【THE PINBALLS インタビュー】
わくわくしている、
興奮している気持ちを
とにかく曲にしたかった
昨年12月にメジャーデビューを果たしたTHE PINBALLSからメジャー1stシングル「Primal Three」が到着! アグレッシブな面を改めてアピールしながら、異なる魅力を持った渾身の3曲について、古川貴之(Vo)がそこに込めた想いを語る。
昨年はメジャーデビューミニアルバム『NUMBER SEVEN』を引っ提げて東名阪3カ所を回り、現在のバンドの状況を改めて実感したのではないでしょうか?
どんどん自信が沸いてきているんです。例えお客さんがいっぱいにならなかったとしても、お客さんをグッと惹き付けられるライヴができているので、このままちゃんとやっていけばもっと楽しくなるだろうし、もっといいことが起きるだろうから、“じゃあ、もっとやろうよ”って。“音楽でこんなにすごいことができるんだ!”ってイメージが沸いたんですよ。例えて言ったら、桃をひと口食べて、“こんなに美味しいんだ。また食べたい。だったらやる!”みたいな(笑)。
そんな状況に、さらに弾みを付けるのが今回のシングルだと思うのですが、“Primal Three”というタイトルにはいろいろな意味が込められているようですね。
光の三原色(Three primary colors)がテーマとしてあるんですけど、今の自分たちの核となる3曲という意味もあります。今、一番自信がある3曲なんですよ。
光の三原色がテーマにあるというのは?
それぞれの曲に担当カラーを割り振ったんです。「Lightning strikes」は雷が直撃して、頭の中で電気がビリッと流れて、燃えていく炎のイメージで赤。「Voo Doo」は曲を作る時、水の分子をイメージしました。水って氷になった状態は分子がギュッと固まって硬いんですけど、結合が緩くなると水になって、さらに緩くなると水蒸気になって…という、その感じがいいなと思って青。「花いづる森」は森の歌なので緑。…というふうに曲を作りながらイメージしていったんです。
光の三原色は混ざると真っ白になるわけですが、今回の3曲がひとつの作品としてまとまると…。
意味はないというか、『NUBER SEVEN』のように謎があるわけではなく、普通にいい作品を作りたいという純粋な気持ちだけが残るという。
今回、アグレッシブな魅力を押し出してきましたが。
そうですね。音楽と出会った時の楽しさとか興奮、アグレッシブさが出ればいいなと思いました。
それをメジャーからの1枚目のシングルに持ってきたところに“これからこういうふうに活動していくんだ”という改めての意思表示というか、覚悟を感じました。
そうなんです。今回、曲を書きながらTHE PINBALLSが一番初めにライヴをした時のMCを思い出していたんです。「Lightning strikes」では、それを書きたかったんですよ。雷に7回打たれながら死ななかったロイ・サリバンという男性がいたんですけど、僕が生まれる1年前に振られたことが悲しすぎて自殺しちゃったんです。その話が大好きで。恋するってそんなにすごいことなんだ、雷に打たれて7回生き伸びるよりも失恋するほうが致命的なんだって。それをその時のMCで喋ったことを思い出して、音楽ってそういうことだなって改めて思ったんです。雷に7回打たれたわけじゃないですけど、自分たちが演奏して人が喜んでくれたら、それよりも衝撃があるし、精いっぱい演奏したにもかかわらずダサいって言われたら、雷に7回打たれるよりもショックだし…。単純に自分が美しいと思うような、わくわくしている、興奮しているという気持ちだけを、とにかく曲にしようと思って雷の歌にしたんです。
その「Lightning strikes」はメンバー全員で暴れ回っているようなTHE PINBALLSらしいロックナンバーですが、ダンサブルな「Voo Doo」のような曲も案外得意なんじゃないですか?
