©長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会

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【Re:ゼロ】新作OVA公開記念! 原作・
長月達平が語る創作秘話「リゼロはエ
ミリアを書きたいから始めた」【イン
タビュー】

リゼロの生みの親・長月達平先生に単独ロングインタビュー!大人気作はどのように誕生した?

2012年に小説投稿サイト「小説家になろう」で連載がスタートし、2014年書籍化、2016年アニメ化、そして2018年に新作エピソードのOVA『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』が劇場上映となった、『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、リゼロ)。
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さらに! 新作エピソードOVA第2弾『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』の制作もすでに決定しています。
作品は、主人公のナツキ・スバルが突如異世界に召喚され、死ぬと同時に時間が巻き戻る“死に戻り”の能力を手に入れる。スバルは死に戻りの能力を使って、異世界で出会った少女エミリアや仲間たちを救い、自身も成長していく、というストーリー。
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いで注目を集めるリゼロを生み出したのが、原作者・長月達平先生。
今回は長月先生に単独インタビューを実施。魅力あふれる世界観やキャラクターの作り方などを語ってもらいました。
新作エピソードOVAを見れば、アニメ版がもっと楽しめる!——『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』の劇場上映が決まったときのお気持ちはいかがでしたか?
WEBの投稿からスタートして書籍化、アニメ化と続いての劇場化。何となく思い描いていた夢がポンポン叶って、嬉しい反面、「順調過ぎて大丈夫かな。いつか底が抜けるんじゃないかな」ってちょっと不安を感じます(笑)。でも、次にどんな夢を叶えようか、と楽しみでもありますね。
——次の夢は具体的に何か考えていますか?
ここ5、6年でどんどん夢が叶いましたけど、今までかなりバタバタしていましたし、間違いなく人生でいちばん忙しい時間でした。なので、今は夢のストックがない状態です(笑)。いったん、ひと息ついてからゆっくり考えたいと思います。
——完成した映像をご覧になった感想は?
小説を書く人の中には、頭の中で絵が思い浮かぶ人と浮かばない人がいるんですけど、自分は全く絵が浮かばない人。ですから、アニメになって自分の作品を見てみると「こういうことだったのか」「自分の小説が、他の人にはこう見えているんだ」という発見がありました。
——そんな発見が小説作りに反映されることも?
ありますね。いい意味でアニメにしやすい文章を書きたいなって思うようになりました。
——え、これまでの文章とは違うんですか?
以前よりも、わかりやすく書こうと心がけています。アニメ化のおかげで読む人が増えたので、難しい漢字やあんまり使われない語彙を入れないようにする、とか。そういうのって書いてる側の自己満足ですからね(笑)。
だから、アニメ化以降は読みやすく、意図が伝わるように意識しているので、だいぶ違っているはずです。
——見どころはどんなところでしょう。
やっぱりリゼロですから、アニメを見ている方は“死ぬ”とか“重たい”のを期待する人が多いと思います。でも、今回はそういったことが起きない。ギャグに振り切ったストーリーになっています。
アニメでは、なかなか描けなかった楽しい日々ですね。こういう日々を取り戻すため、守るために主人公・スバルが戦っています。アニメを見て「なぜ、こんなにスバルは頑張っているの?」という人には是非見てほしいです。
あとは、純粋に女の子たちがカワイイ(笑)。
——新作エピソードOVAの第2弾の制作が発表になりました。
けっこう早い段階で2本作ることは決まっていて、1本は楽しい、もう1本は真面目なストーリーで作るという話になりました。
今回は、「なぜスバルはそんなに頑張るの?」という理由。次作は、ヒロインのエミリアが「なぜ、あんなに一生懸命なの?」という理由がわかります。どちらも、テレビアニメの補完になっているので、OVAを観てからアニメを観ると、より楽しめると思いますよ。
いちばん好きなキャラは揺るぎません
