【ライブレポート】感覚ピエロ×グッ
ドモーニングアメリカ、「あなた自身
の素晴らしい未来を」

感覚ピエロが3月から開催している47都道府県ツアー<KKP TOUR またイかせてもらいます!!47都道府県全国津々ムラ×2!! デリバリー感覚ピエロ!!~チェンジだなんて言わせない~>の33本目が福井CHOPで行なわれた。
ツアーも後半に差しかかり、対バンに迎えたのはグッドモーニングアメリカ。2018年、現メンバーになって10周年を迎えたグドモは自身のアニバーサリー活動が盛り上がりを見せるなか、福井と富山の2日間で、感覚ピエロとのツアーに参戦。熱いライブを繰り広げた福井公演の模様をレポートする。

▼数式とライオン
オープニングアクトは、感覚ピエロが立ち上げたレーベルJIJI INC.に、自身以外で初めてデビューするアーティストとして発表された数式とライオン。バンド名とデビュー作『MAKES』、そしてSNSアカウントが発表された以外は、一切謎に包まれた男女混成3人組バンドだ。

「福井には初めて来ました。初めて見る人が多いと思いますが、どんどん活動していきます」と、女性ドラマー田口の初々しい言葉を届けると、通好みの濃厚なグルーヴを軸にしながら、サビで爆発するキャッチーな歌でフロアの心を掴んだ。

▼グッドモーニングアメリカ
グッドモーニングアメリカは、たなしん(B)がフロア後方から登場するという意表を突く幕開けだった。ペギ(Dr)が繰り出すノリのいい軽快なビートにのせて、これまで全国のライブハウスから日本武道館、各地の大型フェスなど、いくつもの会場を根こそぎ踊らせてきた必勝のライブアンセム「キャッチ・アンド・リリース」や「アブラカタブラ」で、ぎっしりと埋め尽くされた福井CHOPのフロアに熱狂を起こしていく。

「感覚ピエロとは初めての対バンなんですけど、「O・P・P・A・I」っていう曲があるんでしょ? 今日やるかなあ」──渡邊幸一(G)

そして、7月にリリースするベスト盤のファン投票で1位に輝いた人気曲「言葉にならない」から、そのベスト盤に新曲として収録されるソリッドでスリリングな“攻めのグドモ”が凝縮された「Darwin's Train」などを披露した。
MCでは、「あっきー、たっきー、よこちん……あと、筋肉でしょ(笑)」と、初対面の感覚ピエロのメンバーを親しみ込めた愛称で呼び、会場の笑いを誘う場面も (“筋肉”とは、ジムで鍛えている西尾(Dr)のこと。楽屋では、同じくジム通いが日課のペギと意気投合していた)。

ラストの「空ばかり見ている」は圧巻だった。伸びやかな金廣真悟(Vo/G)の歌声に導かれるようにして、フロアから巻き起こるウォーウォーという特大のシンガロング。気づけば、一緒に歌わずにはいられなくなる、それこそグドモのライブの醍醐味だ。

