「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
国民的アーティスト、
宇多田ヒカルのヒットを探る

「Can You Keep A Secret?」が
総合3位にランクイン

総合3位には、2001年発売の7thシングル「Can You Keep A Secret?」がランクイン。当時、単なるドラマのヒットのみならず、主人公の口ぐせやファッションも含め、様々な社会現象を生み出したフジテレビ系ドラマ『HERO』の主題歌として注目され年間1位となった。ただし、その売り上げは累計148万枚と彼女の中では4番目となる売上だが、シングル全盛期の1995年ならば年間10位にも入らなくなるほど、CDシングルのセールスは下降線をたどっていた時期ゆえ大健闘と言えるだろう。

総合4位&5位であっても週間1位級、
年間TOP10級のセールスを記録

総合4位には、デビュー曲の「Automatic」。オリコンでは12cmシングルが最高2位、8cmシングルが最高4位ということで、“1位になった楽曲集”といったメディアの特集では紹介されることがないが、合計では週間30万枚を超える週間1位級のセールスをはじき出している。

斬新な曲想や歌詞(特に音に乗せて言葉を区切る位置の斬新さ)、そして切ない歌声がFMパワープレイで話題となったり、深夜のTVスポットや衛星波の音楽専門チャンネルで流れるミュージックビデオでの、前かがみで気だるくリズムをとる様子がユニークだったりと、ノンタイアップながら、いや、ノンタイアップだからこそ、皆がこぞって口コミで拡散したのかもしれない。

なお、この1stから3rdシングル「First Love」までは12cmシングルと8cmシングルの2形態が発売されており、いずれも12cmシングルの方が売れている。12cmシングル自体は1995年の福山雅治「HELLO」などそれ以前もヒットがあったが、99年から00年にかけて一気に12㎝シングルが拡散したのは、宇多田ヒカルのヒットも大きな要因のひとつだろう(別の要因としては、浜崎あゆみがシングルなのに16トラックも収録するなど、シングルの概念を変えたことも大きいと考えている)。

総合5位には2016年の音楽活動再始動作となった配信限定シングルの「花束を君に」で、2016年度では年間TOP10級となる50万ダウンロードを記録した。同作は、NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主題歌となり、ドラマの冒頭では、切り絵をモチーフとした映像と共に大切な人への穏やかなバラードが流れた。
同作の収録アルバム『Fantome』は「花束を君に」を含め、“あなた”がいつも道標となっていると歌った「道」(総合8位)や、今は逢えない”あなた”への想いを綴った「真夏の通り雨」(総合12位)など、間違いなく母・藤圭子への慕情を含んだものが多数含まれており、だからこそ“幻”を意味する“Fantome”というタイトルなのだろう。しかし、それだけプライベートな内容を投影した楽曲であっても、“自分ごと”のラブソング、あるいはライフソングとして共感する人が多いからこそ、本アルバムや収録シングルも大ヒットを記録したと考えられる。

ちなみに、「花束を君に」はカラオケ部門2位だが、これは毎朝、NHKのタイアップで流れたことに加え、彼女の曲の中では比較的歌いやすそうだから挑戦しようかという人も多かったからではないだろうか。CD未発売のため3部門総合では5位となっているが、配信&カラオケだけで見ると「Flavor Of Life」に次ぎ2位となっている。

OKMusic編集部

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