなと思って聴き始めるんですけど、5行目でやっと「アポストロフィsが彷徨う」以外の言葉が出てくる!「だれかのものになってみたいと 叫んだ」って言われた瞬間、“そういう意味!マジで天才だ!”ってと思いました(笑)。
ましのみ:さっぱりしていていいかなと、清々しくていこうかなと思いました!
――誰かのこういう子になりたいのみたいなところを歌うじゃなくて、とにかく誰かのものになりたいみたいな。
ましのみ:やさぐれてしまう手前みたいなのを書きたかったんですよね。本当はその好きな人のものになりたいんだけど、それも言えないし届かないし、もうどうにでもなってしまえ!の手前と、そこらへんを行き来して彷徨っているという想いを表現しました。

――「アポストロフィsを交換」、これもすごいなと思いました。なるほどみたいな(笑)。ましのみさんはそういうのってポンって出てきちゃうんですよね。考えて考えて生まれたというよりは…!
ましのみ:考えて出てこなかったら、次、次ってなっちゃう。これじゃない!ってなっちゃう。

――曲順も意識されたんですか?
ましのみ:『’s』が、1曲目を任せられる曲を作ってみようと思って作った曲でもあったので、1曲目向きの曲にはなったと思います。
でも最後すごい考えて、レセプションで寄り添うというテーマを大軸に置いて作ったアルバムだったので、そういう寄り添える曲を1曲目に、入りやすい曲を置きたいなとも思いましたね。
あとは『フリーズドライplease』が、私も元々好きな曲だったんですけど、ライブで何回かやっててすごい評判が良くて、嬉しいなと思ったんです。
それに、この曲がこのアルバムを引っ張ってくれればいいなという思いを込めて、1曲目っぽくはないんですけど、自信を持って1曲目にしようと思いました。あと3曲目がバラードなんですけど、そういうのも寄り添うというのがテーマだったので置けたんです。

女友達から、恋愛に消化して書いた曲
――3曲目の『タイムリー』で急にゆっくりまったりな感じになりますもんね。
ましのみ:今まで弾き語りでしかこういうのが出せてなかったんです。もともとこういうの好きなんですよ。けっこう書くタイプなので。リリースできるとなったら、ちゃんと聴いてもらえる位置にもしたいなと思ったので、早めに持ってきました。

――『タイムリー』の歌詞に、「アンサーソングを つくりたいけど つくれはするけど 答えようにも  答えられない」っていう歌詞がありますが、それを見て歌詞を書いちゃえばいいじゃん!と思いました(笑)。
勝手にアンサーソングを書いて、勝手に彼女のつもりになって、それだけでも楽しそうじゃんと思って(笑)。けっこうサイコパスだけど…。
ましのみ:サイコパスですよね(笑)。いつか彼女殺しそうですよね(笑)。私じゃない、みたいな。

――それヤバそうだけど、そういうふうにできたら楽しいかなと(笑)
ましのみ:それが1番強い生き方かもしれないですね。

――「しがみつくべきは過去なんかじゃなく 進んでく君の腕だった」と、急にいいこと言い出す歌詞がありますね。すごい本質をついているかというかましのみさん、こういう言い回しでしっかりしたこと言うんだ!みたいな。ましのみさん節みたいなのが薄いというか、格言的じゃないですか。
ましのみ:わりかしあるんですよ。多分リリースしてないのかもしれないです。リリースするときに、今までは選曲も寄り添おうとかもなかったので、ましのみ節って言っていただいているところとか、アップテンポでわかりやすくキャッチーでっていうのを優先して選んでたんです。
こういう曲も寄り添うというテーマがあったので、今回はアレンジをかけて大事にメインで届けたいなという風に、入れられたというのは私も嬉しいですね。こういう曲は実は多いです。

