【GRANRODEO インタビュー】
ずっと僕らの中にある
反逆心がモチベーション
答えがないのが答え
みんな分かって生きてる
「Imaginary song」は、Led Zeppelinの「移民の歌(Immigrant Song)」を彷彿しました。
e-ZUKA
うちは僕が曲でパロディーをやると、歌詞で被せてくるところがあって(笑)。前に「Can Do」のカップリング「Love in shelter」でAerosmithの「Love In An Elevator」という曲のパロディーを入れたら、そこにほぼそのままの語感で《Love in 愛のshelter》って入れてきたことがありましたからね(笑)。ただ、今回はLed Zeppelinの「移民の歌」ではなく、それに影響を受けてできたDokkenの「ミスター・スケアリー」という曲があって、そのリフのインスパイアをもとにして作ったんです。だから、メタル好きが聴いたら真っ先にDokkenが思い浮かぶと思います。とはいえ、歌の最初の音程は C#で、これは「移民の歌」と同じです。
なるほど、大人の遊びですね。
KISHOW
こういうのは僕も楽しかったですよ。いつもとは毛色の違った歌もの4曲ですし、特に「Imaginary song」くらいのキーの高さがシャウト気味のハイトーンで歌う時に一番気持ち良いんです。
こういうハイトーンで始まるのはライヴなんかで大変そうですけど。
e-ZUKA
前はそういうことも考えながら作っていたんですけど、KISHOWのキーが前より高くなっていて、高い音がどんどん楽に出せるようになって、「Deadly Drive」もいきなり高いところから始まるんだけど、もはやそんなに高くないっていう。これなんか、サビのキーがずっとBですからね。10年前に「modern strange cowboy」を出した時はBが出てきても一瞬だったのが、昨年のアルバム『Pierrot Dancin'』の時期からCになり、今や C#ですよ。
KISHOWさんには、高くなっている自覚が?
KISHOW
ハイトーンが楽に出せるようになった感じはあったから、せっかくだから高いところで歌ったら面白いかなっていうのがあったし、それが武器にもなると思って。あと、“そんな簡単にはカラオケで歌わせねぇぞ!”というのもあります(笑)。
ラストのバラード曲「odyssey 〜そのなんとなくを知りながら〜」はすごく感動的ですね。
e-ZUKA
これはQueenの「デス・オン・トゥ・レッグス」という曲みたいなピアノのイントロを付けて、Queenのようなシアトリカルな雰囲気というか、ミュージカルっぽい雰囲気のバラードにしたいと思って。台詞を歌うみたいな感じで1番のBメロに入る前に一度マイナーになるところとかあるんですけど、“ここでは彼に一体何があったんだ?”って想像させるみたいなイメージがありましたね。
KISHOW
曲が超バラードだったから完璧に泣かせにいこうと思って、わざと泣ける言葉ばかりを並べたところがあります。
“そのなんとなくを知りながら”という副題は、すごく意味深さがありながら全てを言い表しているようで、すごく刺さるものがありますね。
KISHOW
最初、それがタイトルだったんですよ。曲を聴いてふっとこの言葉が降りてきて、ここから逆算するかたちで作っていったんです。“そのなんとなく”って何なの?って思うんですけど、要は“そのなんとなく”が答えで。生きてたり、音楽をやってたり、GRANRODEOをやってるのも、何か明確な答えがあってやってるわけじゃなくて、実は“答えがないのが答えだ”ということを、みんなも分かって生きてるんですよね。そういう感じが出せたらすごくいいなと思って。
e-ZUKA
さっきKISHOWが“泣ける言葉ばかりを並べた”と話したけど、歌録りの日に初めて歌詞を見ながら歌を聴いたら、案の定ボロ泣きしました。歌詞を見ながら聴いたら涙が止まらなくなってしまって。
曲を録っていて、そんなに泣けたことって今までにも?
e-ZUKA
「HAPPY LIFE」(2011年11月発表のシングル「愛のWarrior」のカップリング曲)の時もそうだった。
KISHOW
アルバム『Pierrot Dancin'』(2017年2月発表)の最後に収録の「UNDER THE SKY」の時はラストサビの下ハモのメロディーがあまりに良くて、初めて歌っててヤバかったです。途中でウッときて、思わず音をはずして録り直しになったんです。今回は歌えなくならないように集中して録りましたけど、歳を重ねるごとにふたりともどんどん涙腺が弱くなりました。自分たちばっかりが泣いて、聴いてくれた人がまったく感動してくれなかったら、ただ恥ずかしいだけですけどね(笑)。
今作は実に聴き応えのある6曲が収録されていますけど、アニメタイアップ曲が入っていない作品は今回が初めてでは?
KISHOW
シングルであったんじゃないかな? 確か6枚目のシングル「delight song」がカップリングも含めてノンタイアップだったと思う。まぁ、アニソンユニットと呼ばれるようになって久しいけど、そこは自分たちで明言したわけではないので別にいいんですが。ただ、どういうふうに受け止めてもらえるか、今回に限っては見当が付かないです。
でも、ノンタイアップという部分ではいつも以上に自由に作れる喜びがあったのでは?
e-ZUKA
それはありました。でも、それは逆を返せば自己満足なわけで(笑)。歌詞に関してはコンセプトがあるので、そこまで趣味に走るわけにはいかなかったと思うけど、音に関してはだいぶ趣味に走ってしまったところがありますね。“分かってもらえるかな?”とか“分かってくれた人が面白がってくれるかな?”とか思いながら、散りばめていった感じなんですけどね。
結果として今やりたいことができた?
e-ZUKA
100パーセントそうというわけではないですね。あくまでもコンセプトありきの中で自由にやることができた感じです。今まではタイアップがあったり、スタッフから曲のイメージを提示されたりして作っていたけど、今作はそういうものがなくて、自分たちの中でそれを考えていった。そういう意味では作品を作っている感覚がすごくありましたね。
取材:榑林史章
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『GRANRODEO LIVE 2018 G13 ROCK☆SHOW "Don't show your back!"』
12/08(土) 大阪・大阪城ホール
12/09(日) 大阪・大阪城ホール
グランロデオ:“KISHOW”こと声優でヴォーカリストとしても注目されている谷山紀章と、メロディアスな曲からハードなギターサウンド曲までアニメーション音楽に幅広く楽曲を提供し、ギタリストとして活躍中の“e-ZUKA”こと飯塚昌明のふたり組ユニット。2005年11月のデビュー以来、HR/HM調の楽曲を中心としつつ、ポップスやフォークなど多彩なジャンルを取り入れた楽曲を発表し続けている。GRANRODEO オフィシャルHP
「M・S COWBOYの逆襲」MV
(Short ver)