リゼロはヒロイン・エミリアのためにスタートした!?——リゼロの中であえていちばんのキャラクターを挙げると?
間違いなくエミリア。エミリアがいちばん、それ以外は2番。ここは揺るがないです。なんてったって、リゼロはエミリアを書きたいから始めたので。
——え! そうだったんですか?
銀髪の美少女を助ける主人公っていうのがスタート。あとは後付けで考えました。
——銀髪にこだわりがあるんですね。
単純に好きなんです、銀髪が。これまで書いた小説のヒロインは銀髪か赤髪。リゼロでもヒロインのエミリアが銀髪、作中最強キャラクターのラインハルトは赤髪にしています。
——なるほど! ちなみに、スバルが持つ“死に戻り”という能力もリゼロの代表的な要素ですが、これはどのように生み出された設定なのでしょう。
初めは、順当に主人公を強くしていこうと思ったんです。でも、書いてみても面白くならなかった。
もうひとひねり、主人公が悪戦苦闘する話にしたいなって思ったところで、主人公の成長のために強い試練を与えようと考えました。さらにいちばん強い試練って何だろうと考えて出てきたのが“死”だったんです。
——毎回、スバルは様々な死に方をしていますよね。
自分の感覚として、命と釣り合うものって何もないと思っています。その命を取り戻すのが主人公の役目。ヒロインの命や関わった人の命を取り戻すために自分の命を差し出しているんです。命と釣り合うのは命ですから。
ただ、取り戻すために命をポンポン使われても困るし、読者の方に「死ねばいいじゃん」って思われるのがいちばんイヤ。だから、スバルには楽な死に方は一度もさせないようにしています。
毎回、痛い思いをさせるし、死に慣れることはない。もう、こんな光景見たくはない、ってさせなきゃいけないですよね。だから、ちゃんと殺しています。
——長月先生の中でいちばん印象に残っている死に方はありますか?
書いている側としては、基本は主人公・スバルとリンクしているので、彼がイヤだった死に方は残っています。
中でも、生き物に食われるっていうのは恐ろしい。あれがいちばんイヤでしょうね。生きたまま、生き物に食われるのはすごく恐怖だと思うので、印象に残っています。
WEB出身ならではの苦労
WEB出身作家ならではの苦労とは?——WEBで書いた作品を書籍にするのに、どんな苦労があるのでしょう。
WEBの良いところは文字数制限がないところ。書きたいことを書きたいだけ書くことができます。でも、小説はそうはいかないですよね。1冊の中で起承転結がなくてはいけませんから。
あと、WEB版は無料で読めて、書籍はお金を払って買ってもらうものですから、WEB版の内容に沿いつつ、書籍の方の完成度を高めなければいけないことが、やっぱりプレッシャーですね。
最初の頃、編集の方に「文字数を減らしてイベントを増やしてください」って言われて、「こいつ、正気か?」って思いました(笑)。でも、そのおかげで、文庫版の内容がぎゅっと濃くなって、イベントも増やすことができて完成度は高まったと思います。WEB作家だけの苦労かもしれないですね。
——小説やマンガなどで影響を受けている作品はありますか?
自分の中で原書となるラノベが3作品あります。ラノベを書き始めたきっかけを与えてくれた『ラグナロク』。作品の内容的な部分で影響を受けている『されど罪人は竜と踊る』。文体では『終わりのクロニクル』です。
『されど罪人は竜と踊る』と『終わりのクロニクル』はマネをしているというか、引っ張られている感がありますね。
マンガだと『ダイの大冒険』がこの世でいちばん好きなマンガです。魔法使いのポップが色々な試練で凹まされて、また立ち上がるっていうのが、リゼロのスバルと完全に同じパターンじゃないですか(笑)。あの文脈が好きなんですよね。だから、ポップがこの世でいちばん好きなキャラクターです。
——確かに! ポップとスバルは共通点がありますね。それでは、最後に読書の方へメッセージをお願いします。
アニメはアニメを作っている方々のおかげ。自分ができることは文章書くことなので、WEB版はそのまま残しますし、書籍もこのまま書いていって、皆さまが良くしてくれた分を返すつもりで頑張ります。今後もリゼロを楽しんでいただけたらと思います。それで、もし楽しかったら「楽しい」ってひと言くれたら嬉しいです(笑)。
『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』
10月6日(土)より劇場上映中
(c)長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会

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ウレぴあ総研

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