『スリョンチプ』のキムチチゲ定食4000ウォン。手前中央のキムチチゲから時計回りに、貝の塩辛、茹で卵、切り干しダイコンのナムル、青菜のナムル、オデン(味付け油揚げ)、ハクサイキムチ、大盛りごはん。この内容で4000ウォンを維持しているとはまったく頭が下がる

『スリョンチプ』のキムチチゲ定食4000ウォン。手前中央のキムチチゲから時計回りに、貝の塩辛、茹で卵、切り干しダイコンのナムル、青菜のナムル、オデン(味付け油揚げ)、ハクサイキムチ、大盛りごはん。この内容で4000ウォンを維持しているとはまったく頭が下がる

今、ソウルでもっとも熱いエリアの「
うまくて安くて情緒ある店」3選【韓
国】

いまや鍾路3街は、かつての遊興街の残り香と大衆酒場の喧騒、マッコリをあおりながら大声で話すシニアたちとゲイの若者たちの嬌声が交錯する、ソウルでももっとも熱い街となっている。今回は鍾路3街らしい、旨くて安くて情緒がある3軒(朝食、昼食、夕食)の食堂を紹介する。

首都ソウルの鍾路3街(チョンノサムガ)というエリアは、朝鮮王朝が開いた商業地区として長らく栄えたところだが、70年代から漢江の南側(江南)の開発が進んだり、繁華街があちこちに分散したため、日本でいえば東京の浅草のように取り残された遊興街という印象が拭えなかった。
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しかし、この2、3年、同エリア北寄りの益善洞(イクソンドン)に1930年代に建てられた伝統家屋の分譲住宅街に、リノベーションしたカフェやバーができて若い女性やカップルが押し寄せ、全体的にセピア色だったこのエリアが息を吹き返している。
いまや鍾路3街は、かつての遊興街の残り香と大衆酒場の喧騒、マッコリをあおりながら大声で話すシニアたちとゲイの若者たちの嬌声が交錯する、ソウルでももっとも熱い街となっている。
今回は鍾路3街らしい、旨くて安くて情緒がある3軒(朝食、昼食、夕食)の食堂を紹介する。このエリアを散歩するときにかならず寄ってほしい。
朝食→『スリョンチプ』(益善洞エリア)のチゲ定食いまどき、サラリーマンやOLのランチ代は6000ウォン~10000ウォンが相場だが、この店は大盛りライスと主菜のチゲに副菜が6皿も付いて4000ウォンという価格が魅力。
しかも、ヌルンジというおこげに熱湯を注いだものがお茶代わりに飲める。
キムチチゲは韓国人が好む酸味と辛味、くたくたになるまで煮込まれたハクサイの甘味、たっぷり入った豚肉の旨味が調和した家庭的な味。
トンテ(タラ)チゲはたっぷりのタラの身が味のはっきりしたスープで煮込まれていて、ごはんが進む。
主菜が美味しいのはもちろんだが、6皿ある副菜もすばらしい。
なかでも、12月に出合った青菜や海草のナムルは歯ごたえがこぎみよく、小さな貝の塩辛は朝から一杯やりたくなってしまうほど濃厚な旨味があった。
鍾路3街は路地裏をくまなく歩くのが楽しいところ。朝、この店でしっかり食べて、エネルギーをたくわえるといいだろう。
鍾路区敦化門路11ガギル16-1
TEL:02 764 5695 7:30頃~21:00頃 日曜定休
昼食→『全州食堂』(チョンジュ・シクタン)の焼き魚定食『水曜美食会』という韓国屈指のグルメ番組で紹介されて以来、行列のできる店となり、以前から通っている者には敬遠されがちだった店。今も人気は相変わらずだが、最近は行列も一段落してお昼どき(12時~13時半ころ)を避ければ、席もとりやすくなっている。
主菜は店の外で練炭の火で網焼きされるサバ、太刀魚、サワラ、イシモチなど。これに一人分ずつ釜で炊かれる豆入りのごはんとチゲ+副菜7品が付く。
正直言って韓国の食堂のごはんは、日本ほど米の質や炊き方にこだわりがないので、「主菜や副菜が美味しいのに、もったいないなあ……」と感じることも少なくない。
しかし、この店のごはんはほどよいねばりと甘味があり、日本から来た旅行者も満足するだろう。焼き魚→ごはん→副菜→ごはんのローテーションを楽しんでいると、口中が幸福でいっぱいになる。
鍾路区鍾路40ガギル5
TEL: 02 2267 6897 6:00~21:00 第1・3・5日曜定休
夕食はやっぱりコレ!
夕食→『ハント』のおつまみサムギョプサル今でこそ、冷凍していない生の豚肉を焼いて食べるサムギョプサルの店は珍しくないが、80~90年代までは冷凍肉をカンナのような機械で薄く切って出すのが主流だった。
この店はそんな昔のスタイルにこだわって、170グラム12000ウォンという手ごろな値段でサムギョプサルが食べられる店だ。薄切りの豚バラ肉はお腹をふくらませるというより、お酒を美味しく飲むためのつまみと言うほうがぴったりくる。
たまに肉の端に丸く残っている骨をよけながら食べるのもどこか懐かしい。
サムギョプサルだけではあきてしまうという人は、韓国産牛のチャトルパギ(110グラム13000ウォン)がおすすめ。
薄切り肉の赤身にはほどよい歯ごたえが、赤身とのコントラストが鮮やかな白い脂身にはねっとりとした旨味があり、こちらも酒の肴として最高だ。
※2019年の2月2日(土)午後、本コラムの筆者(チョン・ウンスク)が東京大山の焼肉店でイベントを行います。当日は、ソウルのDEEPエリアに関するトーク、板橋区の酒都・大山散歩、旧正月直前新年会を行う予定です。詳しくはTwitter(@Manchuria7 )で。

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ウレぴあ総研

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