松任谷由実、38回目の苗場ライブは灼
熱のカーニバル(BARKS)

松任谷由実の冬恒例のリゾートライブ<SURF&SNOW in Naeba>が、2月2日(金)から2月16日(金)にかけて新潟・苗場プリンスホテル ブリザーディウムで開催された。

10thアルバム『SURF&SNOW』の翌年、1981年からスタートし、2018年で38回目の開催となる<SURF&SNOW>。4年ぶりにセンター・ステージでの公演となった今回、テーマに掲げられたのは“カーニバル”だ。ダンサーとメンバーの衣裳から楽曲アレンジ、ステージセットや照明までがそのコンセプトで統一され、音楽に合わせて色が変化しながら点滅するLEDライト・フリフラを通じて観客もライブ空間の演出に参加するという“カーニバル”ならではの初の試みも導入された。

開場時から男性ダンサーTAKAYUKIがパフォーマンスしていたステージが暗転し、バンドメンバーとサンバの衣装のダンサー4人が四方の花道から登場すると、「September Blue Moon」のイントロに乗せてマタドール風のピンクのジャケットに身を包んだユーミンがステージへ。ホールが大歓声に包まれる中、同曲を歌い終えたユーミンは「38回目の苗場へようこそ! 今回はカーニバルだよ! 最後まで倒れないようについてきてね!」とオーディエンスに呼びかける。
「私なしでも」「110°F」とノンストップで駆け抜け、ステージに腰を下ろして「曇り空」をしっとりと聴かせると、続く5曲目「Blue Rain Blue」ではステージ上で早着替えを披露。曲終わりでダンサーが左右からポンチョ風の衣装をひっぱると、さらにゴールドのドレスに衣裳が替わり、観客がドッと湧く。

「ここからは、ちょっとしっとり昔の曲をお送りしたいと思います」という言葉に、オーディエンスは一旦着席。「最近はほとんどやったことがないこの曲から」という紹介で始まった「地中海の感傷」、そして「あの日にかえりたい」「ずっとそばに」をじっくりと聴き入る。「あの日にかえりたい」では、1コーラスごとに大きな拍手が場内を包んだ。

「ずっとそばに」の後半でいったんステージを下り、ハットに白のシャツという上品なリゾートスタイルを思わせる衣装にチェンジしたユーミンは、続いてオリジナルよりもテンポが速く明るいアレンジで「雪だより」を披露。恒例のリクエスト・コーナーでは、本公演の音楽監督も務める武部聡志のキーボードに乗せて、客席からの挙手で選ばれた幸運なファン3人の思い出の曲が演奏された。
「さあ、ここからはノンストップで行きますよ! 今回はサンバですから。こんなアレンジでやるのは最初で最後ですから。じゃあ最初はゆっくり行きますから、ついてきてくださいね!」との言葉から、ステージは「灼けたアイドル」へ。続く「真冬のサーファー」の軽やかなリズムにつられて観客が立ち上がり、「稲妻の少女」ではコーラスの3人もステージに上がる。

メンバー紹介とTAKAYUKIのダンス・パフォーマンスを挟んで、ライブもいよいよ終盤戦、サンバ・アレンジで生まれ変わった楽曲をノンストップで連打していくブロックに突入。「恋の一時間は孤独の千年」「DOWN TOWN BOY」「守ってあげたい」「恋人がサンタクロース」といった大ヒット曲の数々がまったく新しいバージョンで演奏され、オーディエンスを驚喜させる。ラストはサンバ・バージョンの「DESTINY」で会場の熱気もピークに達し、本編は盛大なフィナーレを迎えた。

アンコールでは、いっそうラテン・テイストを強めた「真夏の夜の夢」と、この<SURF&SNOW>の象徴とも言える「BLIZZARD」の2曲でオーディエンスの熱をさらに高め、最後はメンバー全員がステージに上がり手を繋いで挨拶。ステージを下りるも、鳴り止まない手拍子と歓声に応えて、武部聡志とユーミンがふたりで戻ってくる。

「カーニバルって、やっぱり終わったあとはせつなさが来ますね。遠くへ行ってしまった人たちを、逆に思い出したり。でも、今こうして会えている大事な人を、もっと大切にしようっていう明るい気持ちになります。今回のカーニバルを楽しんでもらえたら、そしてアンコールが来たら、お贈りしたかった曲を歌います」。そう語ると、最後に「二人のパイレーツ」を届け、<SURF&SNOW in Naeba Vol.38>は幕を閉じた。

なお、松任谷由実はこの後4月11日にデビュー45周年を記念したベストアルバム『ユーミンからの、恋のうた』をリリース。9月からは史上初のベスト選曲による全国アリーナツアー<松任谷由実ベストアルバムツアー「45年分の、恋のうた。」>をスタートさせる。
Photos by HAJIME KAMIIISAKA

<松任谷由実 SURF&SNOW in Naeba Vo
l.38>

2018年2月2日(金)、3日(土)、6日(火)、7日(水)、10日(土)、11日(日・祝)、14日(水)、16日(金) ※全8公演
新潟・苗場プリンスホテル ブリザーディウム
セットリスト:
1. September Blue Moon
2. 私なしでも
3. 110°F
4. 曇り空
5. 巻き戻して思い出を
6. Blue Rain Blue
7. 地中海の感傷
8. あの日にかえりたい
9. ずっとそばに
10. 雪だより
11. リクエストコーナー
12. リクエストコーナー
13. リクエストコーナー
14. 灼けたアイドル
15. 真冬のサーファー
16. 稲妻の少女
17. 恋の一時間は孤独の千年
18. DOWNTOWN BOY
19. 守ってあげたい
20. 恋人がサンタクロース
21. DESTINY

En1. 真夏の夜の夢
En2. BLIZZARD
En3. 二人のパイレーツ

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