実を言うと、レコーディングしながら“リード曲はこっちかもしれないね”ってメンバーもスタッフも言ってたんですよ(笑)。それで、「Lightning strikes」に加えて「Voo Doo」もMVを撮ることになりました。
《傷ひとつない奇跡なんて 用はないぜ》という「Voo Doo」の歌詞は、みなさんがどんなふうにバンドに取り組んできたかを歌っているようにも聴こえますが。
この4人でずっとやってきましたけど、他のバンドと一緒で、やっぱり仲が良い時だけじゃなかったし、互いに傷付いたこともあったし。でも、この4人でいることって奇跡に近いような気がして。そういう自分たちの状況を投影しているところはあるんじゃないかなって思います。
そして、「花いづる森」はスローバラードで。
こういう曲も実は得意なんです(笑)。タイトルはいろいろ考えて、結局“花いづる森”にしたんですけど、まだ完成していないという気持ちを歌いたかったんです。まだ花咲かず…ゆえに花咲くみたいな(笑)。そんな気持ちをネガティブな言葉ではなく、まだ花が咲いていない森みたいにできないかっていろいろ考えました。
つまり、近い将来に花は咲くと。それはやっぱりバンドのことが?
投影されているんだと思います。そういうふうに作ろうとは考えてはないんですけどね。自分は花の話をしているだけなんですけど、絶対入っていると思います。
3曲とも歌の迫力が増して凄味も出てきたなと。ヴォーカル録りには相当に気合を入れて臨んだのでは?
上手くなったらなったで、また別の難しさがあると思いました。昔は苦労して声を出していたからギリギリ感とかヒリヒリ感が表現できていたと思うんですけど、今は以前よりも歌えるようになった分、調子に乗らないように気を付けています。“いかんいかん、何を俺は気持ち良く歌ってんの? もともと叫びたかったんだよな、俺は”っていう気持ちを忘れないように自分を戒めながらのレコーディングでしたね。
取材:山口智男
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シングル「Primal Three」2018年4月25日発売
日本コロムビア
- 【初回盤(DVD付)】
- COZA-1430~1 ¥1,800(税抜)
- 【通常盤】
- COCA-17447 ¥1,000(税抜)
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『Leap with Lightnings tour』
5/25(金) 千葉・LOOK
6/03(日) 岡山・PEPPER LAND
6/05(火) 広島・CAVE-BE
6/06(水) 香川・高松DIME
6/15(金) 兵庫・神戸VARIT.
6/16(土) 京都・GROWLY
6/22(金) 宮城・仙台LIVEHOUSE enn 2nd
6/23(土) 福島・郡山CLUB#9
6/25(月) 新潟・CLUB RIVERST
6/26(火) 長野・LIVE HOUSE J
7/07(土) 北海道・札幌COLONY
7/13(金) 愛知・名古屋APOLLO BASE
7/14(土) 大阪・アメリカ村DROP
7/16(月) 福岡・Queblick
7/20(金) 東京・渋谷TSUTAYA O-WEST
ザ・ピンボールズ:2006年埼玉で結成された4人組ロックバンド。『SUMMER SONIC』など数々のフェスやイベントにも出演し、アニメ『ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨン』第3話エンディングテーマ『劇場支配人のテーマ』が大きな話題に。17 年12 月のミニアルバム『NUMBER SEVEN』をもってメジャー進出。収録曲「七転八倒のブルース」はTV アニメ『伊藤潤二『コレクション』オープニングテーマとして抜擢。18年11月には待望のメジャー1stフルアルバム『時の肋骨』をリリース。20年12月に満を持してメジャー2ndフルアルバム『millions of oblivion』をリリース。21年2月よりワンマンツアー『millions of memories』を敢行する。ガレージともロックンロールとも形容しがたい独自ロックサウンド、荒々しくも歌心あふれる古川貴之のハスキーヴォイスとキャッチーで勢いのあるメロディー、物語のようなファンタジックで印象的な詩世界でロックシーンを揺らす。THE PINBALLS オフィシャルHP
シングル「Primal Three」トレーラー