【魔法少女になり隊
ライヴレポート】
『魔法少女になりな祭 vol.4
~トイスと叫び隊~& vol.5
~長崎が産んだ三人隊~』
2018年6月22日、23日 at 代官山UNIT
それにしても両日ともに強力な対バンを迎えたものだ。まず、22日のPOLYSICS。さすがに結成20周年を超えた世界を股にかけるベテランバンドである。眼前で行なわれてる演奏、パフォーマンスは、もはや“すげぇ”としか形容できないものであった。テクノ、ニューウェイブにハードコアパンクを注入したかのようなサウンドと、シュールかつシアトリカルなステージングで、ステージを不思議な空間に作り上げる。“バンドをやる前からPOLYSICSが大好きだった”とgari(VJ&Vo)がMCで述懐していたが、メンバーも感慨はひとしおだったであろう。ロックバンドはこういうこともできるんだ!という可能性を考えても、今のましょ隊がリスペクトを公言するPOLYSICSと競演したことは意義深いことだったのではと思う。
一方、23日の対バンのSHANKも“すげぇ”バンドであることは疑う余地がない。3ピースというシンプルなバンド形態で、サウンドの基本はスカパンクであるものの、楽曲の端々にそこに止まらない拡張性の広さようなものが垣間見える。ポテンシャルの高さは間違いなくロックシーン屈指と言えるであろう。“なぜ、僕らを呼んでくれたのかよく分からないんですけど(苦笑)”と庵原将平(Vo&Ba)は言っていたが、本来、面識のない人たちから誘われても対バンしないというSHANKが、ましょ隊と顔を合わせたというのはなかなか興味深いところ。もしかすると、この日の対バンはのちに歴史的な邂逅だったと言われるようなものになるかもしれない。
さて、迎え撃ったましょ隊。正直言うと、両日とも“こんなすげぇバンドのあとで、ましょ隊は大丈夫か!?”なんて、ほんのちょっと思ったりもしたのだが、そんな心配は御無用。ホストとして見事にテンションの高いステージを展開し、オーディエンスもしっかりとそれに応えていた。昨年1stフルアルバム『魔法少女になり隊~まだ知らぬ勇者たちへ~』を発表して全国ワンマンツアーを行なったことはもちろん、このイベントの数日前にリリースされたニューシングル「▶START」の効果も確実に出ていたと思う。童謡「アルプス一万尺」のメロディーを取り込んだ「▶START」。ソカのリズムでサビはみんなでタオル回しの「シェキナゴン」。ブギー~スカビートのメンバー曰く“ホラー系”ナンバー「ミッドナイトシンドローム」(23日のみ)。gariがシャウトではなくラップに挑んだ「変幻自在のスパーキングZ」(22日のみ)。最新作で見せた楽曲の緩急がライヴステージでも活きた。
これまでアップチューンが続くとやや一本調子になりがちだったが、新曲が加わることで勢いを殺すことなく、バリエーションを見せることに成功していたと思う。また、それを余裕という言葉で説明していいのかどうか分からないけれども、ステージ上のメンバー全員、いい意味で自然体だったような気がする。火寺バジル(Vo)の時折見せるドSチックな眼差しや、明治(Gu)の無表情だからこその凛とした感じも、それはそれでましょ隊の特徴でもあるのだが、今回は両日とも彼女たちの笑顔が多く見られたのはよかった。汗びっしょりでギターをかき鳴らすウイ・ビトン(Gu)はいつも以上に活き活きしていた印象だったし、VJに加えてシャウト&MC担当と、このバンドで最も休みなく動き回っているgariも元気いっぱいの様子だった。このイベントでもまた、彼女たちが多くの経験値を獲得したことは間違いない。
撮影:yusuke saatou/取材:帆苅智之
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