【インタビュー】千歌繚乱出演バンド
・SAVAGE、「ヴィジュアル系とは一体
何だろう?」
◆ ◆ ◆
――SAVAGEは、どんなふうに結成されたのでしょう?
猛(G):結成は2013年8月29日です。もともと私とボーカルの龍華、ドラムのAyutoはDEPAINという5人編成のバンドをやっていたんですよ。そのバンドが活休することになったときに、もっとバンドを続けたいと思った3人が集まってSAVAGEを結成しました。最初は違うベースがいたんですけど、その人が脱退したのでJUNにサポートをお願いするようになって。1年くらいのサポート期間を経て、2016年に加入してもらって、今の4人になりました。JUNが加入したのは、2月14日じゃなかったっけ?
JUN(B):そう、2月14日。バレンタインデーに加入した(笑)。
――いいバレンタインになりましたね。SAVAGEというバンド名に込めた思いや、バンド・コンセプトなども教えていただけますか。
猛:バンドコンセプトは、大まかにいうと“毒”です。“毒気”とか“中毒性”とか。今僕らはツアーをしているんですけど、そのツアータイトルも<毒針2>です。 龍華(Vo):コンセプトいうか、バンドとして目指すものは活動してくる中で徐々に変わってきましたね。初期の頃はDEPAINのテイストを消さずにいたんですけど、だんだんSAVAGEの色みたいなものが創られていって。今はSAVAGEのスタイルというか、こういう感じでやっていきたいなというものができあがってきた状態です。だから、SAVAGEの本当の活動はこれからだという気持ちがあります。バンド名に関しては、込めた思いとかは特にないです(笑)。バンド名を決めるときにみんなで意見を出しあって、いくつか候補があった中で“SAVAGE=残忍、獰猛”という意味や語感のよさから、これがいいんじゃないかということになりました。
――では、メンバー皆さんの音楽的なバックグランドは?
Ayuto(Dr):僕はPIERROTと出会ってV系に目覚めました。PIERROTから入ってDIR EN GREYとかも聞くようになっていきました。激しくて、翳りがあって、ドラマチックな音楽性のバンドに惹かれるみたいです。ドラムをやるようになったのは、DIR EN GREYのShinyaさんに憧れたからです。そこから入っていろんなドラマーと出会ったけど、Shinyaさんに対するリスペクトはずっと変わらないです。 JUN:音楽に惹かれるようになって、いろんなアーティストを聴き始めて、一番最初にハマったのがX JAPANでした。その後から王道なビジュアル系含め洋楽など幅広く聞くようになりました。
――洋楽はどのあたりを? JUN:最近は、Bring Me the Horizonとかが好きですね。基本的にラウド系が好きです。そういう音楽が好きなところは、自分が作る曲にも表れている気がしますね。楽器に関しては、最初はドラムをやっていたんです。俺は地元が秋田で、いつも実家でドラムを叩いていた。だから、いざ上京しようとなったときに、俺の中にはリハスタという概念がなかったんですよ。だから、東京では家でドラムを叩けないじゃんと思って(笑)。
猛:“地方あるある”だね(笑)。
JUN:そう(笑)。東京でドラムを続けるのは無理そうだなと思って、同じリズム隊のベースをやろうかなと思ったんです。
猛:私は、もともとヴィジュアル系はまったく知らなかった。Dragon Ashとかが好きで、ああいう感じのバンドをやっていて、ボーカルだったんですよ。でも、曲作りを始めてからギターは楽しいなと思うようになって、ギターでバンドをやりたくなって。それで、たまたま入ったバンドがヴィジュアル系寄りだったんです。そこからヴィジュアル系の世界に入って、D'espairsRayを見て、カッコいいなと思ったんですよね。それに、当時の私はヴィジュアル系は本当に知らなくて、曲作りをするときとかにメンバーが、あのバンドのあの曲みたいな感じでとか言うんですけど、自分はまったくわからなくて。これはマズいなと思ってヴィジュアル系を勉強するようになって、いろんなバンドを知って、今に至っています。
龍華(Vo):僕は、もともとはオールジャンルで音楽を聴いていました。J-POPも聴くし、ヒップホップも聴くし、レゲェとかも聴くという感じで。歌うようになったのも、完全にノリなんですよ。東京に出てきたら、自分よりも先に上京していた地元の友達がバンドをやっていて、ボーカルがいないんだよねという話をしていて。へぇーっと思って聞いていたら、ボーカルをやらないかと言われて、暇だしいいよ…みたいな(笑)。それくらい軽いノリで始めたんです。ヴィジュアル系では蜉蝣が大好きで、めちゃくちゃ聴いていました。最近は、バンド系は全然聴かないですね。ヴィジュアル系の新譜とかがどういう作品なのかは全然わからない。知り合いにもらったCDを聴くくらいです。
――ヴィジュアル系以外の音楽も通ってきているメンバーが多いことは特徴といえますね。では、SAVAGEの音楽性の面で大事にしていることは?
