ドラマチックアラスカ 地元・関西で
5年分の思いを込めた『THE LAST FRO
NTIER TOUR』ーーツアーファイナルの
様子をレポート

THE LAST FRONTIER TOUR』2018.12.13(THU)梅田Shangri-La
ドラマチックアラスカが、11月7日に発表したアルバム『最後のフロンティア』のリリースツアー『THE LAST FRONTIER TOUR』のファイナルを、12月13日、大阪のShangri-Laで迎えた。自身初となるフルアルバムを携えたツアーの最終日であり、彼らの地元・関西でのライブでもある、特別な一夜の様子をレポートする。
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ライブの始まりは骨太かつ盛大にアルバムタイトル曲とも言える「LAST FRONTIER」から。ズシンと響くドラム、観客のクラップと「Oh、Oh、Oh」のコールを引き連れたヒジカタ (Vo&G)のラップは宣戦布告のよう。心地いい緊張感も漂う。そしてここから「最後のフロンティア」のナンバーを立て続け、戦闘開始! 「夢現」のスピード感がフロア全体を小刻みに跳ねさせると、「いくぞ、大阪!」(ヒジカタ)の雄叫びも上がり、イントロからファンの手が舞台へと伸びるライブの定番「無理無理無理」へ。曲に詰め込まれた衝動に突き動かされつつ、そのキャッチーなサビに全員が気分よくバウンドする。ライブは始まったばかりだが、見ればビールを掲げて“ドアラ”の音世界を謳歌する人も……。
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完全にスタートダッシュ成功!といったところだが、MCでは「(今年は)ワンマンやり過ぎたな~。来年はせんとこ」(ヒジカタ)に「え~」の反応が起き、「よかった(笑)」(ヒジカタ)と、ほんわかしたムードにしてここまで続いた緊張を解く。すると、さらに前のめりになって「人間ロック」や「マヤカシドリームランド」で再び臨戦態勢に。人気ナンバー「人間ロック」では観客も一緒になって「1、2、3、4、5!」のカウント。指折り数える手のシルエットがシンクロして痛快だ。そして地続きに鳴らす「和心」では引きつけておいてから爆発する歌声で感情をアップダウンさせ、聞かせる言葉もロックの熱量も共存する“ドアラらしさ”はますます聴く者の心をガッチリわしづかみ。観客の集中も高揚も高まる一方だ。その手応えを感じたのか、ヒジカタは「1曲やるごとに終わっていくぜ……。1曲ずつ味わっていきましょう!」と早くも名残惜しそう。だが続く「世界の始まり」の切れ味鋭いプレイや「暴れだす」の巻き舌気味のボーカルで畳みかけ、今度は「地獄片」で、たっぷりのリバーブとともに壮大なサウンドスケープを創出。ググッと曲の物語へと引きずり込む。その強い力に観客は頷くようにしてリズムを取って“完没”の様子。これには曲後、ヒジカタもつい「怖くないですよ~。怒ってないですよ~(笑)」とひと言を添える程だ。
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そしてその空気を変えるかのように次は「流星とアルカディア」へ。さわやかさと軽やかさ、そしてエモーショナルな感触は、見えないはずの流星を頭上に見せてくれる。くしくもこの日はふたご座流星群が接近する日。なんとも気がきいたセットリストだ。さらに「こゝろ」の重めの歌詞をギターロックで昇華させ、甘酸っぱい「ジュリエット」でファンをジワリとさせると、またもMCタイムでアットホームな雰囲気に。タケムラ(B)とヒジカタの子どもには聞かせられないサンタクロースの話や、ニシバタ(D)のちょっと不思議な流れ星アプリの話などで、会場に笑顔があふれると、「高校の時に見たおじさんにならないように、若い気持ちで音楽をやっていきたいなと……。今、新たな気持ちでデビュー曲をやってみようと思います」(ヒジカタ)と、どこか芳醇さも感じる現在の4人の音で「リダイヤル」から後半戦に突入! 大きなクラップも誘発し、観客は自由に体を揺らしてその世界を堪能。
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続く「アレシボ・メッセージ」のまくし立てるボーカルや「クソッタレセカイ」の上昇するサビでもグングン熱を上げ、「星になる」ではメンバーに煽られずとも「キラキラ光る星になれ」の大合唱が起きて達成感も十分だ。そして目を輝かせるファンを前に、ヒジカタは今日までの5年を振り返って「俺たちの言葉や音楽を信じてくれた人たちが、俺たちに音を鳴らさせてくれてるのかなって……」「ここから10年に向けて歩いていきたいなと思います」と感謝も込めて語り、いよいよライブも大詰め! 「THE ONE」の4人のプレイが一つになって突き進む勢いに、会場からは「Oh、Oh、Oh」の声と拳が上がり、舞台上のタケムラ、サワヤナギ(G)、ヒジカタのアクションも同期してその揺れをフロアに伝播させる。そしてヒジカタの「俺たちは今が一番かっこいいんです! かかってこい!!」のコールからラスト「TEPPEN」で全力疾走! アグレッシブに世の中も切りまくり、すべてを燃焼させて本編を締めくくった。
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だが、当然拍手は鳴りやまずアンコールへ。まずは興奮さめやらない会場をクールダウンさせるように、ヒジカタが一人で再登場するとアコースティックギターを手に「25」。その声がスモーキーな色合いで広がり始めると、ほかのメンバーも舞台に現れて音を重ねてメロディをバンドで奏で出す。その音楽は胸の奥に火をつけ、メンバーを真っ直ぐに見つめるファンの視線にも力がこもる。ほかにはない濃密な時間だ。そして追い打ちをかけるように「東京ワンダー」でさらに胸を締めつければ、感動は沸点を越え、すべての拳が突き上がり壮観な光景が! 「ありがとう!」と舞台を去るヒジカタに、ファンからも大きな「ありがとう!」の言葉と拍手が送られた。
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しかし! ファイナルの夜だけあってアンコールはダブルの大サービス。さっきまでの感傷的な空気の反動なのか、「ちょっと(ビールを)いただけませんか(笑)?」(ヒジカタ)と、メンバーが舞台上で乾杯するという展開に。めったに見られないひと幕に、会場にはザワつきと笑いが起こる。そして誰もがホッとゆるめた心をさらにほぐすようにツアーのラストナンバーは「おつかれさま」。歩を進めるようなビートに伸びやかで熱も帯びる歌声をのせ、すべてをやさしく包み込む。そして演奏後はヒジカタが「僕らのお客さんはやさしいので甘えそうになります。なので、たまには突き放してくれてもいいし……。僕らも突き放されないようによい曲作りとライブをしていきます」と決意表明。ファンとの絆をより深めて4人はステージをあとにした。
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取材・文=服田昌子 撮影=橋本塁(SOUND SHOOTER)

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