5月19日(土)@河口湖ステラシアター photo by 釘野孝宏

5月19日(土)@河口湖ステラシアター photo by 釘野孝宏

angela、15周年記念公演で
ベスト盤発売&日比谷野音ライブ発表

キングレコードからデビューしたその瞬間から、アニメを音楽で支え続けて15年を数える男女ユニット・angela。その記念すべき15周年を、5月19日(土)に河口湖ステラシアターにてぢぇらっ子(=angelaのファン)約2,000人とワンマンライブで祝った。

2003年にTVアニメ『宇宙のステルヴィア』オープニング主題歌「明日へのbrilliant road」でデビュー。その後、『蒼穹のファフナー』シリーズや、『K』シリーズといったシリアスな作品から、『生徒会役員共』や『アホガール』などのギャグ作品、ゴリゴリのロックから美しいバラード、行進曲、音頭まで、彼らにできないジャンルはないのではないかというほどのバイタリティだが、その真価はライヴで昇華する。さらに今回は15周年の節目となるライヴ。それを全身で味わおうと訪れたファンを、河口湖ステラシアターの敷地に入るとすぐに、たくさんのファンから贈られた色とりどりのガーランドが風に揺れ、目に鮮やかに迎えた。

『蒼穹』と言って遜色無い素晴らしい青空の下、たくさんの球体に収められたミラーボールのオブジェが、太陽の光をいっぱいに受けて宝石のように光り輝く美しいステージに、背後には雄大な富士山がくっきりとそびえ、ファンのヴォルテージはいきなり急上昇。「over the limits」のイントロで登場したangelaに歓声が沸き起こる。裾が軽やかなフォークロア風味のドレスに身を包むatsukoは、天気を象徴するような濃い黄色の太陽カラー。KATSUもナチュラルな色味のロングトップスに黒いサルエル風パンツに加え、atsukoと同系色の差し色が効いたスカーフと飾りリボンがあしらわれている、一体感のある衣装。疾走感のあるサウンドが会場の解放感をさらに増幅する。

KATSUは1曲目から、いきなり激しくかき鳴らしたギターをパワフル水鉄砲二丁に持ち替え、太陽の陽気に火照った客席に向かって放つという大胆なパフォーマンス。それに加え、スケールの大きい河口湖ステラシアターを歌声で完全に制するatsukoという圧に、ファンは何倍もの声援と拳で応えた。畳みかけるように「蒼穹」、「イグジスト」と『蒼穹のファフナー』シリーズを彩る切れ味するどいロックが続く。鋭い視線で凛と抜けるように歌うatsukoの声が空に響きわたり、KATSUはシルバーのギターをかき鳴らしながら会場を煽った。

「Jump up!」でタンバリンを手にしたatsukoが客席を挑発するように盛り上げる。『アホガール』OPテーマ「全力☆Summer!」ではKATSUが太陽に反射してさらに輝きを増すスルドを雄々しく叩きながら客席へ。ファンが振り回すタオルの海の中を、atsukoも音楽ジャンルが目まぐるしく変わるこの曲を自在に歌いながら泳ぐようにめぐる。ステージから至近距離に移動するという思わぬ演出にファンは大興奮。熱気は最高潮だ。

きらめくシャボン玉に彩られたのは「feel, like a breeze」。流れるような美しいメロディーラインをなぞるatsukoの歌声がいくつもの小さな虹色の球とともに会場に沁みわたっていく。続く「fly me to the sky」は、タイトルをなぞるようにステージサイドのタワーを空に向かうように登っていくKATSUを、ファンは眩しそうに見つめた。タワーの頂上ではKATSUを追いかけていたムービーカメラマンから機材を拝借して客席のファンを撮影するお茶目なシーンも。

客席に向かって張り出すように作られた半円形のステージに移動して、次に贈られたのはアコースティック編成での語りかけるような「涙が止まるまで」。ぬくもりある空気が浸透した後の「Separation」は心を揺さぶるほどの切実さに会場はしんと静まる。ファンは間近で鳴るアコースティックのストレートな音色と歌声に、黄昏時が温かくも冷たくも感じられただろう。

メインステージに戻って繰り出されたのはTVアニメ『K』第一期最終回のエンディングを飾った「To be with U!」ファンキーさとウェットなロックサウンドに会場では青いペンライトが一斉に躍る。もう陽がかなり落ちた会場が美しく彩られた。そして、事前に予告されていた、7月からスタートする劇場アニメーション『K SEVEN STORIES』のEpisode 1~6共通のオープニング主題歌となる「SURVIVE!」をライヴ初披露。曲に呼応するように吹き上がる炎を前に、攻撃的なほど激しいロックを繰り出すangelaに、フルコーラスを聴くのは初めてのはずにもかかわらず、よく知っている曲かのように完璧なコール&レスポンスを返すファン。ステージと客席が一体化する気持ちよさをatsukoもKATSUも満面の笑みを称えて受け取った。