猛:うちのバンドはAyutoとJUNと僕の3人で曲を作っているんですけど、それぞれ作る曲のカラーが違うんですよ。私は結構ライブ重視というか、ノリがよかったり、ちょっとチャラついた曲が……。
JUN:チャラついたって(笑)。
龍華:アッパーね(笑)。
猛:ああ、そうか(笑)。ノリノリな曲とか、アッパーな曲を作るのが結構得意です。あと、バラードを書くのも好きですね。“ザ・ヴィジュアル系”みたいな曲も書くけど、AyutoとJUNが作るヴィジュアル系らしい曲には勝てないので、基本的にそこは2人に任せています。SAVAGEの曲で自分らしさが強く出ているなと思うのは「Bogus Duty」かな。4つ打ちのアッパーな曲で、まさに私の得意分野です。
JUN:俺が得意なのはラウド系ですけど、SAVAGEに入って初めて出した曲があまりにもラウドに寄りすぎていて(笑)。ちょっとこれはよくないなと思って、そこからいろいろ試行錯誤するようになりました。たとえば、「モザイク」という曲とかはヴィジュアル系っぽいというか、ちょっと気持ち悪い感じの曲を作ってみようかなと思って作った曲です。だから、自分本来の持ち味ではないんですよね。自分の中で一番イケているなと思うのは、「潔癖症の僕から不感症の君へ」です。ヘヴィさがありつつ符点8分のディレイを使ったりしていて、その辺、自分が学んできた音楽が表に出せたかな。そういうところで、「潔癖症の僕から不感症の君へ」はいい曲が書けたかなと思います。
Ayuto:自分は本当に思春期からヴィジュアル系ばかり聴いていて、ドロドロした感じのバンドが好きだったので、それが染みついているところがあって。自分もそういう音楽をやりたいなというのがあるので、“ドロドロ専門”です(笑)。
猛:Ayutoは“キモイ担当”です。
Ayuto:そうだね(笑)。あまりノリとかは気にせずに、世界観を重視して作ることが多いです。あとは、本当にいろんなバンドを聴いていたので、“このフレーズはあのバンドっぽいな”というのがわかるんですよ。なので、そういうものが出てきたときは、そこから外していくようにしています。このフレーズいいなと思っても、誰かに似ていたら躊躇なく捨てる。そんなふうに、オリジナル性を重視しています。自分らしさが出ているなと思うのは「妄想狂いの日曜日」かな。その曲はSAVAGEで一番最初に作った曲なんですよ。なので、自分がやりたいことが全部詰まっています。
――得意分野が異なる3人の作家陣がいることは、SAVAGEの大きな強みといえますね。
龍華:そうですね。曲調の幅が広いのは、バンドの武器になるから。僕はこういうものしか歌いたくないとか、こういうものは歌いたくないというのはあまりないんですよ。それに、個々が作ってきた曲を全員でアレンジして、全員がカッコいいと思えるものが完成形なので、楽曲に不満を感じることはないです。
――いいパターンですね。では、歌詞を書くうえで大事にしていることは?
龍華:大事にしているというか、僕は一般受けするような歌詞が書けないんです。よくあるじゃないですか、“未来に向かって走ろう”みたいな歌詞とか“桜”とか。そういうものは書けない。書けないまま、気づいたら何10曲と歌詞を書いているわけで、もうそれが完全に自分の根っこになっているんですよね。だから、SAVAGEの歌詞は、共感とかはあまり生まれないと思います。
――でも、だからこそ惹かれているリスナーは多いと思いますよ。
龍華:そういう人は、変態ですよね(笑)。ありがたいなと思います。僕はどの曲も思い入れがあって、歌詞とか歌の面で自分らしさが出ている曲は選べないですね。ただ、一番念がこもっているなと感じるのは「朧月夜」です。すごく静かなバラードなのでライブで全然やらないんですけど、歌うと泣いてしまうんですよ。スタジオで歌ってもヤバい。そういう曲です。
――必聴の1曲といえますね。ここまでの話で、SAVAGEは個性的であることを大事にしているバンドだということがわかります。そんな皆さんは現在のヴィジュアル系シーンには、どんな印象を持たれていますか?
