家入レオ

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【家入レオ インタビュー】
曲の“想い”を作れるのは
私だけだと思っている

新たなチャレンジを見事結実させたツアー。そして、次のフェーズに入ったことを明確に示す新曲「もし君を許せたら」。自らの中から生まれたものだけでなく、コーディネイトやディレクションにかける“想い”がまた彼女を進化させている。

まず、『6th Live Tour 2018 ~TIME~』を完遂して感じたことをおうかがいしたいのですが。

一番音楽と向き合ったし、最高も、その反対の難しさも…いろんなことを感じたツアーでした。過渡期というか、今のタイミングであのバンドメンバー(名越由貴夫(Gu)、粂 絢哉(Gu)、須藤 優(Ba)、玉田豊夢(Dr)、宗本康兵(Key)、前田雄吾(Manipulator))と一緒に音を出せたことはすごく自信につながりました。

レオさん自身がより音楽になっていると感じたのですが、ご本人的には過渡期なのですか?

私自身はそんなに感じていないんですけど、周りの人たちに言われて。でも、それは本当に変化しているからなんだなって。変化しようと思っている変化って純度が100パーセントじゃないっていうのが、良くも悪くもあるじゃないですか。だから、周りの人に言われてハッとするということは、本当に私自身が変化していっているということなんだろうなと思います。

意図せず、意識せずとも、という。

それが音楽だと思いました。自分だけの世界でずっと歌い続けていたら、いつも同じクオリティーのものは提供できるけど、人としての成長がないし、音楽も小さくまとまってしまう。でも、今回は後ろで演奏しているバンドの音が違って、そこに引っ張られたり、逆に引っ張り返したりするから、その駆け引きがすごく面白かったですね。

確かにスリリングなシーンがたくさんありました。

名越さんの弾くギターなんて唸らされるしかないというか。しかも、“え! こんなにいいフレーズをいとも簡単にもう捨てますか!? 次に行きますか!?”っていう。どんどん新しいフレーズに変えていくんですよ。その最新に向かう勇気とか正直さ、そういう音楽人としての在り方を見た時に“ダサいな、私”って思って。いつも裸の自分でいるというのはすごく勇気がいることだから。でも、そういう感覚を自分でもさらに持てるようになってから、あのバンドの音で歌った時に“あ! 私、音楽になれている!?”と思ったんです。ヒヤッとする部分も自分の中でありましたけど、それも含めてめちゃくちゃ楽しめたツアーでした。

曲を成長させているから曲も喜んでいる気がしました。

それ、思いました。「恍惚」はツアー中にすごくアレンジが変わっていきましたし。全公演に来てほしいくらい(笑)。一公演一公演がスペシャルすぎて、贅沢だったと思います。雰囲気のある音楽とかカッコ良い音楽っていっぱいありますけど、私はライヴに来てくれた人に“心が震えた”って言ってほしくて。それと、“観に行く”じゃなくて“会いに行く”感覚でいてもらえたらって。そこは本当に自分の中で大事にしているところかなって思いますね。

ツアーの最終日に初披露された新曲「もし君を許せたら」も、さらなる新境地だと感じました。

今年の春に初めて長期のお休みをもらったので、国内旅行をしたり、ロンドンにひとり旅したりして、自分の置かれている環境を初めて客観的に見ることができたんです。その時に私がやっていくことは制作とライヴとMV、ジャケット、この4本の柱をより強くしていくことなんだと改めて思って。で、帰国した時にちょうどこのドラマ主題歌のお話をいただいたので、すごく気合いを入れた一曲になりました。ドラマのプロデューサーさんの話を聞いたり脚本を読んだ時に、みんな理想とか正義とか掲げているものがあるけど、やっぱり誘惑に負けてしまったり、ずっと葛藤を抱えている…でも、その姿こそが“生きている”ということだと思ったし、美しいと思ったんです。そういう姿を曲にしたいと考えてJazzin'parkのおふたりに楽曲提供をお願しました。デモの段階でスタイリッシュな歌詞が付いていたんです。でも、それも素敵だったのですが、もしかしたらこの楽曲には人が生きることの刹那な心情を繊細に描ける杉山勝彦さんの言葉が乗ったら面白いことになるんじゃないかと思って、歌詞をは杉山さんにお願いしました。