――もっと聴きたいですね。ましのみさんの曲は、答えを教えてもらえるような気がするから、聴けば間違いない。悩んだときに聴けば答えがあると思って、聴きだせます。
ましのみ:私も世に出せて嬉しいなと思います。
――そういう意味で、歌詞を書いた時の状況に思い入れがあったりとかはありますか?
ましのみ:本当は、これ女の子の友達のことなんですよ。すごく仲良かったのに、いつの間にか仲良くなくなってしまっていたというか、いつのまにかお互いの状況とかが変わっていったことによって、そんなに連絡することもなくなったし、久しぶりに会っても昔みたいに喋れないしとかあるじゃないですか。友達が入れ替わっていくというか。
それの延長で、それを恋愛に消化して書いた曲です。私の中ではあんまり分かれてないんですよね。
1回信頼関係まで行ったら、友人関係も恋人関係も親子関係も、人対人というか、そんなに変わりがないので、友人とのかかわりを恋愛ソングとして消化することは多いんですけど、なので『タイムリー』とかもそうだったりするんですよね。

――それを聞いたらすごい違った意味で、こっちから寄り添いに行ける曲になります。寄り添ってくれる曲であったのが、寄り添いに行きたい曲になったかもしれない。
ましのみ:それを私は“そういうふうに書いたんです”っていうことによって、聴いてくれる人の幅狭まっちゃうのが嫌だから、そんなに大々的に言うつもりはないけど、でも私はそうでしたっていうのはあるかもしれないですね。

――最初に曲を聴いてからこのインタビューを見てくださいって言わないといけないですね(笑)
ましのみ:そうですね(笑)。それぞれで感じてほしいなとは思います。恋愛の曲として書いてはいますが、まったくそれだけじゃないのでそういう気持ちをベースに書いたということですね。

――ちなみに、この盛者必衰桜ってどういう意味ですか?
ましのみ:1回盛り上がったものも廃れる時が来るというか。諸行無常の響きありとか、何だっけな(笑)。
そういう有名な、絶対すごい権力を持った武士とかでもいつか廃れるみたいな。距離が近くなって1番になっても、桜も落ちるし、という。盛者必衰を知ったうえで聴くと、切ないですね。

鬱憤から書いた曲『コピペライター』
――国語の勉強もできちゃうという(笑)。歌詞っていう意味で、これは触れてくれ!っていう曲はありますか?
ましのみ:『コピペライター』とかは、私がいろんなYouTubeとかで“良い曲あるかな?とか“良いMVあるかな”って漁ってた時に、バンドのMVのコメント欄とかを見ると、ちょっとならいいんですけど、スクロールしても“ずっと〇〇に似てる”、“ほぼ〇〇”、“〇〇のパクリじゃん”っていうのがめっちゃありますよね。
俺それに気づいたぜ!、私それに気づいたぜ!っていうのが言いたいんだろうなと思うんですけど、ライターを気取ってそういう風にコメントする人たちに対して、そう思うのはわかるけど、そういうつもりで作ってるんじゃないだろうし。
もっとその曲自体の評価をしてあげたら、っていう鬱憤から書いた曲です。それをそうやって言ってる人もめっちゃ多いから。それも量産型だし。
――書いてありますね、「お前の存在もコピペだ」って。
ましのみ:そう。コピペの存在だし、何よりこれはアーティストだけの話じゃないなと思っていて。作る人もそうだけど、普通に生きている中で、着ている服とか髪型とかで、自分が本当にやりたいものを選んでるのに、流行りだから選んでいると思われたりするじゃないですか。
それを選んでいることが本当の自分の個性なんだから、それを周りの意見によって潰されたりするのって、しちゃいけないんだよね、しなくていいんだよ、僕たち私たち、っていう気持ちを共有したくて、書いた感じです。

