【レポート】BTS、Wanna One、TWICE
ら集結した<2018MAMA>、進化するK
-POPを象徴

12月12日(水)にさいたまスーパーアリーナにて、アジア最大級の音楽授賞式<Mnet Asian Music Awards(MAMA)>の日本公演にあたる<2018 MAMA FANS’ CHOICE in JAPAN>が盛大に執り行われた。

この<2018 MAMA>とは、韓国100%のエンターテインメント・チャンネル「Mnet」や日本初の韓国エンタメ動画配信サービス「Mnet Smart」を運営するCJ ENMが主催し、今年2018年は日本以外に12月10日(月)に韓国、14日(金)に香港という計3地域で実施されている。10回目を迎える<MAMA>は、1999年に<Mnet KM MUSIC Festival(MKMF)>としてスタートし約10年間は韓国国内で開催されたが、2009年より名称を<Mnet Asian Music Awards(MAMA)>に変更すると、その後は2010年のマカオでの開催を皮切りに、2011年にシンガポール、2012年〜2016年は香港、2017年にはベトナム・日本・香港と様々な地域で展開されてきた。そうして<MAMA>は、単なる授賞式ではなく、韓国の音楽産業の繁栄を伝える場として広く存在感を強めてきた。

実際に初めて現場に足を踏み入れると、場の空気の華やかさに驚く。本公演の前に17時よりおこなわれたレッドカーペット・イベントの前からすでに10代〜20代の女性を中心とした熱狂的な空間がさいたまスーパーアリーナ付近一帯に広がっていて、日本語、韓国語、中国語、英語など様々な言語が飛び交っていた。全世界にブームを巻き起こしているBTSをはじめとし、Wanna One、TWICEMONSTA XGOT7、Stray Kids、NU’EST W、MAMAMOOなど、まさに今をときめくK-POPアーティストが出演するのだから当然だろう。日韓合作プロジェクト「PRODUCE48」から誕生した話題のIZ*ONEも日本で初めてライブパフォーマンスを披露するのだ。また、日本公演でホストをつとめ「国民の彼氏」として親しまれているパク・ボゴムら俳優陣の登場も、<MAMA>のエンターテイメント性を演出していた。さらに日本からは、『孤独のグルメ』で韓国でも知られているという俳優の松重豊が出演し、レッドカーペット・イベントでも「東京から埼玉に来たはずなのに、アジアのマーケットに来たよう……楽屋にはキムチのいい匂いもするし…僕は場違いではないのだろうか?」といった冗談を交じえながら参加の喜びを語っていた。
約90分に及んだレッドカーペット・イベントでは、<MAMA>とは「ファンと共に作っていく祭典」であることが強調された。「We are K-POP」というスローガンもオーディエンスを交えて発声され、K-POPならではの一体感をあらためて確認する。日本では現在、第三次韓流ブームなどと謳われているが、K-POPは一大エンターテイメントとして存在していた。尚この日の模様も、Mnetとアジア主要地域チャンネルで生放送され、Mwave、YouTube、Naver TV、V LIVEを通して世界中200カ所の地域でオンライン視聴された。

レッドカーペットには前述のビッグアーティストが次々と登場したが、絶叫のような大声援に包まれたWanna Oneが「世界中のWannableに向けて愛嬌の顔を!」というリクエストに応えた時にさらなる黄色い声が飛び交ったのを筆頭に、K-POPにおけるアーティストとファンの関係性は非常に強く、絆という言葉すら似合う。大型サバイバル番組『PRODUCE 101 シーズン2』で国民プロデューサー達に育成され、なおかつ2018年12月までの期間限定で活動を予定しているということもあり、Wanna Oneの熱狂ぶりはとにかくすさまじかった。さらには、本公演の授賞式で「WORLDWIDE ICON OF THE YEAR」の受賞コメントの際にBTSのジンが「AR〜MY〜!!」と開口一番で叫んだこともその象徴のように思われた。アーティストの活動とそれに対するファンからの期待は、互いのエネルギーを常に強く交換し合っているかのようである。勿論そこにはゴールはない。絶え間ない緊張の瞬間と引き換えにアーティストは、世界中の人々の生きがいにすら成り得るのだろう。そんなことも、この日あらためて感じられた。

そんなK-POPの祭典である<MAMA>を夢の舞台とするアーティストが実に多かったことも印象深い。2018年にデビューしてから急躍進しているボーイズグループのStray Kidsは、「練習生の頃から<MAMA>に出ることが夢だった」「特別に準備したバトルステージを楽しみにしてください」とレッドカーペットで意気込みを語った。また韓国アーティスト以外にも、「Favorite Dance Artist Japan」を受賞し出演した超特急は、「まさか僕たちが、こんな素晴らしい賞を受賞できるなんて思っていなかったので、本当に夢の気分ですし、とても光栄です」「K-POPが大好きで歌もダンスもコピーしています」「I LOVE <MAMA>!」と、愛情を伝えていた。
◆【本公演】レポートへ
19時、本公演がスタートした。韓国では「挑戦」をテーマに開催されたが、「情熱」をテーマに掲げられた日本での本公演は、多くのアーティストが抱負を語ったことで更に上がっていたハードルの高さを超える内容だった。3部のうちのすべての瞬間がハイライトで、興奮がさいたまスーパーアリーナを包んだ。

