「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
国民的アーティスト、
宇多田ヒカルのヒットを探る

5thアルバムのリカット・シングル
「Prisoner Of Love」が総合6位を獲得

総合6位の「Prisoner Of Love」にも注目したい。同作は2カ月前にリリースされた5thアルバム『HEART STATION』からのリカット・シングルということもあり、CDは約8.2万枚と10万枚未満だが、配信の方ではミリオンを突破した。本作はフジテレビ系ドラマ『ラスト・フレンズ』の主題歌。シェアハウスを舞台としたり、性同一性障害やDVについてシリアスに取り組んだりと、現代をリアルに描いたドラマとして評判を呼び、またその登場人物が思い悩むシーンや暴力で追い込まれるシーンに、心の叫びを表したように同曲が流れるということもヒットを助長したのだろう。

配信でミリオンヒットを記録した
「Beautiful World」が総合7位に

また、総合7位の2007年の19thシングル「Beautiful World」も配信ではミリオンヒットを記録している。CDシングルでは「Beautiful World/Kiss & Cry」と両A面扱いだが、単曲で購入できる配信では『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』のテーマソングとなった「Beautiful World」が125万件以上、日清食品『カップヌードル』CMソングとなった「Kiss&Cry」は20万件以上となった。

宇多田ヒカルは彼女がブレークした前後の同時期の女性アーティストと比べ、アニメ分野にも好意的なファンが多いことが大きな特徴でもあるだろう。それはR&Bテイストの楽曲のみならず、打ち込み音を中心としたEDM調の楽曲も得意としていることに加え、本人もマンガ文化に対して愛情が深く、その闘い続ける孤独を投影したような歌詞世界を描くことも多いからではないだろうか。

総合9位はNTTドコモのCM曲にも
起用された「traveling」

総合9位の2001年末に発売された9thシングル「traveling」は、CDも85万枚以上と好調だが、この時代の楽曲の中ではカラオケ部門での強さがやや目立つ。本作は、NTTドコモのCM曲にも起用されたアッパーチューン。週末の夜、タクシーで恋人に逢いに行くという内容だが、宇多田ヒカルが歌うと、終盤に向かってタクシーが宇宙船となってそのままも未来宇宙に飛び立っていくようにも聞こえる。同作は、2005年に槇原敬之もカバーしており、ライナーノーツでは新型のJ-POPとして同作を絶賛している。

OKMusic編集部

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