L→R 山内彰馬(Vo&Gu)、細川千弘(Dr)

L→R 山内彰馬(Vo&Gu)、細川千弘(Dr)

【Shout it Out インタビュー】
最後に託した鳴り止まない
ロックンロールへの熱い想い

8月10日のワンマンライヴをもって解散するShout it Outが新曲5曲と6年間のダイジェストと言える8曲を収録したCD 2枚組のミニアルバム『また今夜も眠れない僕らは』をリリース。最後まで新しいことに挑戦し続けたふたりがそこに込めた想いを語る。

バンドは解散するのですが、これで終わりという雰囲気があまり感じられない作品になっていると思いました。どんな想いのもと、今回の作品を作っていったのでしょうか?

山内
なぜ解散するのかを言葉で伝えることはできるんですけど、それをしてしまうと今まで音楽をやってきたにもかかわらず、音楽じゃなくても良かったという話になってしまうから、音楽を通して訴え続けてきたからには最後も音楽で伝えたいと思いました。
細川
1曲目の「鳴り止まない」が最後にできたんですけど、僕らの最後のCDに入れることを見据えて作った曲なんです。
山内
レコード会社の人から“Shout it Outは解散します。最後にCDを出します。そこから1曲聴いてください!”と言って、その1曲だけで納得させられる曲はあるのかと問われて。たぶん30分ぐらいで作ったんですけど、書きたいものが見つかったと言うより、自分の中にあった“やらなきゃいけないこと”に気付いたという感覚があったんです。

その他の曲はいつ頃作ったんですか?

山内
「アフタースクール」は去年の5月に『ちょっとまて野球部!』という映画の主題歌のお話をもらって書いたんですけど、その曲より「髪を切って」は古くて。原型は僕がまだ10代の頃に書いたんです。すごくいい曲だと思ってたのでリードトラックとして出せるタイミングを待とうと思って、一旦しまっておいたんですけど、今回、新曲を作りながら“今なら「髪を切って」をちゃんと自分たちのものにして出せる”と思ってバンドで作り始めました。
細川
僕らには珍しい曲ですよね。初めて聴いた時、一番印象に残ったのが歌詞なんですけど、改めてレコーディングしてみて今回の他の曲の歌詞の書き方とテイストが似ていると思いました。すごく身近なことを歌ってるような気がするんです。特に「さよならBABY BLUE」は彰馬の周りで起こっていることをそのまま言葉にしているんですけど、「髪を切って」の歌詞も生活感があるというか、彰馬の近いところを歌詞にしているように感じるんですよ。

「髪を切って」は女性目線の歌ですよね?

山内
新しいことをしたかったんですよ。それ以前の曲って創作というよりは主張だったんです。20代を目前にしてアートへの憧れが芽生えてきて、思っていることをただ言うのではなく、周りにあるものをどうドラマチックに脚色するか…そういうことを始めたのが「髪を切って」で。「さよならBABY BLUE」を含めた今回の曲たちはそこからつながっているというか、「髪を切って」を作ったぐらいから始まった変化がやっとかたちになったんです。

「髪を切って」と「さよならBABY BLUE」でSuperfly他を手掛けている松岡モトキさんをアレンジャーに迎えている一方で、「鳴り止まない」「また今夜も眠れない僕らは」の2曲はバンド好きなら、おっ!となるメンバー編成でレコーディングに臨んでいますね。

細川
「また今夜も眠れない僕らは」のベースの三島想平さん(cinema staff)は僕がやりたくてお願いしたら快諾していただけたんです。ギターの上坂仁志(KOTORI)は彰馬がもともと仲が良かったんですよ。
山内
その曲を理解してくれると思ったし、cinema staffに影響を受けているという意味で千弘とルーツが一緒だから、この編成がはまらないわけがないと思いました。
細川
上坂も僕も三島さんのベースを聴いて育ったんです。だから、レコーディングはかなりスムーズでした。上坂も三島さんもスタジオに来た段階で彰馬がしたいことを大体分かっていて、僕らが想像していた以上にはまりましたね。
山内
ふたりともサポートと言うよりは、喧嘩するぐらいの気持ちで来てましたけどね(笑)。そういうぶつかり合いの中で生まれた曲なんです。僕らからしたらそこでも新しい風が吹いて。今回は新しいことをしようとしたわけではないのに新しいことができた一枚になりました。

元・赤色のグリッターの鈴木陸生さんがギター、FOMAREのアマダシンスケさんがベースで参加している「鳴り止まない」は曲も歌詞も簡潔で新境地を思わせますね。

山内
たぶん年齢を重ねるにつれて、どんどん難しいことをやろうとしていたんですよね。でも、一旦それを忘れて原点に立ち帰ろうとした結果、生まれた曲だと思います。バンドを始めた15歳の時の気持ちに少しでも近付きたいと思いながら作ったから、そういう曲になりました。長々と語ることも別になかったんですよ。自分たちが持ち続けてきた意思って、どこに向かう時でも、どんな場所にいる時でもシンプルだったんですよね。

リリース後に行なう最初で最後のワンマンツアーはどんなツアーにしたいと考えていますか?

細川
ラストではなく“1st”とタイトルに付けたのは、終わりを見据えてお涙頂戴のツアーにはする気はないからだし、いつも通り、CDを出したあとにツアーを回るような気持ちで考えています。今のShout it Outをちゃんと観せたいですね。
山内
“ツアーのタイトルを考えて”って言われて、最後なのに“1st”って言ってるのはめっちゃカッコ良いなって思いながらスタッフさんや千弘に送ったら、案の定“いいね!”って返ってきて。そうだろうと思いました(笑)。お客さんにも“くっそー”と思わせたい。それはもちろんライヴでも。ほんとに一発勝負なので、頑張らなきゃって思ってます。勝ち逃げをしたいですね。

取材:山口智男

ミニアルバム『また今夜も眠れない僕らは』2018年7月18日発売 ポニーキャニオン
    • PCCA-04681
    • ¥2,000(税込)
    • ※CD 2枚組

『Shout it Out 1st ONEMAN TOUR「嗚呼美しき僕らの日々」』

7/23(月) 岡山・CRAZYMAMA 2ndRoom
7/25(水) 福岡・graf
7/27(金) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
7/30(月) 香川・TOONICE
8/02(木) 愛知・APOLLO BASE
8/04(土) 長野・ALECX
8/06(月) 北海道・COLONY
8/07(火) 宮城・enn 2nd
8/09(木) 東京・マイナビBLITZ赤坂 ※追加公演
8/10(金) 東京・duo MUSIC EXCHANGE

Shout it Out プロフィール

シャウト・イット・アウト:2012年4月、高校の軽音楽部のメンバーで結成。地元である大阪府堺市を拠点に活動中。15年の『未確認フェスティバル2015』では3,254組の中からグランプリを獲得。16年7月にシングル「青春のすべて」でメジャーデビュー。同年9月にメンバーの脱退があり、山内と細川のふたり体制に。18年7月から8月にかけて行なう初のワンマンツアーをもって解散することを発表している。Shout it Out オフィシャルHP

L→R 山内彰馬(Vo&Gu)、細川千弘(Dr)
ミニアルバム『また今夜も眠れない僕らは』

OKMusic編集部

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