さらに今回が音源としてもライヴとしても初めての披露となったのは『K SEVEN STORIES』のEpisode 1“R:B ~BLAZE~”のエンディング主題歌「BLAZE」。霧のようにスモークが薄くステージを覆う中で扇情的に歌うatsuko。KATSUが激しく髪を乱しながらギターを鳴らす間奏では、ステージを舞うようにatsukoが長いスカートを翻していた。

「こんなところにタオルが」ととぼけた調子でatsukoがタオルを用意すると、客席も待ってましたとばかりにタオルを手に。「Shangri-La」のイントロが始まると客席全体がもう体に染みついているがごとく完璧なタイミングでタオルが躍る。このまま走り抜けると思うと、その想像の必ず上をいくangela。続いてファンに贈られたのは「果て無きモノローグ」。仄明るくともるかがり火のような炎が揺らめく中、客席は青のペンライトで彩られ、海底に沈んでいくような感覚を覚えさせるバラードが静かにファンの心を揺さぶっていった。

その空気を180度変えて河口湖ステラシアターの会場の名前にも合う「Galactic material」で宇宙へ。atsukoの渾身の投げキッスに会場から歓声が沸いた。KATSUが大太鼓を叩き始まった「騎士行進曲」でファンはビッと背筋を伸ばし、『シドニアの騎士』のファンは一目でそれと分かるであろう“カビザシ”を振るatsukoの声が力強く響き渡ったが、ファンがそれに答えるように最後のサビで大合唱。その声に耳を傾けるangelaが、誇らしげな表情を浮かべたように感じられた。

本編最後に届けられたのは、デビュー曲「明日へのbrilliant road」。ステージを飾っていたオブジェが一気に光を放った。それぞれいくつものミラーボールを巨大な球体が覆う造形物が一斉に花弁を開げたように照明を反射して、たくさんの細やかな光の粒をステージの背面、ステージ、そして客席に投げかける。atsukoが「本当に宇宙でライヴをしているみたい」というほどの異次元空間が広がる。見ている方も光の粒子の中に見るangelaはもはや“魔法”。会場中に溢れ出る光はangelaのデビューからの15年の時を、そして今この瞬間をともに味わっている会場のファンを祝福しているようだった。

夢から覚めたくないかのように起こるアンコールに登場したangela。衣装はガラッと変わり、アシンメトリーなショート丈の白とシルバーのドレスのatsukoと、同じく白とシルバーを基調として、背中側のデザインがふわりと長いセットアップのKATSU。背後のミラーボールのように、照明に映える衣装で最初に届けたのは「KINGS」。サビ頭の歌詞の“Big bang”に合わせて大輪の打ち上げ花火が空に咲いた。さらに同じくサビの“Big wave”に合わせてブロックごとに色分けされたペンライトを振るファンがステージを左右へ駆け抜けるatsukoに合わせて歌詞通りにビッグウェーブを起こした。

「angelaを信じてついてきてね!」atsukoの叫びと共に贈られた「DEAD OR ALIVE」ではミラーボールが様々な色で光り輝いた。さらに火柱と言って過言ではない炎が上がり、頭を指のピストルで撃ちぬく仕草をしたKATSUは映画のワンシーンのよう。さらにすべての照明がatsukoに一瞬で集まって、身を激しく揺らしながら歌う様子は神々しくもあった。

いたずらっぽくKATSUを見ながら「よく“通過点”っていう言葉を言う人がいるじゃないですか。」とatsukoが言う。「でも通過点って、続けていかないと無いものじゃないですか。慣れ合いじゃなくて、常に新鮮なangelaを魅せていきたい。angelaをこれからも続けていくことを、“約束”します」と贈られたのは「約束」。ゆったりと光の粒がめぐる中でファンとの約束を歌でつづるようなatsuko。曲の終盤ではマイクを下ろし、ダイレクトに生声でファンに歌でメッセージを伝えた。アカペラの説得力を後押しするようにたくさんの花火が上がり、ファンはその約束を受け取った証である大きな拍手をangelaに贈った。

ステージを後にしたangelaを再び熱いアンコールが呼び戻した。Tシャツ姿に着替えたangelaのダブルアンコールの1曲目は「シドニア」。赤いペンライトをそれぞれ灯しつつ、ファン全員が敬礼。厳粛な空気の中KATSUのライヴ定番の名台詞に、ファンはしっかりと答えた。コール&レスポンス、さらに炎もあがり、色とりどりの花火が打ちあがった。この夢のような瞬間をこのまま終わらずにいたい気持ちがステージと客席で完全にシンクロする中、この日の最後の曲としてドロップされたのは「KIZUNA」。ここまで20曲以上を歌ったatsukoだが、まだ伸びるかという声量を会場に響かせた。もうこれ以上はないほどの連発で花火が空を明るく照らし、ミラーボールはさらに美しく輝いて、光の粒で会場を満たす。

この時点ですでに開演から3時間を優に越していたが、atsukoが曲の振りの代わりに言った「この“絆”があれば、angelaはまだまだやっていける!」という言葉の通り、まだまだ新しい夢を魅せてくれるangelaのライヴをいつまでも見たいと誰もが思ったことだろう。

