【NakamuraEmi ライヴレポート】
『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5
~Release Tour 2018~』
2018年6月27日
at EX THEATER ROPPONGI
最新アルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』を引っ提げ、アコースティックな二人編成とバンド編成の2本立てで行なわれた全国ツアー。史上最大の会場をオーディエンスが埋め尽くした東京公演で、“後ろまでいっぱいいて、もう泣きそうだ…絶対泣かないぞ!”と唇を噛んだNakamuraEmiは、その感謝の想いを赤裸々すぎる歌にありったけぶつけていった。大人が持て余す“欲”をテーマとする「Don’t」で軽やかに幕開けて以降、歯切れ良いヴォーカルで放たれる痛快なメッセージは、曰く“36歳の自分は10代から見たら立派な大人。でも、50代、60代から見たらまだ若造”という迷いの多い世代ならではのもの。そこで核となっていたのが“自分の敵は自分”というポリシーで、震えながら何度でも立ち上がる無様な姿を肯定する「かかってこいよ」には、とりわけ熱く胸を揺さぶられた。さらに、ミニマムな音とやさしい歌が真心を歌ったメッセージを際立たせる「新聞」から満場のクラップの中で自身の転換点をパワフルに綴る「メジャーデビュー」では音楽的ふり幅も提示。続いて、“初めて他人のために書きたいと思った曲”とソウルフルに謳い上げた「教室」では、“伝える人間”としての進化も強く感じさせられた。
常にリアルな経験から曲を生み出してゆく彼女が“コミュニケーションを大事にした曲が集まった”と語る最新作。Calmeraの辻本美博(Sax)をゲストに迎え、「モチベーション」でファンクに鳴らした“私次第だった”の叫びと、小さな身体で目いっぱい跳ねる姿には、それら全てを振り切る強さがあった。
撮影:TAKAO IWASAWA/取材:清水素子
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