レオさんの描いたイメージ、閃きが主軸なんですね。

私は今回、メロディーも作っていないし、言葉も綴っていないんですけど、曲の“想い”を作れるのは私だけだと思っているので、そこを丁寧にJazzin'parkのおふたりと杉山さんにお伝えしました。ドラマの放送が終わったあとにも、みなさんに愛してもらえる楽曲にしたかったので。

ものすごく挑戦的な作品だと思いました。

そうなんですよ! 空洞を歌いたくて…虚無というか。だから、あえて表現をしないというところが表現になるという面白いところに行きたいと思って淡々と歌っています。やっぱり自分の根底にあるのはこういう世界観なんですよね。カフカになりたいです、私(笑)。絶対にゲーテじゃないと思うから。

対して「めがね」はポップなナンバーですね。

1年くらい前に自宅のピアノで作った曲なんです。ツアー中の制作だったので、アレンジはバンドメンバーの康兵さんにお願いしました。ポップだし、ジャムるくらいの勢いが出ていると思います。私、ほんとに目が悪くて、普段はめがねをかけているんですけど、レンズが分厚すぎて(笑)。でも、そういう姿を見せられる人が増えていくのはすごく嬉しいので、一人称を“僕”にしてこういう歌詞に仕上げました。

そして、「あおぞら」はいきものがかりの水野良樹さんとの初タッグで。

実はこのメロディーは水野さんから結構前にいただいていたんですけど、その時は“世に出すのは今じゃない気がする”と思って。で、『ライオンのグータッチ』のテーマ曲のお話をもらったタイミングでメロディーをいただいた当時に書いた歌詞を書き直して、このかたちになりました。

《白い便箋~》から始まるブロックはグッときました。

私、言葉の力をすごく信じているんですけど、信用し切れていないところもあって。言葉って自分の想いを運んでくれるものではあるんですけど、一滴も残さず掬い取ってくれるとは思えないんです。その言葉と想いの距離を埋めてくれるのが音楽で…だから、私は歌っているというか。歌は容量が無限なんですよ、地球だし、宇宙だし。そういうところで歌っているというのが届いたらいいなと思っています。

取材:竹内美保

シングル「もし君を許せたら」2018年8月1日発売 Colourful Record/ビクターエンタテインメント
    • 【初回限定盤A(DVD付)】
    • VIZL-1402 ¥1,700(税抜)
    • 【初回限定盤B】
    • VIZL-1403 ¥2,200(税抜)
    • ※スケルトンポーチ付
    • 【通常盤】
    • VICL-37405 ¥1,200(税抜)
家入レオ プロフィール

イエイリレオ:1994年12月13日生まれ、福岡県出身。13歳で音楽塾ヴォイスの門を叩き、15歳の時に完成させた「サブリナ」で12年2月にメジャーデビューを果たす。光と影、希望と不安や葛藤など、精神面での深淵を綴った歌詞と表情豊かなヴォーカルで幅広い支持層を獲得。17年2月にデビュー5周年記念で初のベストアルバム『5th Anniversary Best』を発売し、4月には初の日本武道館公演を大成功に収めた。19年2月にはデビュー7周年記念で“Premium Symphonic Night”と題した大阪城ホール公演を成功させた。家入レオ オフィシャルHP

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シングル「もし君を許せたら」【初回限定盤A(DVD付)】
シングル「もし君を許せたら」【初回限定盤B】
シングル「もし君を許せたら」【通常盤】

「もし君を許せたら」MV

OKMusic編集部

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