「I want you be a baby」から派生して書いたナンバー
――0から1を作れる人がこの世の中のみんながみんなだったら、とんでもないことになりますよね。
ましのみ:そうですよね。多分何かに影響を受けていろんなものがあるし、と思って書いたり。あともともと『AKA=CHAN』は、ボーナストラックのつもりで書いたんですよ。歌詞でよく「I want you be a baby」ってあるじゃないですか。お前は俺のものになれみたいな。でもそれのyouをtoに変えたら、赤ちゃんになりたいになるんですよ。
だから、「I want to be a baby」を「I want you be a baby」って言っているテンションで、めっちゃかっこよく歌いたいっていう欲望から作ったんですよ、ボーナストラックとして。
リフとか構成もかっこよくしたくて、これも打ち込みからデモを作ったんですけど、渡して戻ってきてコーラスとか全部こういう風にしたいって言ったりして。出来上がって聴いてみたら、自分の核心を突かれたんですよ。
“あ、赤ちゃんになりたいって絶対人間の本質だ”っていうふうに、私は思ったんですね。みんな今の経験とか能力とかを携えたまま赤ちゃんに戻れる、「強くてニューゲーム」はそういうことなんですけど、それは絶対みんなが望んでることだと思って。
――超思います、それ人生で何回考えたか(笑)今の感覚のまま、今の知識のままあの時代に戻りたいって思いますよね。
ましのみ:そうですよね!絶対本質だと思って。絶対できないけど、歌でなら叫べると思って、大名曲だと思って、最後にしました。私はすごく気に入ってる歌詞です。

――「強くてニューゲーム」の意味を知ってから、急にこの曲との距離が縮まった感じがします。
この『AKA=CHAN』ってタイトルから、こんなかっこいい、大人っぽいメロディーで、すごいギャップがあってどうしたんだろうと思ったんですけど。

ましのみ:そうなんですよ、「I want you be a baby」なんですよ。イメージはそっちで歌ってるんですよね。ふざけたかっただけなんですけど。でも昇格してよかったなっていう曲ですね。

――「既視感」?
ましのみ:全部新しい体験とかが入っていきますしね。

――なるほど。どうせこうなんでしょ?っていう感じから入っちゃうんですか。
ましのみ:おいしい食べ物に慣れていくとか、そういう感じになっていくんだろうなっていうのもあるから、嫌ですよね。サイゼリヤで感動したいですよね。“こんなのがあったのか!この世の中に!”って。全部にそうなれるのが羨ましいなって思います。みんなに優しくしてもらえるし、いるだけで可愛いし、良いなと思います。

ましのみが選ぶピックアップフレーズ!
――本当に心の声ですね。歌詞であげてもらったんですけど、特にこの歌詞のこのフレーズ!と思うのはありますか?
ましのみ:1番新しい曲が『フリーズドライplease』だなと思うので、それで言うと、最後の3行ですかね。

――「乾いた思い出を溶かさずいられるように だってお湯に入れたってせいぜい残るのは 即席インスタントのトキメキくらいでしょう なんて」ですかね。
例えがやっぱりさすがですね。これ本当に思ったことがあるんですか?
ましのみ:あります。過去のキュンキュンした思い出とか、それこそ盲目だった頃の思い出をずっと取っておいて。それをできないけどフリーズドライにできたとして、それを溶かしても、結局フリーズドライしたものってインスタント食品なんですよ。
それを溶かして即席でインスタントで作ったトキメキで、それよりも今の幸せの方が絶対に幸せだよねっていうことですね。

――ましのみさんの考えていることを探っていくのがおもしろいですね。最後に、みなさんに寄り添えるようなっていうテーマを持って作られた『ぺっとぼとレセプション』。ましのみさんにとってはどういう1枚になりましたか?

