【レルエ インタビュー】
生楽器で出せる良さも追求したいし
人間味も大事にしたい
女性バイオリン奏者を擁する3人組バンド、レルエが1stアルバム『UNITE』を完成させた。魅惑のハイトーンヴォイスを武器にシンセや生音を融合させ、煌びやかにして哀愁漂う楽曲は、洋楽インディーの影響下にありつつ、幅広い層に突き刺さるポップ性を兼備している。
どういう経緯で集まった3人なのですか?
saya
もともと3人とも別々でバンドをやっていたんですけど、先に櫻井がエンドウを誘って新しいバンドを作ったんですよ。で、私はバイオリンが入ったロックバンドを別でやっていたんですけど、それが解散したので入りました。
レルエとしてやりたかった音楽というのは?
櫻井
テーマは決まってて、僕は洋楽のインディー系が好きなので、そういうバンドをやりたかったんです。
saya
以前はギターロックにバイオリンを入れたかたちだったけど、それから今のようにシンセを入れるようになって、音楽性もガラッと変わりましたね。
櫻井さんの中にあったテーマというのは?
櫻井
北欧系の洋楽インディーが好きなんですけど、日本人でギターの音やシンセのサウンドしかり、しっかり洋楽と勝負しているバンドがいないので、それができたら他と差別化できるかなと。バンドだと、TWO DOOR CINEMA CLUB、PHOENIX、FOSTER THE PEOPLEとかが好きですね。
エンドウ
前のバンドで対バンした時に櫻井の楽曲センスが高いのは分かっていたので、“やらない?”と声かけられた時に“やるやる!”って(笑)。当時からメロディーは光るものがありましたね。
バイオリンを導入しようと思った理由は?
櫻井
アコースティック楽器を加えたかったんですよ。
saya
BIGMAMAも聴いてましたからね。
櫻井
YELLOWCARDも好きなんですよ(笑)。
saya
私はKLAXONSも好きで、シンセのカッコ良さにも惹かれたし。そういう要素も取り入れていきたいなと。
櫻井
洋楽テイストをJ-POPとして届けるためにはどうすればいいかなっていろいろと考えました。
完全に洋楽志向ではなく?
櫻井
そうですね。まず日本人に聴いてもらいたい気持ちが強いですからね。だから、メロディーも分かりやすくして。
メンバー3人の役割分担はどうなってるんですか?
櫻井
音源はDTMで自分がほとんどかたちにして、それをふたりに投げて、“もう少しキャッチーにして”とか言うぐらいですね。シンセは自分のソフトで作ってます。
saya
それにさらに音を重ねたり、ライヴでは同期を流すので、その両方が混ざってる感じですね。
櫻井
シンセとシンセベースに関しては、このパートはどっちを使っているのかを伝えて弾いてもらってます。
エンドウ
スタジオで曲を合わせると作り込んでいくけど、結果シンプルになることが多いかもしれないですね。
あと、ギター、バイオリン、シンセと3つの上ものの音が入ってて、その棲み分けは難しくないですか?
saya
同時に鳴らすことをあまり考えてなくて。バイオリンが鳴ってる時はシンセは薄くしたり、曲によってシンセだけのものもあるし、曲が必要としてるものを入れようと。
櫻井
バイオリンの隙間にシンセをぶつけたりするし。実際、バイオリンバンドという意識はそこまでないですね。
saya
バイオリンを入れるとまた表情が出るし、機械でバイオリンを鳴らすのとは音質が違いますからね。生楽器で出せる良さも追求したいし、人間味も大事にしたくて。
櫻井
ドラムに関してはサポートの人が入ってて、音源やライヴではその方に叩いてもらってるんですよ。
なるほど。今作は作る上でどんな作風にしようと?
櫻井
「夜はモーション」という曲を中心に作ったので、全曲通してダンスビートが多いですね。クラブやライヴハウスで体を揺らして楽しんでもらえるイメージで作りました。
確かに今作は夜感が漂ってますよね。
櫻井
「青とゲート」が一番新しい曲で、キャッチーさも前面に出てますからね。イントロにシンセが入ってバイオリンが絡む感じで、僕ららしさが伝わりやすい曲かなと。
「#1」はシンプルな曲調ですよね。
櫻井
最後の「#1」〜「ネオサイン」の流れはシンプルにして歌を前に出そうと思いました。
saya
こういう曲もあるんだよって感じで。
「ネオサイン」もすごくいい曲ですよね。
saya
私もそう思います(笑)。デモを聴いた時にいい曲だなって。
櫻井
今作の中では洋楽の雰囲気に一番近いかもしれない。間奏も長すぎないくらいに入れて、そのあとにポップなサビを入れられたから。シンプルでグルーブを重視した曲ですからね。
エンドウ
曲を聴いた瞬間にすぐ弾きたいと思いました。4弦のさらに低いところにいくから5弦ベースで弾いてます。溜めて溜めてボン!と広がるサビも好きですね。
夜感ともつながるのか、“青”という言葉も歌詞に多くて。
櫻井
ノスタルジックじゃないけど、僕が書く歌詞は懐かしさが出てるものが多いんですよね。
saya
海の近くに住んでたんでしょ?
櫻井
それもあるけど、ファンタジックな音楽が好きなんですよ。曲を聴いて景色を浮かべてもらえたらいいですね。
saya
昔と今を行き来する歌詞も世界観になってるかなと。
「ネオサイン」の《消えてゆく 消えてゆく いつか君と僕は残像に》という歌詞とか切ない描写も多いですね。
櫻井
でも…それこそ“死にたい”とか(笑)、ネガティブなことは書かないようにしてます。切なさ程度で止めるようにしようと。
saya
あと、表題には“いろんな音を取り込もう”“これからいろんな人とつながっていきたい”という意味を込めてます。ちなみにタイトル“ユナイト”には“夜”(ナイト)という言葉も入ってますから(笑)。
最後にバンドとして今後やってみたいことは?
櫻井
広がりのある音楽をやっているつもりなので、大きな会場で自分たちの音楽がどう響くのかなと。『SUMMER SONIC』とか音で勝負できるフェスに出たいですね。
取材:荒金良介