田﨑あさひ

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【田﨑あさひインタビュー 1】「RAD
WIMPSにはなれない 自分らしさをつめ
こんだライブに」全曲自作曲のバース
デーライブを敢行

二人組音楽ユニット・Bitter & Sweet田﨑あさひさんが、23歳の誕生日である11月20日にバースデーライブ『Bitter & Sweet ASAHI TASAKI Birthday Live 2018 ~ハロー~』を開催する。全曲自作曲を届けるという、初の挑戦となるライブ、それにあたっての思いを語った。

--恒例となりつつある田﨑さんのバースデーライブ。昨年は遊び心いっぱいの楽しい内容でしたね。
「ワイワイと楽しむ感じでしたね。ゲストに朱里乃ちゃんに出てもらってAKB48さんやX JAPANさんの曲をカバーしたり、自分のルーツとなったRADWIMPSさんの曲を歌ったり、内容が盛りだくさんのライブとなりました」
--今年のライブはどんなふうになりそうですか?
「今年は全曲自作曲だけで構成したライブにしようと思います。初披露の新曲もあります。リリースをしていないということで、私が作った曲を1曲も聴いたことがない人もいると思うので、それも含め、田﨑あさひという人物はこういう曲を作っているんだよ、ということをみなさんに知っていただければと思います」
--曲を作り始めて約3年。自作曲だけでライブができるくらい、レパートリーが増えましたね。
「増えましたね。私、ずっと自分のルーツといえる大好きなRADWIMPSに“なりたい”と思っていたんです。マネをしたいということではなくて、RADWIMPSになりたいと思っていて。それが今年のはじめくらいからかな、ふとしたときに『自分はRADWIMPSにはなれないな』と思ったんです。それはもともとわかってはいるんですけど、RADWIMPSの曲をマネして作りたいというのでもないし、憧れではあるけど、でも今はおこがましいけど同じ立ち位置で戦っていきたいと。そんな中で、今回は自分らしさをつめこんだライブにしたいなと思ったのがきっかけでした」
--「自作の曲だけでライブをしたい」ということには、そういうきっかけがあったんですね。
「はい。ライブでRADの曲を歌ってなれるわけではないし、『多分、野田洋次郎さんだったらこういうコード進行で、こういう詞を書くんだろうな』と思って、でも自分がやっていても何か違うなと思って、そこに違和感があって、自分は自分の色を出していかないと、と思いました」
--やはり、もともとは歌詞や曲作りに影響を受けていたんですね?
「やっぱり影響はありますね。でも自分自身の色というのも、私自身ではまだわかっていなくて、今回は『ハロー』というタイトルにしたんですけど、このライブを通してどうなるのか、自分でもわからないけど、どんな自分に会えるかな、いろんな自分に会えたらいいなと思い、このタイトルにしました」
--新しい挑戦ですね。カラーって自分ではなかなかわかりにくいもので、聴く人の評価や反応もあってなんとなく見えるのかなと。今感じる田﨑さんのカラーは、タイトルも含め言葉選びがやわらかいとか、曲のもつ雰囲気がイマドキではない昔懐かしい感じだったり、恋愛を描いた曲でも微笑ましくて…。
「そうですね。初々しい感じの」
--情熱的ではなくて。
「はい。ただ去年はまるで少女漫画のような初々しい曲を書いたり歌っていたりしていたんですけど、ちょっと前くらいから作っていた歌詞ではトゲトゲしい内容だったりします。そういうのも歌っていて気持ちいいなと思って」
--以前発表した『白い罠』もちょっとそういう感じがありました。
「わりと上から目線の曲でしたね。恋愛って、私には語れるほどの経験もないんですけど、キラキラしているものばかりじゃないと思うんです。『その人のことが好き』と自覚してからの苦しみだったり、伝えられないもどかしさだったり、もし伝えられたとしてもその人との距離感との葛藤とか、最後、お互いが距離をとりたいなと思う気持ちだったりだとか、いろんな場面での言葉選びにおいて、恋愛って面白いなと思います」
--世の中にたくさんの楽曲があるなかで恋愛の曲が圧倒的に多いというのはそういうことなんでしょうね。
「掘れば掘るほど出てくるという」
--20日のライブのセットリストでも恋愛を扱ったものが多い?
「そうですね。ほとんどかもしれません」
--『蕾』のような自分と向き合っている曲よりも?
「はい。でも最近発表した『おにごっこ』という曲があるんですけど、その曲は読んだ本からインスピレーションを得て、『この本をモチーフにして曲を作りたい』と思って作ったんですけど、恋愛というよりは家族愛のようなものを描いた内容です」
--そういえば、少し前に作った曲でも、男女の恋愛というよりスケールの大きな愛を描いた作品がありましたよね。
「なんだろ?『夢現』とか『水になれ』とか?」
--そうそう。
「『水になれ』を作ったときは、私、このまますべて溶けてしまいたいと思っていました。当時私の愛犬が亡くなったんです。私は東京にいて、実家にいた愛犬と最期にも会えなかったんです。それを電話で報告されたときに、『もうどうでもいいや。このまま私も溶けてなくなってしまいたい』と思って書いた曲です」
--悲しみが大きすぎて……。ワンちゃんについてはデビュー当時からMCやブログなどを通して頻繁に話題に出てきましたよね。本当に大好きという話をしていたので、あるときからしなくなったのは、そういうことなのかなとは思っていました。それはファンのみなさんに対してもライブのMCやブログなどで報告してないですよね。
「はい。この『水になれ』を作った経緯の話も今初めてしましたから。でも重く捉えてほしくない曲だと思っていて。作った当時はそういう気持ちで作ったけど、誰かが亡くなったからこの曲を聴くということではなくて、『何色にも染まらなくていいんだよ。枠にもとらわれずに、自分らしくいて』という意味も込めて書きました」
--悲しみが完全に癒えたわけではないと思いますが、歌詞として書くことでどこか昇華された部分もあったのかも。
「そうですね。なんかそれがアーティストという仕事なのかなって」
             
--ものを作る人の特権というわけでもないけど……。
「それは悲しいところだったりもするけど、そういう面もあるから強くなっていくのかな……。強さが何かわからないんですけど、前向きに少しずつなれるかな。誰かの背中を押すことができるというのは、歌のすごいところだと思います」
--ワンちゃんのことをストレートに書いているわけではないけど、その曲がきっかけで、それぞれ聴く人の状況の中で元気をもらえた人もいるかもしれない。
「そう捉えていただけるとそれは嬉しいですね」
--そういうモチベーションがあるから、作り続けられるのかも。
「なんてことない日常も気付かなかったことに、大きな刺激を受けることが入ってくると、それが自分にとって幸せだったんだと改めて気付かされますね」
(インタビュー2に続く)
田﨑さんのバースデーライブ『Bitter & Sweet ASAHI TASAKI Birthday Live 2018 ~ハロー~』は20日、恵比寿天窓.swithで開催(19時開演)。
〈プロフィール〉
田﨑あさひ●1995年11月20日生まれ、長崎県出身。2012年『第2回FOREST AWARD NEW FACEオーディション』でグランプリを受賞したことをきっかけに2013年にソロデビュー。
2013年に長谷川萌美と二人でBitter & Sweetを結成し、2014年にインディーズデビュー。2017年5月に『幸せになりたい。/写真には残らないシュート』でメジャーデビュー。

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