龍華:ヴィジュアル系というのは個性を活かせるジャンルなのに、みんな個性がないなと思っています。顔も、みんな一緒だし。アー写とかを見ても同じような顔が並んでいて、これ誰だったっけ?ってなる。似てしまうのは、そのときそのときの流行りを追いかけるからだと思うんですよ。僕の場合は、もう始めたときからスタイルがまったくブレていないんです。ライブパフォーマンスとかもそうですけど、自分がやりたいことは一貫して変わらなくて、こっちにいこうかな、あっちにいこうかな…みたいなことはない。ずっと同じスタイルでやってきているし、自分はそれしかできない。でも、それでいいんじゃないかなと思っています。
猛:龍華が言ったように、今のヴィジュアル系は本当に似たようなバンドが多いですね。“あれ? この曲さっきのバンドもやってなかったか?”みたいな感じだし(笑)。たまに、この曲いいなと思う曲があっても、その曲だけということが多いし。他の曲を聴くと、さっきと同じような曲じゃんという。そういう状況になっているのはかなりヤバいし、自分たちはそうはなりたくないというのがあって。SAVAGEは、それこそ1曲ごとに違うバンドみたいに感じさせるくらいになりたいと思っています。
JUN:俺は対バンしたときに他のバンドのライブはそんなに見ないけど、初めて一緒にやるバンドとかはリハを見るようにしているんですよ。そうすると、やっぱり曲が似ているんですよね。最近だとヘヴィで、Djent系みたいなバンドが多いかなーと。好きなバンドのテイストを活かしたい気持ちはわかるけど、まんまはマズいだろうと思う。そういう中で、SAVAGEは自分たちなりのものを提示できているという自信はあります。
Ayuto:みんなが言ったことと被ってしまうけど、似たようなバンドが多いということは感じますね。新しいバンドとかでもコンセプトが似ているんですよ。“メンヘラ”とか“病んでる”とかがめちゃくちゃ多くて、もっと他にもあるでしょうと思う。もちろん個性を持っていて魅力的なバンドもたまにいますけど、昔憧れていたバンドとか、最近いいなと思うバンドと同化することで満足しているように感じてしまうバンドが多い。でも、そこから先にいかないと突き抜けることはできないですよね。“他と違う”ということを大事にするバンドが増えないと、ヴィジュアル系は本当にヤバいんじゃないかという危機感はあります。
――そういう中で、誰かに似ていると感じたら、そこから離れていくというスタンスのSAVAGEは頼もしいです。ライブ観についてもお聞きしたいのですが、SAVAGEのライブはどんな空気感なのでしょう?
龍華:イケイケです。イケイケ・ガンガン系。ただ、イケイケの中でも緩急はつけるし、イケイケの曲でボーカルもイケイケになるのは当たり前じゃないですか。だから、日によって、あえてイケイケでいかないようにすることもあります。あとは、ライブ中に、こういう見せ方、こういう聴かせ方もあるんじゃないかと思いついたら、すぐにやってみますね。ライブというのは、そういうものだと思うから。事前に決めたことを毎回同じようにやるのは退屈だし、ライブを何度も見にきてくれる人も飽きてしまうだろうし。僕はライブ中のテンションや閃きを活かしたいし、うちはメンバー全員そういうところがあるので、SAVAGEのライブは毎回違っている。そこは特色になっているかなと思います。
猛:私は、もう感情むき出しで弾くタイプなんですよ。ちゃんと弾くべきところは弾くけど感情に任せることが多いし、きれいでいようという気もない(笑)。髪形とか、メイクとかが崩れてしまっても、まったく気にしないですね。私は“破滅の美学”みたいなものに惹かれるんです。だから、ステージに立ったら明日のこととかは一切考えずに、すべてを出しきる。そういう気持ちで、いつもライブに臨んでいます。
JUN:ライブは、テンションでしかないですね。昔某アーティストさんが雑誌のインタビューで、「ライブ中に自分が楽しんでいないと、お客さんが楽しくなるはずがない」と言っているのを読んだことがあって。それはたしかにそうだなと思っていて、ライブを思いきり楽しむし、お客さんの気持ちもあげるようにもしています。あとは、見た目的に自分は正統派のヴィジュアル系だと思っているけど、気持ち的にはラウド系のお兄さんみたいな気持ちでライブをしているんです。それに、ベーシストで大きなアクションをする人はあまりいない気がするけど、うちは4人編成でステージの下手は自分1人というのもあって、なるべく大きなアクションをするようにしています。
Ayuto:ドラムは、やっぱり他のパートとは意識が違うのかなという気がしますね。ドラムはバンドを支える役割だからミスッてはいけないし、楽曲の心地好いタイム感を崩してはいけないというちょっとした恐怖心があるんです。かといって静かに叩いているだけだと、見ている人はつまらないじゃないですか。見ている人の感情を揺さぶるプレイができないとダメだなと思うので、冷静さを持ちつつ感情も出すようにしています。
――ライブも必見といえますね。現在(取材日は2018年7月3日)SAVAGEはワンマン・ツアー<毒針2>の最中ですが、手応えはいかがですか?
