寿君

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【寿君 インタビュー】
“これならどうだ!”と
攻めさせてもらいました(笑)

メジャー移籍以降、さらにポジティブなヴァイブスを聴き手と分かち合うべく活動中の寿君。そんな彼のメジャー1stアルバム『ニューレベ』は広い層やフィールドへのアプローチと、自身の立ち位置や役割をより明確化した一枚となっている。

昨今の寿君の活動からは“もっとレゲエを身近に感じてもらいたい”的な想いが強く伝わってきますよ。

それは非常にありますね。レゲエミュージックももっとお茶の間やCMソング、テレビ番組とかに使われてもいいんじゃないかなって。レゲエはタイプはさまざまなれど、どれも力をもらえる音楽ですから。そんな中、僕の歌をきっかけに“これ歌ってるの誰なん?”“寿君っていう人らしいよ”と、そこからレゲエを知ってもらったり、触れてもらえたりするのが本望ですね。人生が変わるほどの大きいものをゲットしてもらえたら最高です。街中に普通に自然に僕やレゲエの歌が流れていて、いろいろな人の耳に入る。そこまでになれるのが理想です。

過去も先人たちがそこに挑みつつ、一部以外なかなかそこまで到達できていない現状ですが、寿君的にはそこに辿り着くために何か秘訣でも?

レゲエに対する悪印象の払拭ですかね。まだまだレゲエに怖いイメージを抱いている人も多そうですから。あと、クラブだけの文化やと思われていたり。確かにそんな一面もあります。だけど、俺らはそんなんちゃうし。ほんま、レゲエから力をもらってますから。月~土まで一生懸命頑張って働くんも、日曜にみんなと遊ぶ楽しみが待ってるからやし。それを生き甲斐や楽しみに働いてる。ただそれだけなんです。そこにレッテルや変なイメージ、先入観はいらない。いい音楽やし、親しみやすい音楽やから身近にもっとあっていいと真剣に思ってますから。あと、僕の場合、これだけレゲエに人生を変えてもらったんで、逆に僕の音楽で“人生が変わった”なんて人も増やしたい。人の心を動かしたり、鼓舞したり、何かを始める衝動を起こさせたり…それを僕の歌で実現させたくもあります。

それをやはりレゲエのシーンのみならず、このJ-POP的な広いフィールドで実現しようと?

そうですね。やはりこの日本で、日本人として、日本語で歌っているからには、同じ国の人にもっとジャンル関係なしに聴いてもらい、そのヤバさを感じてもらいたいんです。いずれは家族連れや子供たちまでも知っていて、それをよくよく紐解くとレゲエという音楽やったみたいな。今はそんな意識のほうが高いんです。

まさに今の言葉が丸々収まっているのが、このメジャー1stアルバム『ニューレべ』ですね。今作からはすごくダンスホール/レゲエのマナーを踏襲しつつ、きちんとJ-POPのフィールドに落とし込んだ感がありますし。

メジャー1stアルバムなので、その辺りは意識しました。メジャーのレゲエ以外の人たちと並べられて聴いてもらった時に、ちゃんと勝負できる楽曲や作品にしたくて。もちろん今までのスタイルをガラッと変えたりする取り組みではなく、今作を制作するに当たり、もう一度見つめ直したのは“自分がどのようなきっかけでレゲエが好きになったか?”だったんです。

そのきっかけは何でしたか?

力をもらえ、盛り上がれ、自分と近い気持ちを歌ってくれていたり…しかも、ラブソングもあったり。そのフレキシブルさや幅の広さ、それからどれにも根付いている前向きな気持ちや精神ですね。なので、その辺りをタイプは違えど、各曲に入れ込んでみました。今はいろいろな方法で多くの人に伝えたいですからね。それもあり、あえて間口は広く持ちました。

ほんとにいろいろなタイプのチューンが収まってます!