Wanna Oneの「Heartbeat」(原曲:2PM)からはじまると、Stray Kidsが「Overdose+Growl」(原曲:EXO)、ソラ&フィイン(MAMAMOO)、ジュホン(MONSTA X)、キム・ジェファン&ハ・ソンウン(Wanna One)が「EYES, NOSE, LIPS」(原曲:SOL)、IZ*ONEが「THE BOYS」(原曲:少女時代)、モモ&サナ&ミナ&ナヨン(TWICE)が「Bad Girl, Good Girl」(原曲:miss A)、ウォノ&キヒョン&ミニョク&I.M(MONSTA X)、JB&ジニョン&ユギョム(GOT7)が「FANTASTIC BABY」(原曲:BIGBANG)、チェ・イェナ&本田仁美(IZ*ONE)、ショヌ&ヒョンウォン(MONSTA X)、モモ&ミナ(TWICE)、JB&ユギョム(GOT7)が「Bounce」(原曲:チョー・ヨンピル)をパフォーマンスするという貴重すぎる怒涛のオープニングが訪れ、各年を彩った<MAMA>受賞曲を時を越えて盛大に分かち合った。またこのあとも、2018年度授賞の際に各賞のノミネート曲が流されるたびにオーディエンスが合唱する光景は、K-POPの祭典、<MAMA>ならではだ。
黒と白の衣装に分かれたメンバーが客席の2方向から登場し、高揚感溢れるバトルステージを宣言通りに繰り広げたStray Kids。イントロで檻を壊すようなパフォーマンスを経てステージに現れたMONSTA Xは、ヒット曲「Shoot Out」まで激しく妖艶な魅力をアピールし続けた。また、この第1部では超特急が、クールなナンバー「need you」をキレよく披露したのち、「少しでも気になったというそこのアナタ、検索、検索。カムサハムニダ!」と、打って変わって大舞台でユーモラスに語ったのも、肝が座っていたように思えて印象深い。
続く2部でも、現在のK-POPの層の厚さを物語るステージが展開された。IZ*ONEは、これまでのストーリーが放送されるドキュメンタリーチックな演出が感情移入を誘い、キュートさを全面に表現した。昨年はデビュー後初めて参加した<2017 MAMA in Japan>で「Discovery of the Year」部門賞を受賞し、同じ所属事務所のSEVENTEENと合同パフォーマンスを披露したNU'EST Wは、今回は叙情的な楽曲のよさを伝える美麗で繊細なステージが異彩を放っていた。そして、日本でも大旋風を巻き起こしているTWICEは、客席で熱心に応援する男子の姿も見受けられた。「YES or YES」「What is Love?」「Dance The Night Away」と最近のナンバーを陽性全開で披露する。レッドカーペットでダヒョンが2018年を振り返って「4枚のアルバムを出し、たくさんの仕事が出来た1年でした」とコメントし、彼女たちがいかに精力的に活動したかをあらためて実感させられたが、文字通り止まることなく、2019年は日本でのドームツアーを予定している。
全編にわたりどのライブも、さいたまスーパーアリーナ場内を実に効果的に使用し、さまざまなシチュエーションを作り上げることでアーティストの個性を引き出す演出が多く感心した。3部ではラストスパートがかかった。SNSでも称賛の声が多く上がった「ガールクラッシュ」として親しまれているMAMAMOOは、ソラの完成度の高いポールダンスや、ファサのビヨンセばりにパワフルなパフォーマンスが大きなインパクトをもたらした。メンバーの登場時から声援が沸いたWanna Oneは、11人によるフォーメーションをはじめ見せ場が非常に多く、指先まで美しい姿にプロ意識が光り、ファンの感動を呼ぶ「I PROMISE YOU(I.P.U.)」まで、ドラマチックなライブを繰り広げた。
そして最後に、<2018 MAMA FANS’ CHOICE in JAPAN>のさらなるクライマックスが遂に訪れた。「WORLDWIDE ICON OF THE YEAR」「FAVORITE MUSIC VIDEO」(「IDOL」)、「FAVORITE DANCE ARTIST MALE」、「WORLDWIDE FANS' CHOICE TOP10」の4冠を達成したBTSだ。各賞受賞の際の彼らは、ワールドスターとしての絶対王者の風格すら感じさせた。巨大な手の造形が出現したステージでのメッセージ性溢れる「FAKE LOVE」のパフォーマンスは、Vの歌い出しからとてつもない歓声が起こり、一挙手一投足に感情が宿るパフォーマンスには、こちらの胸が苦しくなるほどの表現力があった。そこから一変し、次曲「ANPANMAN」では、RMの宇宙飛行士姿がユニークだったり、「みんな一緒に!」という日本語でのあおりもあり、垢抜けているこのナンバーを伸び伸びと楽しそうにパフォーマンスする姿からは、活動の充実がうかがえた。
  ◆  ◆  ◆

様々なベクトルからK-POPの現在地を提示した<2018 MAMA FANS’ CHOICE in JAPAN>であった。日々グローバルに躍進し、進化を止めないK-POPを象徴する<MAMA>のドラマに、今後も期待せずにいられない。
取材・文◎堺 涼子(BARKS)

(c)CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved

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