L→R 金澤ダイスケ(Key)、山内総一郎(Vo&Gu)、加藤慎一(Ba)

L→R 金澤ダイスケ(Key)、山内総一郎(Vo&Gu)、加藤慎一(Ba)

【フジファブリック インタビュー】
フジファブリックの
ファビュラスな5曲をコンパイル

フジファブリックがCDとしては1年8カ月振りとなるミニアルバム『FAB FIVE』をリリースする。そして、リリースの翌日からはハナレグミとのコラボ“ハナレフジ”のツアーもスタート。来年迎えるデビュー15周年に向けて、にわかに慌しくなってきた。

今回の5曲はもともと配信も含め、シングルとしてリリースしたものですが、タイアップ曲として書き下ろしたという共通点がありますね。

山内
全曲ともオファーがあって作ったものなので、タイトルを付ける時もオーダーがあって作ったから“オーダーメイド”とかって言ってたんですけど、最終的にそれぞれに立っている曲が5曲入っているから“素晴らしい=ファビュラス”な5曲ということで“FAB FIVE”になりました。

それにしても、なぜそういう作品をリリースしようと?

山内
逆転の発想なんです。この次に作るものを見据えて、その前にリリースするものは何だろうと考えたら、そういうお題があったものをまとめてもいいんじゃないかって。

次に作るものを見据えてですか。そちらも気になるところですが(笑)、以前にインタビューさせてもらった「カンヌの休日feat.山田孝之」以外の4曲について、1曲ずつお話を聞かせていただけますか。山内さんが作った「Water Lily Flower」は、映画『ここは退屈迎えに来て』のテーマソングですね。

山内
いつか曲にしたいと思っていたギターのアルペジオ(奏法)があって、テーマソングのお話をいただいた時、そのアルペジオのスカッと晴れているというよりは、曇っているけど晴れてるみたいな、いい感じの温度感が映画の内容や風景に合いそうだと思ったんです。

跳ねる感じのアルペジオのリフがすごく耳に残るのですが、今までなかったタイプの曲になりましたね。

山内
アルペジオを主体にした曲ってほとんどなかったですからね。
金澤
アルペジオの聴こえ方や熱量が場面ごとに変わっていく曲は初めて作ったかもしれないね。
山内
コード感もね、今までとちょっと違うかもしれない。昔だったらフジファブリックに持って行くのはちょっと躊躇したかもしれないけど、自分の中のフジファブリックのイメージが良い意味でどんどん広がっていったので、すんなり持って行けたところはありますね。

2曲目の「電光石火」も山内さんの曲ですね。

山内
『J SPORTS STADIUM 2018 プロ野球中継』のテーマソングのオファーを「Sugar!!」以来、9年振りにいただいたんですけど、「Sugar!!」が好評で再びのオファーだったので、前回同様に“全力で走る”というメッセージを込めて、「Sugar!!」とつながる曲にしたいと思いました。メッセージを変えて、“今回はこれです!”みたいな器用さは違うと思ったんですよ。プロのスポーツ選手になる人は途轍もない才能を持っているわけですけど、選手生命って人生を単位に考えるととても短い。それこそ電光石火なわけじゃないですか。そこで輝くために一生を捧げている人たちが、人生を懸けてバンドをやっている自分たちとも重なりました。

加藤さんが作った「1/365」はオールディーズ風のロックンロールになりましたね。

加藤
NHKの『メディアタイムズ』という小中高生向けの情報番組のテーマソングとして、最初はサビの30秒だけ作って一旦置いておいたんですけど、半年以上経ってからフルを作ろうってことになって。最初から作ってたらもっとストレートな曲になったと思うんですけど、1回リセットしたせいか、もともとあったサビに対して違う雰囲気を持ったAメロになったり、ブリッジがふわふわとした感じになったりして面白い曲になりました。
金澤
最初に作ったテレビサイズの時には想像もしてなかったフル尺を加藤さんから聴かせてもらった時、そのまま行かないところが加藤さんっぽいと思いました。

オルガンとギターはあえてレトロな音色を狙っているようにも聴こえますが。

山内
メロディーは全然違うんですけど、なんとなくエルヴィス・コステロぽくって。the Attractionsの時のコステロというか、ジャズマスターとコンボオルガンというか、ああいう元気なイメージが。
加藤
確かにコステロ感はあるね。

金澤さんが作った「かくれんぼ」というバラードは、CanonのウェブCM『“This” is my life. ショートムービー『僕たちは今日、お別れします。』』のテーマソングでした。

金澤
この曲はアレンジがずいぶん変わったんですよ。最初にあったビートをなくしたりとか、ギターのアルペジオがサビで急にピアノに切り替わったりとか。スタジオでやってみたらそれが意外に良かったんです。
山内
普通はこうしないだろうということを、スタジオでお互いにやりながら作っていきましたね。

タイアップとはいえ、フジファブリックらしさが感じられるという意味でも“FAB FIVE”というタイトルが相応しい一枚になりましたね。そして、リリースの翌日からハナレグミとフジファブリックのスペシャルユニットであるハナレフジのツアーも始まるという。

金澤
昨年、『フジフレンドパーク』(フジファブリックが毎年行なっている自主企画2マンライヴ)で一緒にやったら楽しくて。
山内
ハナレグミ、フジファブリックでやっていることをただ単に組み合わせるというよりは、自分たちが面白いと思ったものを進んでやっていこうっていうツアーなんです。もしかしたら新曲も間に合えば。そういうこともできたらもっと楽しくなるだろうなっていうツアーなんです。

取材:山口智男

ミニアルバム『FAB FIVE』2018年10月3日発売 Sony Music Associated Records
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • AICL-3574~5 ¥2,500(税抜)
    • 【通常盤】 
    • AICL-3576 ¥1,800(税抜)

ライヴ情報

『ハナレフジ LIVE TOUR “宝船”~僕らはすでに持ちあわせている~』
10/04(木) 愛知・Zepp Nagoya
10/06(土) 宮城・仙台GIGS
10/10(水) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
10/11(木) 東京・Zepp DiverCity Tokyo
10/13(土) 福岡・DRUM LOGOS
10/21(日) 大阪・Zepp Namba

『フジファブリック 15th anniversary SPECIAL LIVE
at 大阪城ホール2019 「IN MY TOWN」』
[ 2019年 ]
10/20(日) 大阪・大阪城ホール

フジファブリック プロフィール

フジファブリック:2000年、志村正彦を中心に結成。09年に志村が急逝し、11年夏より山内総一郎(Vo&Gu)、金澤ダイスケ(Key)、加藤慎一(Ba)のメンバー3人体制にて新たに始動。奇想天外な曲から心を打つ曲まで幅広い音楽性が魅力の個性派ロックバンド。「銀河」、「茜色の夕日」、「若者のすべて」などの代表曲を送り出し、『モテキ』TVドラマ版主題歌、映画版オープニングテーマとして連続起用された。数多くのアニメ主題歌も担当。18年には映画『ここは退屈迎えに来て』主題歌、そして劇伴を担当。19年にデビュー15周年を迎えアルバム2作を発表。同年10月に大阪城ホール単独公演を大成功させた。21年3月に11thアルバム『I Love You』を発表。23年には4本のツアーを開催した。24年4月にデビュー20周年を迎えるが、目前となる2月に12thアルバム『PORTRAIT』をリリースする。フジファブリック オフィシャルHP

L→R 金澤ダイスケ(Key)、山内総一郎(Vo&Gu)、加藤慎一(Ba)
ミニアルバム『FAB FIVE』

「電光石火」MV

OKMusic編集部

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