全体的に“これならどうだ!”と攻めさせてもらいました(笑)。踊れる曲からバラードまで幅広く。聴いてくれる方にどの曲かは引っかかってほしくて。いろいろなことができるのも自分の特性のひとつですからね。

さまざまタイプや背景の曲たちですが、どこか“ライフスタイル”という一本の基軸を感じました。

そこなんです! レゲエDee Jayとはリアルな生き様をリリックにし、歌うものだと考えてます。それを基軸にしつつ、アルバムの真ん中に向けてグワッと盛り上げていきたくて。後半はゆっくり目の曲を入れて最後はデザートをって。“僕、やわらかいのもできますよ”も感じてもらいたかったし。

あと、どの曲もすごくメロディアスですね。

レゲエって基本、歌もの以外はあまりメロディアスじゃないですからね。Aメロ~Bメロ~サビみたいな楽曲構成もないし。もちろん刻んだフロウで韻を踏む基本スタイルはカッコ良いんですが、音楽はやはりメロディーがあると歌詞も入って来やすいですよね。だから、特に最近はBメロに興味があって。雰囲気が変えられるんです、Bメロがあると。それを経たドラマ付け等もできる。それらも含めて、あまりレゲエやダンスホールにこだわらないフレキシブルな楽曲構成で挑みました。

それも手伝って非常に聴きやすく聴き飽きない、かつドラマチックさもあるという。そんな中、TUBEの有名曲をサンプリング導入した「あー夏休み」は耳を惹きました。

この曲は昔、僕が友達に“TUBEの前田亘輝さんみたいになりたいな”と語っていたことが実現した曲でもあります。やっぱ“国民的な夏男”と呼ばれるだけあってすごい人ですからね、前田さんは。そこから“レゲエも夏やん!”となり、“じゃあ、俺はレゲエ界の夏男になるわ!”って。で、ある時、カラオケで「あー夏休み」を歌って褒められて“これだ!”と。AメロBメロは寿君テイストを出しつつ、サビはあえてほぼそのまま踏襲させてもらいました。原曲中のワードも自分なりに引用したり、別解釈を交えて歌ってみたり。上手いことサンバとソカと足回りを僕たちのクラブミュージック寄りに合わせてくれてます。原曲と聴き比べても面白いでしょ? そうそう、この曲のMVではダンサーたちと踊ってるんですけど、みんなで一緒に踊れる簡単な振り付けがあるのもポイントで。ぜひ曲に合わせて一緒に踊ってほしいです。自分で言うのも何ですが、この曲も含め全体的にかなりニューレベルなアルバムになっているので。

タイトルの“ニューレべ”は“ニューレベル”って意味ですもんね。

そうなんです。“新しいレベルにみんなで一緒に行くぞ!”的な意気込みを込めて付けました。みなさんのニューレべへのきっかけやお供になれればいいなって。僕はレゲエというフィールドで育ったひとりの歌い手やけど、そんなことにとらわれず、ひとりの日本の歌手として、この日本の国で、日本人にどれだけ自分の音楽を浸透させ、どれだけ幸せや楽しみを与えられるか。それを立証するためにも、さらにレベルを上げていきたいんです。ぜひ今作を友に、一緒に成長し、ニューレべに行きましょう!

取材:池田スカオ和宏

アルバム『ニューレベ』2018年7月18日発売 Virgin Music
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TYCT-69129 ¥3,500(税込)
    • 【通常盤】
    • TYCT-60119 ¥2,500(税込)
寿君 プロフィール

コトブキクン:2006年に出身地である奈良県でマイクを握り始め、2010年に“寿君”に改名。iTunesランキングやオリコンなどで上位を果たすなどインディーズで数々の記録を残し、YouTubeにアップされたPVは現在100万再生超えが10曲に到達! 20代を中心にその影響力も大きい。寿君 オフィシャルHP

寿君
アルバム『ニューレベ』

「一人じゃない」MV

「あー夏休み」MV

OKMusic編集部

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