「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット」
マルチに活躍する
福山雅治のヒットを探る

CD、音楽配信、カラオケの3部門からヒットを読み解く『臼井孝のヒット曲探検隊』。この連載の概要については、第1回目の冒頭部分をご参照いただきたい。ただし、第5回の安室奈美恵からは2017年末までのデータを反映している。

「タレントパワーランキング」上位と
国民的人気を誇る存在

今回はシンガーソングライター、俳優、写真家、ラジオDJなど多岐にわたって活躍する福山雅治に注目したい。2010年代になってから、タレント好感度の指標となる「タレントパワーランキング」(アーキテクト調べ)でも、ずっとTOP10レベルの人気を維持している福山雅治。この調査では国民的な活躍をしたスポーツ選手(イチロー、浅田真央、羽生結弦など)や、国民的なスターやタレント(嵐、元・SMAP、マツコ・デラックスなど)というように、本当に“誰もが知っている”、“多くの人から愛されている”といった枕詞が似合うタレントだけが上位を許され、必ずしもすべての人が流行の音楽に興味があるわけではないので、音楽アーティストが上位となることは意外と少ない。そう考えると、福山雅治はかなりユニークな存在と言えるだろう。

福山は1969年長崎氏出身で、1988年に上京し、俳優デビュー。並行するように元々やりたかったという音楽にも注力し、1990年3月21日にシングル「追憶の雨の中」でデビューを果たす。しばらく売れない日々が続くが、1992年のドラマ『愛はどうだ』にてレギュラー出演と挿入歌「Good Night」を担当し、見事にブレイクした。

俳優、写真家、ラジオDJなど
多岐にわたって活躍

その後は、織田裕二、吉田栄作ら同様に俳優と音楽活動の両輪を成功させるが、福山の場合、音楽に主軸があったことがメガヒットの多い要因だろう。とはいえ、90年代のトレンディドラマブームから20年以上経過しているのに、ドラマへの出演も音楽も手がけ、成功し続けているのは、もやは彼しかいない。しかも、ドラマ出演のみ、主題歌歌唱のみや、ドラマ内の提供曲やインストゥルメンタル曲の制作も多い。つまり、主演俳優ゆえの音楽活動の“ごり押し”というレベルではなく、アーティストとして、俳優として、それぞれの役に専念しても十分すぎる成果を挙げているのだ。

また、写真家、ラジオDJ、楽曲提供者としても確かな実績を残しているのも大きな特長だ。しかもラジオDJではイケメン俳優とは思えないほど赤裸々に下ネタや他の人気者へのコンプレックスを披露!? 本来妬まれがちな男性ファンからも愛されているのはこのラジオの影響も多そうだ。さらに、2010年にはNHKの大河ドラマ『龍馬伝』に出演し、最も開拓が難しかったであろう年輩の男性ファンをも取りこんだ。

楽曲の内容でも90年代のラブソング中心から、00年代になってエールソング、さらに10年前後からは平和や故郷を想った楽曲まで広がっており、故郷・長崎での凱旋公演も数多い。そんな福山雅治のヒットソングはどのようなものが多いのか多面的に見ていきたい。

OKMusic編集部

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