▼感覚ピエロ
「俺らとガチでやれるやつ、どれぐらいいるんだ?」という横山直弘(Vo/G)の挑発的な言葉を合図に、会場にミラーボールの美しい光が放射されると、ギラギラとしたEDMナンバー「CHALLENGER」から、感覚ピエロのライブはスタートした。秋月琢登(G)と滝口大樹(B)が激しく暴れまわりながら繰り出した衝動的なロックナンバー「疑問疑答」から、テクニカルな演奏が織りなす緻密なグルーヴにオトナの言葉遊びをのせた「無い ナイ 7i」、バンドの持ち味である“エロ”の部分を強く打ち出したダンスナンバー「ワンナイト・ラヴゲーム」へと、最新アルバム『色色人色』に収録され、誰の心にも一足飛びで踏み込んでゆける全方位型ロックナンバーを容赦なく畳みかけていく。
最初のMCでは、横山が、3年前の47都道府県ツアーでは、Brian the Sunと、地元・福井のNicetime Workerzとステージに立ったことを振り返ると、「また俺たちが本当に大好きなバンドと、冠背負って、ここに立っていることを嬉しく思います。元気だったか?」と、まるで懐かしい旧友に再会したような親しみを込めた言葉を投げかける。お客さんの歌声を巻き込みながら踊らせる狂騒のダンスロック「CRAZY GIRL」から、激しく明滅する照明のなかで、リリース音源とは一味違う助走をイントロに加えた「チェシャ」への流れは、演奏の狂気とえぐみが最高にカッコいいタームだった。それに加えて、自由奔放な展開で聴き手を翻弄する「変幻」を含む中盤の流れは、今回の<47都道府県ツアー>のライブで、最も肝になっている部分だと思う。各会場で少しずつセットリストは異なるが、この中盤で、いかにディープな世界観を生み出し、巻き込んでいけるか。そういう自分自身との闘いを、彼らは全会場で繰り広げている。
ライブがクライマックスへと向かうなか、横山が「今日は富山、もっとクールになるかと思ったら……あ、ごめん!富山じゃない!!」と、地名を間違える痛恨のミス。「お前、ライブハウスごと敵にしたぞ(笑)」と秋月に突っ込まれつつ、仕切り直して、「福井がこんなに熱くなると思ってなかった、ありがとうございます!……このあと、何を言っても説得力がなくなるかもしれないですが(笑)、今日来てくれるみんなのことが大好きです」と言ってから届けたのは「さよなら人色」だった。今回のツアーで引っ提げている最新アルバム『色色人色』のなかでも、ひときわエモーショナルなその歌は、出会いと別れを繰り返す人生のなかで、誰かの色に染まりながら“愛すること”をテーマにした心揺さぶるナンバーだった。
みんなで手に持つタオルをぐるぐると回した「A BANANA」、横山の「ライブハウスでは俺がルールだ!」という煽り文句で“おっぱい”のコール&レスポンスを巻き起こした「O・P・P・A・I」のあと、変態ラブポップ「LOVE GENERAL」では、お客さんが両手で作る“ハートマーク”がフロアを満たす光景は素晴らしかった。ラスト1曲は、「ハルカミライ」。未来へと突き進むポジティブなエネルギー溢れた楽曲に寄せて、横山は語りかけた。「3年ぶりにこの場所に戻ってきました。あの時は、いま思い返してもペーペーでした。今だってペーペーです。だけど、あの頃の信念だけは貫き通してきたつもりです。俺たちのツアーに来てシェイクハンドしてくれる、あなたを絶対に裏切らないっていう想いは曲げないできました。最後のメッセージです。あのドアの向こうにある、あなた自身の素晴らしい未来を手に入れてください!」と。そして、強烈な光が4人の背中を照らすなか、全身を使いながら渾身の力で鳴らす壮大なロックナンバーは、紛れもなく明日への希望の音だった。
アンコールでは、「3年前に来た時よりも、俺らを待ってくれてる感じがビンビン伝わってきました」と横山。その言葉のとおり、福井CHOPのお客さんは最初から最後まで温かかった。東京と比べると、福井は多くのバンドの通常のツアーでは、日程に組まれることが少ない場所だと思う。そういう土地だからこそ、3年ぶりに帰ってきた感覚ピエロを熱烈に迎えるムードがすごかった。そんなお客さんへの感謝の気持ちとして、アンコールでは、今回のツアーでは滅多に演奏しない「メリーさん」を披露。そして、「本当にありがとう。ラスト1曲は、君に届けた音楽を、君の声でここに返してもらっていいですか!?」と伝えると、バンドの名前を一躍お茶の間に広げるきっかけとなったドラマ『ゆとりですがなにか』主題歌「拝啓、いつかの君へ」で、大合唱を巻き起こしてライブは幕を閉じた。
   ◆   ◆   ◆

ライブを終了直後の楽屋裏でメンバーから同ライブの感想を訊いた。

「あっと言う間に33本目ですね。前回廻った場所に、また帰ってこれてる感じがあるんです。福井はいいお客さんでした。グドモの時も、俺らの時も同じように盛り上がってくれて。それは純粋に音楽が好きじゃないとできないと思うんですよね」──滝口

「まず福井のみなさん、富山って言ってごめんなさい!土下座です。グドモのライブは最高でした。うちのお客さんが多いはずなのに、あれだけの空気を作れるのは、アミューズメントですよね。その刺激を受けたから、今日はすごく良いライブができました」──横山

   ◆   ◆   ◆

感覚ピエロの47都道府県ツアーは、いよいよ最終盤へ向けてラストスパートだ。次回は、7月6日に兵庫 music zoo KOBE 太陽と虎で開催される9mm Parabellum Bulletとの対バンにて、対談とレポートをお届けする予定だ。

