趣里 (C)2018「生きてるだけで、愛。」製作委員会

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【コラム】親の七光りは無用! 自ら
輝きを放つ実力派ぞろい2世役者たち

 どの世界でも2世が目立てば、“親の七光り”とやゆされることが多いが、昨今の2世役者は自力でキャリアを積んだ実力者ぞろい。今後の映画・ドラマ界をけん引する、20代の若手2世役者を紹介する。
 先頭を走るのは、村上淳と歌手のUAを両親に持つ村上虹郎(21)。映画『2つ目の窓』(14)のオーディションに落選するも、諦め切れずに美術スタッフとして携わる中、河瀨直美監督から主演に抜てきされて役者デビューを飾ると、その後は映画、テレビ、舞台で大活躍。第41回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞、第31回東京国際映画祭で東京ジェムストーン賞など、数々の映画賞も受賞しており、ダークな役からさわやかな好青年役まで、その演技力は折り紙付き。
 今年は人気漫画家・岡崎京子原作の青春映画『チワワちゃん』(1月18日公開)、フジテレビ系連続ドラマ「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」(1月6日放送開始)に出演。快進撃が止まらない。
 名字がないこともあり、意外に知らない人も多いが、太賀(25)は中野英雄の次男。宮藤官九郎脚本の日本テレビ系連続ドラマ「ゆとりですがなにか」(16)での、ゆとりモンスター・山岸ひろむ役の怪演で脚光を浴び、昨年は日本テレビ系連続ドラマ「今日から俺は!!」で、賀来賢人演じる主人公・三橋貴志のライバル・今井勝俊役での振りきった演技でまたもや話題に。
 コメディーからシリアス物まで幅広い演技力には定評があり、山田孝之に憧れて役者の道を志し、13歳でデビュー後は、コンスタントに作品に出演し続けている。主役としてはもちろん、名バイプレイヤーとして示す絶大な存在感は彼ならではだ。
 趣里(28)の両親は水谷豊と伊藤蘭。けがによりバレリーナの夢を諦めるも、表現者になりたくて女優の道に進んだ彼女は、地道なレッスンを重ね、ドラマ『3年B組金八先生ファイナル直前同窓会スペシャル・ファイナル〜「最後の贈る言葉」』(11)での生徒役をオーディションで勝ち取りデビュー。
 その後もNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(16)、二宮和也主演のTBS系ドラマ「ブラックペアン」(18)など、多くのドラマや映画に出演。主演映画『生きてるだけで、愛。』(18)では、エキセントリックなヒロインを体当たりで熱演し、代表作と言えるほどの高い評価を得た。
 コンテポラリーダンサーでもある石橋静河(24)の父は石橋凌、母は原田美枝子。昨年のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」で演じた、佐藤健演じる萩尾律の冷めた雰囲気の妻・より子役が記憶に新しいが、映画界では池松壮亮とダブル主演を務め、東京の片隅で生きる男女の恋愛を描いた『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)での繊細な演技が評価され、各映画賞の新人賞を総なめにして注目された。
 デビュー4年目の今年は、すでに6本の映画出演が決まっているから、ますます目が離せない。
 寛一郎(22)は、父に佐藤浩市、祖父に三國連太郎を持つ3世役者。その重圧は計り知れないが、あまりにも身近に感じていた役者の仕事に従事することは必然だったようだ。そして、青春映画『心が叫びたがってるんだ。』(17)で初めて表舞台に現れたときは大きな注目を集めた。
 今年は映画『チワワちゃん』、『雪子さんの足音』(2月公開)に出演するほか、実話を基にした人生再生ストーリー『君がまた走り出すとき』(3月2日公開)で初主演を務める。座長としての手腕が試される。
 福地桃子(21)も勝負の年を迎える。父は哀川翔で、デビューはテレビ東京系ドラマ「借王シャッキング〜華麗なる借金返済作戦〜」での哀川演じる主人公の娘役だったが、「哀川の娘」ではなく自分の力だけで頑張る道を選び、本名で活動をスタート。昨年は2クール連続でTBS系ドラマ「あなたには帰る家がある」「チア☆ダン」に出演した。
 今年は、記念すべき100作目となるNHK連続テレビ小説「なつぞら」(4月1日放送開始)の柴田夕見子役で出演。まだキャリアは浅いが、ブレーク確実と言われている“ヒロインの親友”役でどこまで跳躍できるか見届けたい。
 父に緒形直人、母に仙道敦子、祖父に緒形拳さんを持つ超サラブレッド3世の緒形敦(22)。とはいえ、事務所のオーディションには出自は伏せたまま参加し、合格している。デビュー作は池井戸潤原作のTBS系連続ドラマ「陸王」(17)で、山崎賢人演じる大地の同級生・広樹役で出演し、インターネット上を沸かせたが、実力はいまだ未知数。
 今年は野村周平主演の天正遣欧少年使節の生きざまを描いた歴史ドラマ「MAGI」(Amazon Prime Videoで1月17日配信)で父・直人と共演。関心が高まっている。
 宮沢氷魚(24)も要チェック。父は元ロックバンド「THE BOOM」のボーカルで俳優でもある宮沢和史。『MEN’S NON-NO』の専属モデルになり活動するが、当初から俳優を目指していたこともあり、綾野剛主演のTBS系連続ドラマ「コウノドリ」第2シリーズ(17)の研修医・赤西吾郎役で役者デビュー。184センチの高身長イケメンで、日本とアメリカのクォーターの宮沢はまたたく間に女性ファンのハートを射止めた。
 今年はテレビ朝日系連続ドラマ「僕の初恋をキミに捧ぐ」(1月19日放送開始)で、カリスマ生徒会長・鈴谷昂役として出演。学園恋愛ドラマで新たな一面を見せてくれるだろう。
 どんなにあらがおうとも、周囲から「2世」と見られてしまうことはやむをえないこと。プレッシャーをはねのけて、自分らしく輝く彼らのさらなる飛躍に期待したい。(錦怜那)

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