猫飼い経験のある小野賢章&山崎はる
か「同居人はひざ、時々、頭のうえ。
」は“猫あるある”が満載

 人見知りの若きミステリー作家・朏素晴(みかづきすばる)と、ひょんなことから彼に拾われた野良猫のハル。そんな1人と1匹の暮らしを、人間と猫、双方の視点から交互に描いていくハートフルストーリー「同居人はひざ、時々、頭のうえ。」の放送が、1月9日からAT-Xほかでスタートする。初回放送に先駆け、素晴を演じる小野賢章と、ハル役の山崎はるかに、収録の舞台裏を聞いた。
――原作漫画を読んでの感想はいかがでしたか。
小野:オーディションを受ける際に拝読しましたが、人間から見た猫の行動と、猫から見た人間の日々が交互に描かれているのが特徴的で、原作者(みなつき氏、二ツ家あす氏)両先生の、猫の“あのときの行動”に対する解釈が、とてもおもしろかったです。僕は素晴目線で読んでいたこともあって、彼の凝り固まっていた心が、猫との同居生活で少しずつほぐれていく様子がていねいに描かれていると感じ、これはぜひ演じてみたいなと思いました。
山崎:私は猫が大好きで、自宅で飼っているので「こんなに猫をクローズアップした作品があるんだ!」ということがうれしかったです。私も「お腹が空いているのかな?」なんて、猫の心情を推し量りながら一緒に暮らしているのですが、本作を読んで「もしかしたら、(猫にとっては)的はずれなことを考えていたのかも!?」と衝撃を受けてしまいました。うちの猫は、赤ちゃんの頃から育ててきた家猫なので、人間を守ろうとさえする、ノラ育ちのハルのたくましさには驚きましたね。一方で、「やるやる、これ!」っていう“猫あるある”もたくさん盛り込まれているのがうれしかったです。ふわふわのベッドを買ってあげたのに、ダンボール箱のほうがお気に入りだったり(笑)。ハルの奇妙に見えるポーズも、猫の飼い主としてはおなじみのものだったりするので、隅々まで、とても楽しく読ませていただきました。
(c) みなつき・二ツ家あす・COMICポラリス/ひざうえ製作委員会――小野さん演じる素晴は本の虫の引きこもり小説家、山崎さんのハルにいたっては人間ですらなく猫であるという、いずれも少々変わった役どころですが、お芝居のうえで心がけていることはありますか。
小野:人付き合いが苦手な素晴は、ボソボソと聞き取りにくいくらいの、とても低いテンションでしゃべります。でも、それは感情に動きがないということではないので、鈴木薫監督や、納谷僚介音響監督からのディレクションも踏まえて、モノローグではメリハリをつけるようにしています。モノローグにまで影を落とすと、ずっと浮上してこない作品になってしまいますから。心の中では、結構ツッコミ性のところがあるので、そこは勢いをつけて演じたり、幼なじみの矢坂大翔(やさかひろと)に対しては、少しだけ心を許したしゃべり方をするように心がけています。相手への信頼度に応じて、態度が変わってくるのがポイントかもしれません。
山崎:私は“猫らしさ”はあえて意識していません。ハル自身が、“猫らしく”と心がけて生きているかというとそんなことはなくて、ありのままにしているだけだと思うので、ひとつの生命として、自然体でしゃべるようにしています。でも、台本が全部ひらがなで書かれていることもあったりして……ハルは、とにかく難しいことを考えていないんですよね(笑)。落ち込んでいるところから喜んだりする感情の起伏も、“切り替わり”と言いたくなるくらいに唐突なので、そういったところが(人間から見て)猫らしいなと。頭の中で考えた末に出てくる、素晴のセリフやモノローグとはみごとに対照的ですね。ハルのモノローグでは「お腹空いた!」「心配したのよ!」って、思ったことをそのまま表現していますから。私もいい意味で“深く考えない”ようにして、収録時にはまず、その場の感情を前面に押し出して演じています。もちろん、シーンによって意図する演出が違いますから、感情の発露のさじ加減についてディレクションをいただくこともありますけれど。
(c) みなつき・二ツ家あす・COMICポラリス/ひざうえ製作委員会小野:山崎さんは、素晴とハルが対照的だと言われましたが、意外な共通点もあります。実は素晴も、難しく考えて生きているように見えて、単純な行動パターンの持ち主なんですよ。「外に出たくない」「人と話したくない」「本を読みたい」「小説を書く!」……分かりやすいですよね(笑)。だから僕も、そんな素晴なりの行動原理に従っているだけで、演じていて難しいと感じることはあまりないんです。
――小野さんはご実家、山崎さんはご自宅で猫を飼っているとのことですが、その経験が本作での芝居に与えた影響はありますか。
小野:素晴は猫をはじめて飼うことになるので「むしろ分からないほうがよかったかな」と思うことはありました。僕自身はずっと猫と暮らしてきた人生で、猫のことはよく知っているつもりですが、素晴にとっては何もかもがはじめてのことで、戸惑いの連続なので。僕自身も「猫アニメなので、猫を飼っていた経験が活きてくるかな」と思っていたのですが、そんなことはなかったですね。
山崎:私は、普段見ているうちの子の様子が、とても参考になっています。猫って、驚いたときとか、警戒しているときには、文字通り飛び上がるような、とても大げさな反応をするんです。これは、人間ではないことなので、リアクションの大きさについては“猫らしさ”を意識して演じています。

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