取材・文◎秦理絵
撮影◎釘野孝宏

■<47都道府県ツアー2018『KKP TOUR またイかせてもらいます!!47都道府県全国津々ムラ×2!! デリバリー感覚ピエロ!!~チェンジだなんて言わせない~』>
03月04日 愛知 Zepp Nagoya
03月09日 東京 Zepp Tokyo
03月01日 埼玉 西川口HEARTS
03月11日 静岡 UMBER
03月17日 大分 DRUM Be-0
03月18日 宮崎 SR-BOX
03月02日 鹿児島 SR-HALL
03月21日 熊本 熊本 B月9 V2
03月23日 福岡 DRUM LOGOS
03月24日 佐賀 Live House GEILS
03月25日 長崎 DRUM Be-7
03月31日 山梨 甲府KAZOO HALL
04月01日 長野 松本ALECX
04月04日 岩手 盛岡CLUB CHANGE WAVE
04月05日 青森 青森Quarter
04月07日 栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
04月08日 千葉 柏ThumbUp
04月13日 広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
04月14日 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
04月18日 愛媛 松山サロンキティ
04月02日 高知 高知X-pt.
04月21日 香川 高松DIME
04月22日 徳島 徳島club GRINDHOUSE
05月16日 秋田 秋田LIVESPOT2
05月17日 山形 山形ミュージック昭和セッション
05月23日 群馬 高崎club FLEEZ
05月26日 茨城 水戸LIGHT HOUSE
05月27日 神奈川 横浜BAYSIS
05月31日 福島 郡山 CLUB #9
06月01日 宮城 仙台CLUBJUNKBOX
06月03日 新潟 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
06月06日 石川 金沢LIVE HOUSE vanvanV4
06月09日 福井 福井CHOP
06月10日 富山 富山MAIRO
06月17日 北海道 Sound Lab mole
06月23日 岐阜 岐阜CLUB ROOTS
06月24日 三重 松阪M'AXA
06月30日 和歌山 和歌山GATE
07月01日 奈良 奈良NEVER LAND
07月06日 兵庫 music zoo KOBE 太陽と虎
07月07日 京都 京都MUSE
07月08日 滋賀 滋賀U★STONE
07月14日 鳥取 米子 AZTiC laughs
07月15日 島根 松江 AZTiC canova
07月16日 山口 LIVE rise SHUNAN
07月21日 沖縄 桜坂セントラル
07月28日 大阪 なんばHatch
■感覚ピエロ Digital Single「一瞬も一生もすべて私なんだ」

主要配信サイトにて配信中
▼iTunes
https://goo.gl/UnUKry
▼Apple Music
https://goo.gl/hvoKNs
■10周年記念ファンチョイス ベストアルバム「the BEST HIT GMA」
7月11日(水)発売
初回限定盤:COZP-1450〜1451 ¥3,333+税
通常盤:COCP-40366 ¥2,778+税
【CD収録曲/初回限定盤、通常盤共通】
1.Darwin’s Train
2.言葉にならない
3.未来へのスパイラル
4.空ばかり見ていた
5.カラツ風ガ吹キツケル
6.餞の詩
7.そして今宵は語り合おう
8.イチ、ニッ、サンでジャンプ
9.あなたの傍に猛ダッシュで
10.ひこうき雲
11.ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
12.マリオネット演者ノ詩
13.STAY WITH ME
14.コピペ
15.心臓抉って
16.アブラカタブラ
17.キャッチアンドリリース
18.拝啓、ツラツストラ
19.風と鳴いて融けてゆけ
【DVD (初回限定盤のみ付属)】
ベストアルバム完全再現ライブ「GMAオールスター感謝祭」2018.5.8代官山UNIT
1.風と鳴いて融けてゆけ
2.拝啓、ツラツストラ
3.キャッチアンドリリース
4.アブラカタブラ
5.心臓抉って
6.コピペ
7.STAY WITH ME
8.マリオネット演者ノ詩
9.ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ
10.ひこうき雲
11.あなたの傍に猛ダッシュで
12.イチ、ニッ、サンでジャンプ
13.そして今宵は語り合おう
14.餞の詩
15.カラツ風ガ吹キツケル
16.空ばかり見ていた
17.未来へのスパイラル
18.言葉にならない
*初回限定盤、通常盤ともに、CD全収録楽曲をスマホで簡単再生できる「プレイパス」コード封入


for better, for worse ベストアルバム「COMPLETE BEST」

7月11日(水)発売
COCP-40367 ¥2,315+税
1. I’m sorry, thank you
2. Drop a curtain with kiss scene
3. Love it more
4. Bluestar
5. Angel's ladder
6. 350 miles away
7. A waning moon
8. A landscape back to us
9. Heartstrings
10. Unchangeable
11. In the rain
12. Never forget your mind
13. Can you hear?
14. Dancing queen
15. A waiting room
16. August 9
17. I can't remain
18. From bottom of my heart


■<グッドモーニングアメリカ「the BEST HIT GMA tour 2018」>

7月19日(木)八王子Match Vox
guest:TOTALFAT
7月24日(火)高松DIME
guest:ircle
7月25日(水)博多Live House CB
guest:フラリナリズム
7月26日(木)熊本Django
guest:フラリナリズム
8月07日(火)KYOTO MUSE
guest:BUZZ THE BEARS
8月08日(水)岡山IMAGE
guest:BUZZ THE BEARS
8月26日(日)DUCE Sapporo
guest:Halo at 四畳半
9月11日(火)仙台JUNK BOX
guest:GOOD4NOTHING
9月22日(土)名古屋ElectricLadyLand
guest:アルカラ
9月25日(火)大阪BIGCAT
guest:BIGMAMA
9月28日(金)マイナビBLITZ赤坂
guest:for better, for worse

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