めいちゃん 自身最大キャパ・Zepp
Tokyoワンマンで明示した未来への覚

めいちゃんワンマンライブ4『クリスマスぼく予定あるんで』

2018.12.25 Zepp Tokyo
ネット音楽シーンを中心に活動し、2017年にはアルバム『めいちゃんの頭の中はだいたいこんな感じです』をリリースしているめいちゃんが、『めいちゃんワンマンライブ4「クリスマスぼく予定あるんで」』と題し、12月25日に自身最大キャパシティとなるZepp Tokyoでワンマンライブを開催した。
バンドメンバーに続いてステージに現れためいちゃん、突き抜けた高笑いで導いたのは、ダークファンタジーなムード満点の「魔王の館は大騒ぎ(Satan's Mey Cry!!)」だ。「盛り上がっていくぞ!」とめいちゃんが言うよりも前に、オーディエンスは全力コール。めいちゃんのイメージカラー・オレンジのペンライトが揺れる客席や後ろで支えるバンドメンバーに目を向けながら、めいちゃんが“こんな素敵な仲間たち”と歌えば大歓声が上がる。
めいちゃん
ライムライト」では、歌いながらステージを右に左に動きつつ軽やかにステップ。「フィクサー」にしても然り、難易度の高いジャジーな曲調もしなやかに華麗に歌いこなすのがめいちゃんだ。
かと思うと、「見てくれましたか、このセット」と嬉しそうな表情のめいちゃん。某国民的アニメを彷彿とさせる土管、めいちゃんのマスコットキャラクターである“めいたま”の顔まんまの大きなキラキラ星がついたツリーの電飾、そこに斜めにひっかかったままのサンタ服を着た女性のマネキンが共存するステージは、だいぶカオスだ。「クリスマスに予定のないめい……じゃなくてMさんは(笑)、予定があることにしたいわけですよ。そこで、女の子をさらってくれば予定ができると考えて、いかにもジャイ○ンリサイタルが行われそうな空き地に連れてきたんです!」だなんて、もう発想が自由すぎる。
めいちゃん
「ところで、ここに来るまで、お台場だけにたくさんのカップルを見たでしょ? 俺たちには中国四千年の技があるじゃないか、今こそ解き放つとき!」と前置きした「中国式マッサージ殺法」では、多彩な曲展開も生き生きと、“あったったったったー!”もかっこよく歌いこなして、感動さえしてしまう。
『実録! めいちゃんのサプライズクリスマスプレゼント』と題した動画上映では、ステージの小さなお立ち台に立つのもはばかられるくらい極度の高所恐怖症だというめいちゃんが、“高所恐怖症を克服してもらいたい”というスタッフのありがた迷惑!?な思いやりに押し切られ、富士山よりも高い上空3900mを飛ぶ飛行機からスカイダイビングをする羽目に。絶叫しながらも無事着地しためいちゃんは、「ヤバかったです、マジで空嫌いっす!(笑)」とヘロヘロ状態。そして、「ここからまたライブ頑張るから、見ててくれたら嬉しいな」とメッセージして、後半戦へ。
めいちゃん

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サビのファルセットも美しく響かせる「ジャガーノート」、愁い色をたたえた「ガランド」、あいみょんのカバー「愛を伝えたいだとか」、ファンキーな曲調ながら歌詞が切ない「シニカルブルーは眠らない」といった幅広いテイストの曲たちは、めいちゃんの底知れない歌力をとことん堪能させてくれる。
また、「メーベル」ではギター弾き語りに初チャレンジ。「中学生のころにモテるかと思ってギターを始めたけど、人前で弾くのは初めてで緊張した!」と言いつつも、その立ち姿のなんてさまになっていたことか。自身のギターはリハーサル初日に壊れてしまったため、バンドメンバーの鳴風に借りたギターでこの日はステージに立ったとのことだが、今後、ギターを弾きながら歌うめいちゃんももっと観てみたい。
めいちゃん

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さらに、サザンオールスターズの「白い恋人達」、椎名林檎の「丸の内サディスティック」と、いい意味で歌い方のクセが強かったり、世界観が相当強めだったりするJ-POPナンバーを、すっかり自分のものにしてしまうめいちゃんにも、あらためて驚かされた。
本編終了後に上映されたパロディ動画『ザ・メイフィクション』では、この日、早朝から会場入りし、スタッフジャンパーを着て、“めいたま”フェイスのキラキラ星を搬入したり、女性マネキンにサンタ服を着せたり、会場で販売されるグッズの検品をしたりと、地道に働くめいちゃんの姿が。Zepp Tokyoという大舞台に立ち、歌声で魅了しながらも、こんなに初心を忘れずに謙虚なアーティストがほかにいるだろうか。
めいちゃん

めいちゃん
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その後、楽屋の模様が生中継されると……「お疲れ様!」とメンバーと乾杯し、ジンギスカン鍋を囲んで打ち上がろうとするめいちゃん。オーディエンスの大きな「アンコール!!」に呼び戻されたものの、ジンギスカン鍋をそのままステージに持ち込んで、「ジンギスカン」をBGMにメンバーとパクパク。なんでもあり、掟破りなところも、めいちゃんらしさだ。
その上で、彼が口にしたのは覚悟の言葉だった。
「たくさんの人に自分の音楽を聴いてもらえるようになって作ったサブ垢に、余命宣告をされた方から「めいちゃんの歌が生きがいです」というメールをいただきました。……薄っぺらい人生を送ってきた自分ですけど、いろいろな事情を抱えて、いろいろな人生を歩む中で、僕の歌を聴いてくれる人、ライブに足を運んでくれる人がいて。今日も、初めての大きな会場で不安もあったけど、こんなにたくさんお集まりいただいてびっくりしつつも、幸せを感じています。来年からはみなさんに恩返しをしたいし、待ってくれている人がいるなら、歌を一生の仕事に出来るように頑張ります。よろしくお願いします」
めいちゃんは、歌に生きるべき人。心動かす歌声を、胸を張って届けてほしい。

文=杉江優花 撮影=小松陽祐(ODD JOB)
未掲載カット含む全ライブ写真は【こちら】

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