あまりにライヴが楽しくて、告知関係をすっ飛ばしてしまったということで、すべてのパフォーマンスが終了した後のオールラインナップで怒涛の告知コーナーとなったが、この日のライヴがWOWOWで7月15日(日)に放送になる嬉しいニュースから、angelaが言うところの“今流行りの”ヘッドフォンを作るプロジェクトをスタートしたこと、ベストアルバムを2018年の秋にリリースすること、リリースにあわせて、10月27日(土)に日比谷野外音楽堂での単独ライヴが決定したことが発表された。また、ライヴ中のMCにてファンクラブ旅行が9月8日・9日の一泊二日で、“林間学校”として開催されることも発表となった。ベストアルバムについては、atsukoとしてはキャッチコピーは「濃すぎちゃってごめんなさい」なのだそう。その前に7月には劇場アニメーション『K SEVEN STORIES』Episode 1~6のオープニング主題歌シングル「SURVIVE!」がリリースとなるが、今年はさらにベストアルバム発売とリリースでも楽しみが尽きない。

最後にatsukoは「“次のお知らせ”ができるっていうことは当たり前のことじゃない。本当に幸せなことだと思います。たくさんの人々に支えられてやってこれたこと」とファンを含め全ての関係する人々への感謝を述べた。KATSUは「(活動が長くなってきて)たまに若手のアーティストさんや声優さんとかに“大御所”とか“大先輩”とか、さらに“レジェンド”って言われたこともあって。僕らはまだまだと思っていたんです。でもこれからは受け入れようと思います(笑)今日のミラーボールは全部で14個あるんだそうです。15個目はここ(会場)。皆さんがミラーボールです。皆さんひとりひとりがミラーボールです。みんなをangelaが光源となって、5年後、10年後、20年、30年と、ずっと照らし続けます!!」と力強く会場のファンに伝えた。atsukoがその言葉を「明日へのbrilliant roadを一緒に歩いていきましょう!」と継いだ。

締めは恒例のジャンプ。14回続けて飛んだあと、最後に今日一番の高いジャンプを会場全体で飛んだ瞬間、金色のテープが宙を舞い、最後まで楽しく美しいライヴとなった。

Photo by 釘野孝宏

<セットリスト>
01.over the limits
02.蒼穹
03.イグジスト
04.パノラマ
05.Jump up!
06.全力☆Summer!
07.feel, like a breeze
08. fly me to the sky
09. 是、夏祭り
10.涙が止まるまで
11.Separation
12.dear my best friend
13.To be with U!
14.SURVIVE!
15.BLAZE
16.Shangri-La
17.果てなきモノローグ
18.Galactic material
19.騎士行進曲
20.明日へのbrilliant road
[アンコール]
21.KINGS
22.DEAD OR ALIVE
23.約束
[ダブルアンコール]
24.シドニア
25.KIZUNA

【WOWOW放送情報】

5月19日(土)に開催された『angela 15th Anniversary Live』河口湖ステラシアター公演の模様を放送。

7月15日(日)14:00~
http://www.wowow.co.jp/angela/

『angela Live2018 All Time Best
in 日比谷野音(仮)』

10月27日(土) 日比谷野外大音楽堂
<チケット>
全席指定¥7,560(税込)
ファンクラブ先行:5月23日(水)12:00~6月11日(月)23:59
オフィシャルサイト先行:5月23日(水)12:00~6月18日(月)23:59
シングル「SURVIVE!」2018年7月18日発売
    • 【期間限定盤】
    • KICM-91853/¥1,300+税
    • ※アーティスト写真使用ジャケット
    • ※クリアケース付
    • ※初回製造分のみ「K SEVEN STORIES」OP映像場面写カード封入(全6種/ランダム1枚)
    • <収録内容>
    • ・『SURVIVE!』(「K SEVEN STORIES」オープニング主題歌)
    • ・『KINGS』Live ver.(TVアニメ「K」オープニング主題歌)
    • ・『To be with U!』Live ver.(TVアニメ「K」最終話エンディング主題歌)
    • ・『KIZUNA』Live ver.(TVアニメ「K RETURN OF KINGS」最終話エンディング主題歌)
    • (※M2~M4:2018年2月24日開催 EX THEATER ROPPONGI公演より)
    • ・『SURVIVE!』off vocal ver. 
    •  
    • 【通常盤】(CD) 
    • KICM-1854/¥800+税
    • ※描き下ろしアニメイラスト使用ジャケット
    • <収録内容>
    • ・『SURVIVE!』(「K SEVEN STORIES」オープニング主題歌)
    • ・『SURVIVE!』off vocal ver.
5月19日(土)@河口湖ステラシアター photo by 釘野孝宏
5月19日(土)@河口湖ステラシアター photo by 釘野孝宏
5月19日(土)@河口湖ステラシアター photo by 釘野孝宏
5月19日(土)@河口湖ステラシアター photo by 釘野孝宏
5月19日(土)@河口湖ステラシアター photo by 釘野孝宏
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OKMusic編集部

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