ましのみ:もちろん寄り添うきっかけにしたい1枚ということで、いろんな実験ができた1枚というのが1番大きいです。私自身もこれを作っている中で成長できたし、今までで1番達成感を味わえて、良いものができたなと思います。
自分でこれから届けることを頑張らなきゃいけないっていうのを抜きにしても、完成した時にすごくいいものができたなっていうのを今までで1番思えた作品なので、純粋な心で聴いて欲しいな、飾らない言葉で聴いて欲しいなっていうことを言いたいアルバムになったなと思います。
この作品を作ることで、いろんな向上心とか、次はこういうことをしてみたいっていうのが生まれたアルバムにもなったし、いろんなことをしてみた分、反応(エゴサ)も楽しみなので、次に繋がるアルバムになったなと思っています。

――結構自分にハードルを課したほうができるタイプなんですか?
ましのみ:そうかもしれないですね、ハードル課してないと不安になっちゃう、こんなに楽していていいのか、って不安になっちゃうのかもしれないですね。

――好きなことだけやってなくていいタイプですか?
ましのみ:でも、好きなハードルしか課さないかもしれない。こんなハードル課してみようっていうのは自分で課してみたり。ハードルを1回バッと課すことによって、出てくるのが楽しいというか、自分の中で眠ってしまっているものがもったいないなと思うので、自然に出てくるものもあるし。あえて負荷をかけることで出てくることもあると思います。

――例えばそれが自分で課したハードルじゃなくて、何かのタイアップだからこういうテーマで書いてとかって得意なタイプですか?
ましのみ:前回で言うと、『ストイックにデトックス』とかがそうですね。そういうテーマをもらったから書けた曲だったし、それがすごい楽しかったんですよね。自分の力だけでは出せない自分が新しい発見があったので、楽しいなと思いましたね。

――今後はライブとかもされていくんですよね。
ましのみ:これをリリースして、3月に、大阪、東京でワンマンをします。

――どんな感じにしようというのはありますか?
ましのみ:前回12月に東京でワンマンしてみて、それが曲をいかに聴かせるかというところに特化して、今までは自分でガチガチに作ってやっているのが楽しかったんですけど。それから1回引いてみて、余裕を持ってダレるまでいかない余裕を持ったライブをやってみたら自分ですごい楽しくて、こういうのもアリかもと思ったんです。
今回は曲をただ歌うだけで、今までと全然違う印象になるのもたくさんあるので、その曲をいかにして音楽的によく届けるかというところを意識して、生でエスコートできる機会でもあるので、そういうところを中心にいろいろ考えていきたいなと思っています。

――すごい、曲作りに関してもライブに関しても、伸びしろしかないですね。あと言いたかったんですけど、このCDのロゴも超かわいい!!
 『ぺっとぼとレセプション』ジャケット写真
ましのみ:これはアートディレクターの方が作ってくれて、めっちゃ可愛いってなったんですけど、権利的に入れられないってなったんです。
“可愛かったんですけど”って言ったら権利の方に連絡してくれて、それで入れられることになったんですよ。“ちょっと変えれば大丈夫ですよ”ってなって。作ってくれている人の愛とかもありつつ、私もめちゃめちゃ気に入ってて。

――この「ま」のフォルムも可愛いですし、もうちょっとでかくしてもいい感じ。しかも(初回限定盤は)上手にパンツが見えないように撮ってますね(笑)。
ましのみ:大変でした…。強化ガラスの上で撮ってたので!

――1回ペットボトルから離れたけどまたちゃんと戻ってきたんですね。
ましのみ:そうですね、アルバムなので。

――タイトルもジャケットも、アルバムはペットボトルというところは今後も変わらないんですか?
ましのみ:わからないですけど、1個目から、2個目はこうしようって決めてたわけでもないんです。2個目を作るにあたって、レセプションっていうテーマと、1枚目も聴いてほしいなっていうのがあったので、1枚目もすごく大事にしているアルバムではあるので、っていうのをコミコミでシリーズにしようと決めました。立ち返れるようにですね。

――インタビューは以上になります。ありがとうございました!
ましのみ:ありがとうございました!
TEXT 愛香
PHOTO 橋本美波&愛香
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