龍華:今回は、今までで最大本数のワンマンツアーなんですよ。なので、お客さんは大変だろうなと思っています(笑)。今は東京と札幌、仙台が終わったところで、前回のツアーでも札幌と仙台にいったんですけど、そのときよりも全然よかったです。なので、まだ始まったばかりだけど、いいツアーになる予感がしますね。
猛:私は高望みしているのか、まだまだという感触です。自分たちはもっとできることを知っているから、それを思うと物足りない。こっちは全力でやっているのに、ライブに集中していない客とかいると腹が立つ。それに関連するけど、最近はアンコールはやるのが当たり前みたいな空気があるじゃないですか。アンコールは別に強制じゃないから、お客さんがいらないと思えば呼ばなくていいし、私らも別に予定調和のアンコールはしたくないと思っているんですよ。
龍華:アンコールは必ずあるものじゃないって思ってるからいつも本編が終わってハケてから楽屋でアンコールの声を聞いてやるかどうか判断してます。
猛:そう。だから、今回のツアーでは、客のノリが悪ければアンコールはやらなくてもいいと思っている。それくらいの気持ちで臨んで、自分たちも、お客さんも完全燃焼するライブをしていきたいと思っています。
JUN:俺もお客さんはもっといけるとわかっているのにいかなくて、正直この間は嫌な気持ちになる時もあります。こっちは本気でいっているんだから、本気で返してほしいというのはありますね。もしベースを弾かなくていいならステージから降りて、引っ張りたくなる勢いです。ここから先は普段はモッシュとかヘドバンを避けている人が我を忘れて暴れてしまうようなライブを毎回することを目指します。下手の連中、覚悟しておけよ。そろそろ本気のJUNさん見せちゃおうかな!!
Ayuto:今回のツアーでは、ライブのときにドラムだけの映像を撮ってもらっているんですよ。少しずつでも成長していけるといいなと思って撮ることにしたんですけど、映像を見るとわかることが多いんですよね。思ったよりも叩き方が小さかったり、全然腕が動いていなかったりして、だからこうなっていたんだと気づくことがたくさんある。それを活かして、さらに成長できるワンマンツアーにしたいなと思っています。
――全員が意欲的な姿勢でツアーに臨んでいるだけに、いいツアーになりそうですね。<毒針2>を経て、8月15日にご出演される<千歌繚乱 vol.17>も楽しみです。
龍華:さっきも話したように、SAVAGEのライブは毎回違うんですよ。だから、8月15日は8月15日にしかできないライブになると思う。ある意味、限定ライブですよね。その日にしか見れないSAVAGEの限定ライブを、ぜひ観にきてください。
取材・文◎村上孝之
◆ ◆ ◆
SAVAGEが出演する<千歌繚乱vol.17>、チケットは現在
日時:2018年8月15日(水)開場16:30 開演17:00
出演:ヴァージュ/CANIVAL/ギャロ/SAVAGE/ジグソウ/MORRIGAN
会場:池袋EDGE
料金:【一般チケット】3,800円 【当日券】4,000円 ※ドリンク代別途
【一般チケット】
7月9日(月)12:00~8月14日(火)
[イープラス]
チケット購入ページURL:http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002263404P0030001
<SAVAGE ONEMAN TOUR【毒針2】TOUR FINAL>
2018年9月28日(金)新宿LOFT
open 17:00/start 17:30
前売り ¥4.000/当日 ¥4.500
※チケット
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002262605P0030001
<千歌繚乱vol.18>
日時:2018年9月26日(水)開場17:30 開演18:00
出演:EVERSSIC/Soanプロジェクトwith芥/ヘルタースケルター/The Benjamin/More
会場:渋谷REX
料金:【先行チケット】3,500円 【一般チケット】3,800円 【当日券】4,000円 ※ドリンク代別途
・チケット受付
【先行抽選受付】
7月13日(金)12:00~8月19日(日)16:00
チケット購入ページURL:[チケットデリ] http://ticket.deli-a.jp/
【一般先着受付】
8月20日(月)12:00~9月25日(火)
[イープラス]
チケット購入ページURL:http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002265279P0030001
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